クルマの床下はF1他のレーシングカーみたく平らではない。車内へ浸水ないよう防水や防錆の加工をしながら、剛性強度保持のための折り返しでまっ平らとは行かない。電気系や居住性のためには、平らにキレイな蓋を設けたい。
90年中盤、某自動車メーカー部品部門で、アンダーフロア・ディフューザーキットを提案したコトがあった。しかし、形になるコトはなかった。補修の便利さなら発泡ウレタンだろうし、剛性強度の面ならカーボン&グラスファイバーコンポジット外皮に発泡ウレタンの芯材を使うテニスラケットみたいな構造も考えられた。
昔は、クルマの下に子供が隠れられるくらい、車高最低地上高が高かったから、こうしたアンダーフロアパーツは効きにくかった。しかし、今のクルマの最低地上高は低くなり、前よりは効きやすくなっている。
車重の重いクルマより軽いクルマの方が効きやすい。
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本当に効果があるの? 今や定番のエアロパーツ「ディフューザー」をGT-Rでテストしてみた
2021/07/15 11:41 Auto Messe Web16
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ダウンフォースを発揮させる「縁の下の力持ち」
自動車後部の下面に取り付けられるエアロパーツ「ディフューザー」。ウィキペディアには、床下を通過する気流を拡散して、車両底面を負圧にしてダウンフォースを発生させるためのパーツ、とある。 90年代のF1でマクラーレンホンダが通称「バットマンディフューザー」を採用したことで話題となった。市販車だとポルシェ911は964あたりですでに床面はフラットになっていたが「ディフューザー」と呼んでいいのかはちょっと怪しい。フェラーリは360モデナチャレンジストラダーレにディフューザーが装着されていた。国産の量産車では日産のR34スカイラインGT-Rが初採用した。正確には、フロント下部もカバーで覆い、ボディ前後にディフューザーを装着していた。後継モデルのR35GT-Rはボディ下面はフルフラットとなっている。
R34より売れたのに何故「失敗作」と言われるのか? R33スカイラインGT-Rが「仲間外れ」にされる真相
教科書的な説明はさておき、筆者は「ディフューザー」が効果があるのか、実際に試したことがある。私は空力の専門家でなければ、自動車エンジニアでもない。ひとりのクルマ好きとして「体感できるか否か」をリポートしたい。著者自身の自覚としては、比較的鈍感なタイプだと思っている。
テスト車は日産のR33スカイラインGT-Rだ。先に述べたR34GT-Rのひとつ前のモデルで、ボディ下面は特に処理されていない。そのR33の前後に、日産純正のディフューザーを装着してみた。
フロント:どしっと安定したような気がする
まずフロント。R33GT-Rはレース専用グレードN1にのみ「フロントアンダーカバー」と称して、フロント下面がフラットになるカーボン製のカバーが設定されていた。日産の新型車解説書を読むと「ゼロリフトを実現」とある。実際の部品はフロントリップ部分+αのささやかなもの。R34はエンジン下面全部を覆うタイプだった。 実際に装着し、高速道路を走ってみた。スピードはもちろん法定速度、段差を乗り越えても、気持ち「フロントがどしっと安定してるかな?」レベル。多分にプラシーボ効果が高いような気がする。装着したことを知らされないで乗ったら、気が付かないかもしれない。
リヤ:直進安定性がアップした、ような気がする
続いてリヤ。R33にR34GT-Rの純正リヤディフューザーを装着してみた。一部車体側にステーの取り付けが必要になるが、ディフューザー側に加工を施すことなく、そのまま装着できてしまう。 こちらもカーボン製でとても軽いが、新品なら100万近い部品のため、おいそれと入手することは困難なアイテムではある。 こちらも高速道路でテストしてみた。もちろん法定速度なのだが、こちらも「言われてみれば、直進安定性がよくなった気がする……」というレベル。だが、こちらも「気のせい」と言われれば、そうかもしれない。という違いだ。 R34GT-Rの新型車解説書を読んでみる。グラフが書いてあり、リヤディフューザーの効果は180km/hで約60kgほどのダウンフォースを得られる、とのこと。一概には言えないが、100km/h前後だと30kgくらい? リヤのトランクに荷物を満載にした程度ということか。
まとめ:繊細なドライバーなら体感できるはず?
結論としては、「とても繊細な人なら、法定速度内でもわかる」。一概に言えないが、R33、R34GT-Rの場合、リヤディフューザーの効果は例えるなら「普段ガソリンタンクの満タン、ガス欠で乗り味の違いがわかる人にはわかる」レベル。筆者は残念ながらそこまで繊細な人間ではないので、ちょっとわからなかった。 S耐でR34GT-Rに乗っていたあるドライバーに話を聞くと、リヤディフューザーの効果は「雨の富士スピードウェイのストレートエンドで、『なんとなく安定しているかな』と感じるレベル」だったとのこと。 とはいえ、カスタマイズは性能が体感できるものだけが正義ではない。見た目のアピールは抜群だし、装着したい人も否定はしない。法定速度内では効果は少ないかもしれないが、超高速サーキットでは体感できるはずだ。
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