本来、ハイブリッドって、必要?

世の中のヒト達、エンジン車両の後を受ける自動車として、最終的に電気自動車に移行するコトが望ましい姿だと思っているだろうか?

しかし、過渡期たる現在、ハイブリッド車両が適切だと思っているのか?

ハイブリッドは、低速でのモーターオンリー走行/低電力によりエンジンオンリー走行、中高速でのエンジンオンリー/エンジン+モーター走行が想定され、制御されている。

エンジンだけでも走行できるよう、大きいエンジンが必要。モーターオンリーでも走行できるよう、容量を求められ、エンジンもモーターも中途半端になる。しかも、トヨタのハイブリッドシステムではエンジン&モーター制御にラップ部分があり、システム出力はエンジン出力+モーター出力とはならない。

今の電気車両のネックは、バッテリーがデカく重く値段高いコトに依る。テスラのバカデカさ重さは、カタログ見ても閉口モノだ。走ると高出力モーターと大容量ブレーキで走り止まるが、能力任せだ。バッテリーが小さく軽く値段安くなれば、電気自動車に移行すれば良いのだ。

現実的には、日産のeパワー車両が現実的だと思う。ただ、モーターを各輪に持たせて、駆動や制動に制御されれば、悪天候や脱輪脱出にも役立つ。制動では逆回転もできるのでは?各輪に持たせると変速の制御が面倒かも知れないが、モーターを小型化できるメリットはあるハズ。エンジン的に、前や後ろにモーター置いて、デファレンシャルやドライブシャフトを使うより軽くできる気がする。

エンジンも、純然たる発電用のエンジンで済む。ガソリンに限らず、ディーゼルでも良いのだし。

**************************

トヨタTHSは、どうして普及しないのか そのシンプルで複雑な仕組みと欧州のプライド
6/7(月) 7:05 Yahoo!ニュース
 220 
先代の30プリウストヨタTHS II。電気式CVTへのモーターによるアシストを、便宜上そう呼んでいるだけと勘違いしている人も多い
 前回の記事「シリーズハイブリッドLCAを考えると現時点でベストな選択」を読まれた方の中には、こんな疑問を持たれた方も多いのではないだろうか。「シリーズハイブリッドなんかより、シリーズパラレルで万能なトヨタのハイブリッドシステムを他社も利用すればいいのでは?」

【図解】現行プリウスに採用されているTHS IIの仕組み

 確かに2019年、トヨタは2万3000件以上にも及ぶTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム=プリウスやヤリスのハイブリッドなどに用いられているハイブリッド技術の名称)の特許を30年まで無償で公開することを発表している。

 これは従来の自動車産業で考えれば、とんでもないことだ。エンジン車よりもEVよりもはるかに難しいハイブリッド車の特許技術は、非常に貴重なもの。自動車産業に限らず、重要技術の特許を保有している企業にとっては、その特許権とは生命線ともいえる。

 にもかかわらず、トヨタと提携して、あるいは自動車メーカーから開発を請け負う欧州のエンジニアリング・コンサルタントなどと協力して、トヨタTHSを利用しようとする企業が現れない(少なくとも表面上は)。筆者がシリーズハイブリッドの普及を提唱しているのは、実はこれが大きく関係している。

 それはトヨタTHSに魅力がない、将来性がないということではない。むしろ実際はその逆で、トヨタTHSは実に良くできているハイブリッド技術であり、今後もさらに進化が望めるものだ。トヨタが生み出した技術の中では、間違いなくナンバーワンの傑作メカニズムと言っていいだろう。

トヨタTHS、一組のギアと2つのモーターによる万能型ハイブリッド
 トヨタTHS——それは1台のクルマを開発するためではなく、自動車の未来のために考え出されたものだった。最初からエコカーとして大ヒットさせることを狙ったのではなく、既存のエンジン車とはまったく違う方向性から、将来のクルマを考えた結果、導かれたのがハイブリッドだったのである。

 それにしてもこの手の記事を書いていていつも思うのは、書き手でさえTHSをキチンと理解していない人が多過ぎる。電気式CVTと呼ばれる変速機構を含めて、ここで少し仕組みについて触れておきたい。

