ニュルブルクリンクって

ニュルブルクリンクとは?何故、ニュルのラップタイムに拘るのか?

ただのクローズドサーキットなら、1周6キロくらい。それだと、直線と低速~中速~高速コーナーをバリエーション良く取り揃えるコトは難しい。日本で言えば、筑波のようなテクニカルコースと富士のような高速コースや菅生のような中速コースを取り揃えるようなモノだ。ル・マンですら、ウノディエールの直線は3分割され、後は割とシンプルなコーナーで繋がれている。

ヨーロッパでクルマの走行性能をアピールする上で、低速から高速までバランス良く取り揃えた、この約29キロのコースは、打ってつけなのだろう。

日本で、ココを走らせプロモーションするべきクルマは、どれくらいある?320キロまでを守備範囲として、7分弱で走らせられるクルマ、そうそうない。

ドイツだって、ホッケンのような超高速コースもある。ニュルでも、レースではショートコースを使う。

日本で使うなら、筑波を1分で走れるクルマの方が向いているだろう。富士や鈴鹿で出すほどの高速も、菅生のような登り勾配も、そうは必要ない。

作るクルマ、売る範囲で考えれば良いだけなのだ。

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「ニュル最速が出た」「ニュルで開発した本物の走り」! アレコレ語られるけどそもそも「ニュルブルクリンク」って何?
7/12(月) 10:01 Yahoo!ニュース
   
クルマファンの聖地!? そもそもニュルブルクリンクってなんだ?
 
過酷なコース特性のため「Die Grune Holle(グリーン・ヘル:緑の地獄)」の異名を持つ
 ドイツ国内には、大小さまざまなサーキットが存在するが、なかでも世界的に高い知名度を誇るのがニュルブルクリンクだ。ドイツ中西部ラインラント=プファルツ州のニュルブルク村にあるこのサーキットは、世界有数の歴史を有し、ドイツの自動車産業を語る上でも欠かすことの出来ない存在である。

【写真】ニュル北コースの入場ゲート

 ニュルブルクリンクの建設は、ドイツがまだホーエンツォレルン家の君主が統治していたプロイセン王国時代の20世紀初頭に、ウィルヘルム2世が先頭に立ち、ドイツの自動車産業モータースポーツ人気を盛り上げることによる経済振興を目的に計画された。

 実際に建設がスタートしたのは、ワイマール共和国時代の1925年4月末。第一次世界大戦で敗戦国となったドイツは当時、経済の立て直しが急務となっていたこともあり、サーキット建設は失業者対策のための公共事業として実施された。ピーク時には2500人が作業にあたり、建設開始から約2年で完成。1927年6月18日に柿落としイベントとなる2輪レース「アイフェル・レース」が開催されている。

 建設費用は810万ライヒスマルクで、日本円に換算すると約40億円だが、企業物価指数を元に計算すると、現在の価値で約2兆5000億円にもなる。まあこれは極端な数字だが、巨額の資金が投入された事に違いはない。

 オープン当初のニュルブルクリンクは、有名なNordschleife(ノルトシュライフェ:北コース)と、現在のGPコースのメインストレートやバックストレートなどが含まれるStart-und-Zeal-Schleife(シュタート・ウント・ツィール・シュライフェ:スタート&ゴール・ループ)、そして1982年まで使われたSudschleife(ズュートシュライフェ:南コース)を合わせると、総延長は28.265km、コーナーの数は170以上、高低差は約300m、傾斜率は最大17%もあった。

 あまりに過酷なコース特性のため、「Die Grune Holle(グリーン・ヘル:緑の地獄)」の異名を持つニュルブルクリンクは、当初からモータースポーツイベントの開催地のほかに、テストコースとして設計されている。その点では先日紹介したアヴス(アウトバーンの起源となるコース)と共通するが、アヴスは高速性能に焦点を当てたコースであるのに対し、ニュルブルクリンクシャシー性能も含めた車両の総合的な性能向上を目的としたコースとなっている。

 自動車メーカーやタイヤメーカーがニュルブルクリンクで新型車の開発テストを行う理由は、まさにここにある。現在は南コースがGPコースに生まれ変わり、北コースも若干変更されて、オープン当時に比べれば優しくなったと言われているが、とくに現在でも1周20.832km、73のコーナーを持つ北コースの過酷さは、世界を見渡しても他に類を見ない。「ニュルブルクリンクには世界の道がある」と言われるほどである。

ここを走り切れれば世界中を走れる!?
 
