福岡高校からプロ志望?

福岡高校自体は、福岡市の公立御三家として認知があるが、カレ自体がそうとは限らない。合格当時は相当でも、高校生活をどう過ごしているのか?もちろん、このコロナ下で緩くなっているトコもあるかも知れないし、個々の自覚の度合いもある。高校野球のエース、単にエースでないピッチャーでも、通常のトレーニングに加えてランニングやピッチングやウエイトなど、結構ハードで勉強までやってられないかも知れない。それによっては、もうドコの大学にも行ける見込がないのかも知れない。それなら、プロ野球にでも行かないと行き場がないのかも知れない。

東大小林や京大田中でもダメだった。ソレに比べれば、優秀な部類の高校とはいえ、単なる高校のエースでは、あまり代わり映えしない。通常の高校エースより、ちょっと賢い程度しか差はない。

ポジションが違うとはいえ、去年は関本の息子すら指名されなかった。カレに優る部分って、あるのだろうか?

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偏差値72の福岡高校で最速149キロ。プロ注目の右腕は東大より狭き門を目指す
4/28(水) 11:05 Yahoo!ニュース
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プロ注目の大型右腕、福岡高校の井崎燦志郎
福岡高校の井崎燦志郎(いざき・さんしろう)はいいですよ」

 福岡県の中学・高校野球の選手情報にかけては右に出る者はいないライターのトマスさんから、そんな話を聞いていた。

◆監督に暴行、教師を妊娠…ネットでのデマ、中傷に負けず元ヤクルトの泉正義が野球を続ける理由

 だが、福岡高校は偏差値72と言われる進学校修猷館、筑紫丘とともに「福岡市公立御三家」と呼ばれ、令和2年度は九州大学100人、京都大学13人、東京大学5人と難関国立大の合格者を輩出している。

 進学先の大学野球でチェックすればいいだろう。そう思いかけた私に、トマスさんから意外な情報がもたらされた。

「どうやら高卒でプロに行きたいみたいですよ」

 なぜ、学歴を捨ててまで保障のないプロ野球の世界に進みたいと思えるのか。がぜん興味が湧き、4月24日に福岡県営春日公園野球場で行なわれた福岡地区大会の筑陽学園戦を見に行くことにした。

 この日は春季九州大会の開幕日だったにもかかわらず、バックネット裏にはNPBスカウトの姿もあった。すでに11球団が井崎の視察を済ませ、なかにはGMや編成部長クラスまでグラウンドに訪れた球団もあるという。

 試合が始まる前から、背番号を見なくても井崎がどの選手かわかった。ベンチ前に集まる福岡高の選手のなかで、飛び抜けて大きい選手がいたのだ。

「1月に身長を計ったら188.5センチありました。去年の8月は186センチでした」

 試合後に井崎はそのように語っている。身長はまだ伸び続けている。冬場に下半身のトレーニングに励んだ成果もあり、体重は85キロまで増えた。

 福岡高のエースだけに、さぞ頭脳的な投球を見せるに違いない。そんな安易な予測はのっけから裏切られた。

 ステップ幅が狭く、やや上体の立った投球フォーム。豪快な腕の振りから放たれたボールは、登板1球目から春日球場のスピードガンで「142」と表示された。

 その後も、コンスタントに140キロ台の快速球を続ける。この日の最高球速は145キロで、捕手のミットを激しく叩く硬質のボールだった。スライダー、フォークなどの変化球もあるものの、投球の軸はあくまでもストレート。強豪相手でも「打てるものなら打ってみろ」と言わんばかりの、馬力を生かした力投型だった。

3回まで被安打1、奪三振3、与四死球2。味方のエラーで失った1失点とまずまずの投球を見せた井崎だったが、4回に落とし穴が待っていた。

 一死二塁からバント処理しようとした井崎は、一塁への悪送球を犯す。二塁ランナーが生還し、さらにヒットと守備陣のエラーが絡んでこの回3失点。自責点0ながら井崎はマウンドを降り、ライトに回った。試合は3対5で福岡高が敗れている。