 トヨタTHSは遊星ギアを用いて、エンジンと2つのモーターを連結し、状況に応じてモーターのみの走行からモーターとエンジンを組み合わせた走行、そしてエンジンで走行しながら発電機で充電するなど、柔軟に切り替えることができるものだ。しかも、それを実現しているのは一組の遊星ギアだけなので、損失も極めて少ない。

 MG1(モーター・ジェネレーター1=1基めの発電機兼モーター)は遊星ギアの中心にあるサンギアに直結していて、取り囲むプラネタリーギアを保持するプラネタリーキャリアとエンジンの出力軸が直結している。遊星ギアの外周になるリングギアには、MG2が直結(現在のTHS IIは減速機を介している)する。MG2は走行用で加速と減速時に直接駆動力を発揮するだけだ。

 賢いのはMG1の使い方で、エンジンに積極的に発電させることもできるだけでなく、自らの回転数をコントロールすることで、エンジンの回転数をリングギアへ伝える際の変速機にもなる。さらに高速巡航時には変速機として役立ちながら、発電した電気でMG2を駆動して、燃費を助けるのである。

 これをクラッチなどの動力断続機構を使わず(ただしプリウスPHVは、MG1も走行用モーターとして利用するためにワンウェイクラッチを備える)にモーターと遊星ギアだけで行っているところがユニークなのである。

 モーターをモーターとして使うだけでなく、ある時は発電機、ある時は変速機、ある時はブレーキ(回生ブレーキではなく、サイドブレーキ)としても利用する。これによってエンジンの負荷状態を常にコントロールして、燃費の良い状態にエンジンを導く(念のために解説するが、エンジンは負荷が少ないほど燃費が良いわけではない)のだ。

 1995年、最初に発表されたプリウスのプロトタイプには、この動力分割機構は搭載されておらず、1モーターのパラレルハイブリッド(エンジンとCVTの組み合せをモーターでアシスト)だった。実はこの頃にはTHSの試作車は完成していたのだが、まだまともに走れる状態ではなく、新技術として発表できるような代物ではなかったらしい。さらに他社もハイブリッドを研究していたことから、手の内を明かしてしまうのは危険、という判断もあった。

 ともあれ、そこからわずか2年でTHSを完成させたのだから、基礎研究は進められていたとはいえ、驚異的なスピードだ。そしてその完成度も素晴らしいことに、トヨタのエンジニアたちの情熱を感じる。

 もっとも自動車メーカーによるハイブリッドの研究は、もっと前から行われていた。例えば戦後トロリーバスという架線による電力供給を行っていたこともあって、バスはEV化を含めて電動化が検討されており、日野自動車は70年代後半からハイブリッドバスの研究を始めていた。

 当初はエンジンが発電機を回し、その電力でモーターを駆動して走行するシリーズハイブリッドが研究され、その後80年代に入りパラレルハイブリッドに研究が進み、89年にはトヨタに先駆けてハイブリッドバスを実用化している。

 トヨタも68年からガスタービンエンジンによる発電のシリーズハイブリッドを研究してきたが、本格的な研究は90年代に入ってからのことだ。当時80点主義といわれ、優れたクルマや魅力あるクルマよりも、売れるクルマに特化していたトヨタが変わり始めたのは90年代に入ったあたりのこと。その頃、EVやFCVも同時期に研究開発に着手している。そしてシリーズ、パラレルどちらの魅力も捨て切れないことからTHSが考え出されたのである。

トヨタTHSの複雑さへの対応に苦慮してきた例
 トヨタ以外の自動車メーカーがTHSを採用したケースは、これまで2例しかない。それはマツダが現在のMAZDA3の先代モデルにあたるアクセラに設定したハイブリッドである。今から5年ほど前、発売当時の試乗会で、その開発を担当したエンジニアに話を聞く機会があった。

 アクセラ・ハイブリッドに搭載されたエンジンは、2リットルのSKYACTIV-G。しかし、その最高出力は通常のアクセラ20の155ps(114kW)に対して、99ps(73kW)。これなら111ps(82kW)を発生する1.5リットルエンジンを搭載してもいいのでは、とエンジニアに尋ねたのだ。

