野球の国ながら、誤った野球観・スポーツ観

アメリカでは、"二刀流"大谷がMLB話題の中心にいる。本来160キロ右腕投手として、NPB日ハムからメジャーにポスティング移籍した投手だ。移籍当初から、160キロを出し、看板通りの"投手"であるコトを証明した。

しかし、期待を大きく上回ったのは、"打者"大谷だ。今までは投手調整の合間に打者起用され、意外な飛距離や長打率が目を引く程度だった。それが、ダルの悪影響による体重増とフォークの投げ過ぎでヒジを手術したコトで、打者起用オンリーだった去年、改めて強打者としての評価が上がった。今年は、投手と掛け持ちながら、ホームランダービーでトップ、オールスターでは"大谷ルール"による投手&打者出場とホームラン競争出場を果たした。

アメリカでは、両方デキるコトが驚きに変わり、慌てて自国内に適性者を探っている。

しかし、ムリだ。現時点で、確かに強いスイングができ、ボールを捉える眼を持った打者の能力と、速いタマ強いタマをコントロール良く投げる投手の能力、両方持つ選手を探すコトは可能だろう。

しかし、日本で大谷を育てた土壌とは、シビアさが違う。

そもそも、大谷は日本のアマチュア野球でアマチュア指導者が、未来像をキチンと描いて育んだ選手なのだ。カレの成長過程のカラダを把握し、キチンとトレーニングを積ませ、当時のアマチュアカテゴリーの成果を出しつつスキルを積んだ。高校では、3年春の甲子園に出場、肉離れで投手としては目立てなかったが、春夏連覇の藤浪からホームランを打った。3年夏は県予選準決勝で敗退、甲子園出場できなかったが、準々決勝で160キロを出した。全日本選抜も投げず、4番打者としての起用だった。高校まで、エースで4番を勤め、チームの勝敗を背負って来た。

メジャー志望で、NPB拒否していたが、日ハム栗山監督プレゼンの"二刀流"で入団に傾いた。

当初"二刀流"想定はショート兼任投手だった。日ハムのチーム事情によるモノだったが、今宮と違って高校まで殆ど経験ないショートでは現実味なかった。日ハムでは、1・2年目はライト兼任だった。

当初、日本の野球では、ホームランより確実なヒットを、巨人⇒ロッテ山本功みたいなバッティングをしていた。それが、DHに代わり、主砲的なバッティングに変わった。パ・リーグでは、投手が打順に入るコトはなく、あまりメリットは多くなかった。

それが、日ハムがパ・リーグ優勝、日本一の年、投手・打者日替り活躍するようになった。1番投手、打者でプレーボールホームラン、投手で力投という試合もあった。

日本最終年は、故障などあり、試合に出なかったし、あまり投げなかった。

ダルビッシュ有に傾倒して、元々柔軟ではないカラダを筋肉で堅くし、体重を増やした。それが、メジャー粗悪球でのフォーク多投で右ヒジ手術を引き起こした。

アメリカ式の投げるトコに偏った筋力増強や体重増加、瞬発力に偏ったトレーニングで、足腰は土台で強い上体、強いピッチングマシーンを作る考え方だ。結局、アメリカ通例のトミー・ジョン手術のお世話になった。

そのおかげで、投手の追加機能だった打者大谷を、去年1年アピールできた。

文字通りのケガの功名?

カレを育てられたのは、日本のアマチュア野球があったからだ。アマチュア野球指導者は、当座を勝つために勝敗の6・7割を占める投手に一番上手い選手を据える。そして、選手の体格的成長に気を配り、成長過程の選手にも投手の適性を見る。DHはないから、打者の練習も課す。どう育つか、どう覚醒するかわからない間、指導者は手近な成果のためにも様々な観点から選手とチーム育成をしている。選手自身も、意識高いコは自らでトレーニングする。幼い頃から、トレーニングする土台がデキているのだ。それも、昔のように偏ったトレーニングではなく、バランス良くトレーニングできるよう変わっている。

少なくとも、高校時点では、甲子園を頂点に心身共鍛錬されている。

アメリカでは、そうしたアマチュアイベントはない。だから、心身共鍛錬されない。体格は大きくなるから、それを元に大学やメジャーのファームで育成・教育される。しかし、日本の甲子園みたいな、シビアな鍛錬はない。

シビアな鍛錬とは、練習やトレーニングだけを意味しない。公式試合も、練習試合も、自分が投げる試合も投げない試合も、投げるコトも打つコトも、走るコトも守るコトも、常にゲームセットまで全力でプレーして来たのだ。

アメリカに大谷と同体格のコはいても、アメリカで同じ育成はできない。

それは、アメリカに特に蔓延る誤った野球観・スポーツ観・勝負観。ヒトが見ていようと、見ているまいと努力と鍛錬を怠らず、ゲームセットまで成果を発揮しようと努め続けるコト。

ぶっちゃけ、誤りだらけの野球界の不文律を見直すコトだろう。

 

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MLB】「2回で泥だらけになる投手がいるか?」 大谷翔平、投打走で躍動の初回に米実況が驚き
7/27(火) 18:03 Yahoo!ニュース
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ロッキーズ戦、初回に無失点&好守&適時打&盗塁&得点
 
ロッキーズ戦に「2番・投手」で先発出場したエンゼルス大谷翔平【写真:AP】
 米大リーグのエンゼルス大谷翔平投手は26日(日本時間27日)、本拠地のロッキーズ戦に「2番・投手」で先発。7回1失点の好投で5勝目を挙げた。初回のマウンドでは自らの好守もあって無失点に封じると、その裏には先制タイムリーと二盗を決めた。衝撃の二刀流劇場に、米放送局の実況席も大興奮。「アンビリーバブルだ」「2回に泥だらけになる先発投手がどれだけいるのか」と驚きの声を上げている。

【画像】「高校球児やん」とネット話題! 大谷が汚れたユニホームで投げる実際の写真

 初回からエンジン全開だ。大谷のマウンド。先頭打者のタピアをスライダーで三振に仕留めた後、好打者ストーリーの強烈なピッチャー返しには華麗なフィールディングを披露。投ゴロとして、立ち上がりを無失点に抑えた。

 その裏、無死二塁の第1打席では、相手右腕マルケスからバットを折りながらも右前へ。先制タイムリーで出塁すると、走者としても躍動した。2球連続の牽制球を受け、ユニホームを泥だらけにしながらも二盗に成功。ウォルシュのタイムリーで得点まで記録した。

 米ロサンゼルス地元局「バリー・スポーツ・ウェスト」は衝撃の“大谷劇場”を2回表にダイジェストで振り返った。解説のマーク・グビザ氏は、躍動ぶりをこのように伝えている。

「えげつないスライダーで空振り三振。ロケット弾のようなピッチャー返しにフィールディング。それから、タイムリーヒット。待ってください、まだ続きますよ。盗塁です。ショウヘイ・オオタニが今季14盗塁の後、得点ですよ。アンビリーバブルな初回だ! ショウヘイ・オオタニ! マウンドで、打席で、そして、塁上でも!」

 これに対して実況者は「2回の時点で、ユニフォームが頭から爪先まで泥だらけになる先発投手がどれほどいるでしょうか」と感嘆するように一言。MLB通算132勝を記録しているグビザ氏も「そもそも初回に打席が回ってくる先発投手はいませんからね」と大笑いしていた。大谷は7回5安打1失点と好投。MLBではシーズン最多となる5勝目をマークした。
THE ANSWER編集部

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