コントロール性に優れたクルマでないと速くは走れない
私も何度か北コースを走ったことがあるが、コース幅は狭く、ランオフエリアはほとんどなく、アップダウンがきつく、ブラインドコーナーだらけの超ロングコースは、速いクルマほどキツい。前後左右だけでなく、上下にも強烈なGがかかるので、「走る、曲がる、止まる」という基本性能が高く、しかもあらゆる状況でドライバーの意のままに動いてくれる、コントロール性に優れたクルマでないと速く走れない。また耐久試験の場としても理想的な環境であるため、ここで問題なく走れるクルマは、世界のどこでも優れた走行性能を発揮できると言われている。

現在ではニュルブルクリンク周辺には、世界中の自動車メーカーやタイヤメーカーが開発拠点を置き、毎週のように設定されている「Industriefahten(インダストリーファーテン:メーカーが開発のためにコースを使用する日)」を中心にクルマを鍛え続けている。ドイツメーカー以外では、アストン・マーティンジャガーヒュンダイなどが、近隣に巨大な開発センターを設置。いくつかの日本メーカーも秘密のガレージを持っている。

ニュルブルクリンクといえば、ホンダ・シビック・タイプRとルノー・メガーヌR.S.の戦いなど、自動車メーカー同士による熾烈な最速ラップ争いでも有名だ。現在の最速ラップは、2018年6月29日にポルシェ919ハイブリッドEvoが記録した5分19秒546。WECのLMP1マシンを、レギュレーションに関係なく絶対的な速さを追求して改造した、「無差別級」のモンスターマシンは、平均速度234.69km/hを記録。まさに狂気の沙汰である。ちなみに市販量産車最速は、つい先日の6月24日に、ポルシェ911 GT2 RSマンタイ・パフォーマンス・キット装着車が記録した6分43秒300で、平均速度は185.87km/hだ。

なお、北コースとGPコースは、インダストリーファーテンとイベントがない日は「Touristenfahten(トゥーリステンファーテン)」とされていて、誰でも自分のクルマを持ち込んで走る事ができる。走行料金は、北コースが月~木曜日は1周25ユーロ(約3300円)、金~日曜日および祝日は1周30ユーロ(約4000円)。GPコースは15分30ユーロとなっている。どちらも走れる年間チケットは2200ユーロ(約29万円)である。

トゥーリステンファーテンは現在、コロナ禍で中止されているが、復活した際には、グリーン・ヘルの恐ろしさを体験してみるといいだろう。ただし一般のレンタカーでは走行できないので、ニュルブルクリンク近郊にいくつかある、サーキット走行専用のレンタカーショップでクルマを借りるのが、保険の点なども含めてオススメだ。

日本からニュルブルクリンクへ行く際には、フランクフルト空港からレンタカーで向かうのがベスト。アウトバーンを3号線、48号線、61号線と乗り継いで「Wehr(ヴェール)」というICで降り、一般道を27kmほど走ると到着する。走行距離は約160kmで、所要時間は1時間40分ほど。

 ちなみに「ニュルブルクリンク(Nurburgring)」という名称は、街の中心に「ニュルブルク(Die Nurburg)」という山城があるニュルブルク村にある「リンク(Ring)」という意味。「リンク」とは、ドイツ語で「環状のもの」を指す言葉で、サーキットやスケートリンク以外にも、指輪や体操のつり輪、同好会(サークル)などもリンクと呼ぶ。また日本では、よく「ニュル」や「ニュルブル」などと略されることがあるが、どちらもドイツ語的には微妙で、ドイツ人には通じないのでご注意を。
竹花寿一

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