「無駄なフォアボールやバント処理のミスから、自分の首を絞めてしまいました」

 試合後、井崎は肩を落として自分の投球を振り返った。

 指のかかりがよく、ボールが走っている実感はあった。だが、課題にしていた部分が出たと井崎は言う。

「ランナーが出てクイックになった時、ヒジが上がり切らずにそのまま投げて、制球が乱れてしまうんです」

 この日、井崎は筑陽学園に3盗塁を許している。クイックモーションのスピードが遅く、ランナーに走られてしまう。だが、現時点では体重移動にある程度時間をかけないと、右ヒジを上げ切れないのだ。右ヒジが上がり切らないまま投げるとボールが抜けやすくなり、ヒジへの負担も大きく故障の原因になりかねない。井崎は「夏までに修正していきたいです」と語った。

 気になる進路についてあらためて聞くと、やはり井崎は「プロ志望届を出したいと考えています」と言った。

 課題は多い。クイックモーション、フィールディング、変化球の精度、体に負担のかかりやすいフォーム。無理して今すぐプロを目指さなくても、大学で勉強しながら課題を克服しても遅くはない。そんな考え方もあるはずだ。

 それでも、現時点での井崎は高卒でのプロを本気で狙っている。どうして、そこまでしてプロになりたいのか。そう尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「高校に入るまでは進学を考えていたんです。でも、まだ身長は伸びているし、最近になって体重も増えてきました。これからもっと成長していければ、自分もやれると感じてきたんです」

 そして井崎は、付け加えるように「山下投手を見て、プロに進む選手が身近になってきたということもあります」と語った。

井崎の言う「山下投手」とは、昨夏の福岡独自大会で対戦した山下舜平大(福岡大大濠オリックス)のことだ。その試合、5番・ライトで出場した井崎はドラフト1位でプロ入りする投手を肌で感じている。

 井崎に対して、山下はオールストレートで勝負してきた。のちに動画で山下のカーブを見た井崎は「打者の目線が上がってから落ちてくる、すごいボールでした」と山下のウイニングショットに圧倒されたという。

 その一方で、井崎はこんな不遜な言葉を放っている。

「真っすぐだけならそんなに速く感じませんでした」

 もちろん、総合力では山下に及ばない自覚はある。それでも、この言葉に井崎の投手としての強烈な自我と負けん気を感じずにはいられなかった。

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 そして井崎は驚きの事実を告げた。前週の練習試合で、NPBスカウトのスピードガンで自己最速の149キロを計測したというのだ。球速はあくまで評価指標のひとつにすぎないが、スピードにかけては高校球界屈指のレベルに近づいている。

 プロ志望を打ち出しつつも、日頃の授業もしっかりと受けている。学業成績を聞くと、井崎は「いい時で400人中200位くらいです」と語る。

 福岡高の小森裕造監督は、筑波大野球部を卒業している野球人だ。井崎の進路について聞くと、小森監督はこう答えた。

「まずはドラフト指名に値する選手になれるかを見極めないといけないと考えています。春からランナーとの駆け引きなど、ピッチング以外のところを課題にしてきて、少しずつよくなってきています。今日もヒットはほとんど打たれていないし、ポテンシャルはあります。井崎には『夏まで頑張って、プロに声をかけてもらえる選手になろう』と話しています」

 福岡高の野球部は昨年から髪型が自由になった。短髪でプレーする部員が多いチーム内にあって、井崎は数少ない丸刈りを貫いている。井崎は「長いと邪魔ですし、野球を頑張ろうかなと思って」と照れ臭そうに理由を語った。

 進学率ほぼ100パーセントの学校にあって、高卒で個人事業主になろうとしているのは井崎だけに違いない。しかも単純な倍率だけを考えれば、東大に入るよりもプロ野球選手になるほうがはるかに難しい道なのだ。

 エリート校に現れた異端児は目の前の課題に向き合い、極めて狭き門をくぐろうとしている。
菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

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