 すると返ってきたのは、このエンジンスペックは30プリウスの1.8リットルエンジンに特性を合わせた結果で、1.5リットルエンジンではそうした余裕がないということだった。つまり、アクセラ用にTHSを最適化して搭載したのではなく、吊るしのTHSにアクセラのエンジンを組み合わせたのである。

 トヨタから技術供与を受け、サプライヤーからはTHSシステムのハード面を供給されたものの、その制御が複雑過ぎてハイブリッドシステムには変更を加えることができず、エンジン側を、すでに完成されたTHSに合わせるしか方法がなかったのだそうだ。

 そうして作り上げられた最初の試作車は、「世界一遅いハイブリッド」と社内で呼ばれるほど、アクセルペダルに対する反応が鈍く、走らないクルマだったと聞いている。おそらくエンジンとモーターを使った全負荷での加速に、上手くエンジンの特性を合わせることができていなかったのだろう。しかしそこからエンジン側の制御や足回りなど、人間の感覚に沿わせるためにさまざまな改良を行い、まずますの内容に仕上がった。

 特に息の長い加速をする時や、ハンドリングの素直さなど、当時の30プリウスにはなかった走りの魅力を備えたTHS搭載車に仕上がったのだ。これがトヨタにTNGAを創設させるきっかけとなり、現在の50プリウスのハンドリングの良さにつながっている、ともいわれている。

 また、別の角度からもやはりTHSの制御の難しさを実感する話を聞いたことがある。これはアクセラ・ハイブリッドよりもっと前のことだ。

 当時懇意にしていたレーシングドライバープリウスで耐久レースに出場することになり、プリウスのTHSの制御を耐久レース向きに仕様変更しようと、トヨタから制御に関する資料を送ってもらったそうだ。するとチームには段ボール1箱分の書類が届き、その複雑さからレースエンジニアはTHSについては手を付けることを諦めたそうだ。

 さてTHS搭載市販車のもう1つの例は、スバルが北米向けのフォレスターに採用しているTHSを組み込んだ縦置きCVTだ。これはトヨタがレクサスやクラウンに採用している縦置き型THSとは異なり、横置き型のTHSの構造を利用しており、非常にユニークなものだ。こちらは専用開発されているからアクセラのような不自然さはない。しかしコストの関係から日本市場には投入されていないのは、やや残念である。

欧州メーカーの思惑は、それほど単純ではない
 トヨタがTHSの特許を無償で公開しているのは、トヨタTHSをトヨタ以外が採用することで、厳しい欧州のCAFE規制をクリアできれば、地球環境の改善が確実に早まる、ということが目的だという。

 それは世界一の自動車メーカーならではの責任感ともいえるものかもしれない。けれども、他メーカーはおいそれとトヨタTHSに手を出せないのにも納得できる事情がある。

 それは前述のように、特許を利用したとしてもノウハウがなければ、その開発には膨大な時間と費用がかかることだ。仮にトヨタに協力してもらって開発スピードが早まったとしても、そうして作り上げたハイブリッド車を市場は評価してくれるだろうか。トヨタよりも歴史や伝統ある自動車メーカーのプライドもあって、そんな製品は世に送り出せないだろう。

 またディーゼル車の排ガス規制で不正を働いた経緯からすれば、ユーザーや行政機関を欺いてまでクルマを販売した企業は、ライバルメーカーが差し伸べた手に簡単に手を伸ばしたりはしないのではないか。結果的にTHSを採用したハイブリッド車を開発しても、10年後には無償公開を終了されたら、自社には技術ノウハウが残らなくなり、その後の開発に困ってしまう。

 GMがシボレー・ボルトの遊星ギア機構で、当初エンジンは発電だけに用いると説明したり、ホンダの2モーターハイブリッドが高速巡航時にエンジンを直結させたりするのは、トヨタTHSの特許に抵触しないためでもある、と筆者は思っている。

 日本のメーカーがTHSを採用するのは、自社が存続していくのを難しくしてしまう可能性もある。手を出してくるとすれば中国企業だが、すでにトヨタと合弁企業を設立しているところはともかく、リチウムの利権を握っている中国としてみればEVを普及させることこそ、中国車を世界に広める武器となるから、THSは利用したくてもできないという悩ましい仕組みなのではないだろうか。

(高根英幸)
ITmedia ビジネスオンライン

**************************