FFとFR

今の日本のメーカーが、生産効率に取り付かれたFFばかり作って、FRは高額車両ばかり。86/BRZやロードスターであっても、スペックの割に高額だ。

そんな中、BMWメルセデスらは、FRも作り続けている。それは何故か?

単純に考えると、BMWメルセデスは小さくても高額車両なのだ。

そして日本と違って、アウトバーン始め高速域で使用する割合も高く、操縦安定性への要求が高いコトが考えられる。

では、何故FFよりFRなのか?

FFはエンジンとミッションとデファレンシャルを一塊に作るコトができ、生産効率向上に繋がる。ただ、振動を抑えるマウントが難しく、高い速度域ほどヒドくなる。マウントを強くすると、今のペラペラモノコックでは担えない。モノコックを補強するにも、FRに比べてプロペラシャフトがない重量メリットを相殺し兼ねないし、キチンとマウントされたFFは殆どないと言われる。ニュルのラップタイムアピール車両くらいは、キチンとしないと走れないだろうが。馬力的に200馬力くらいが限度になっている。

その理屈はミドシップでも一緒なのだ。

FRや4WDはエンジンやミッションやデファレンシャルを分割され、プロペラシャフトで結合される。結合とテコの原理により振動を抑えられる。そのため、今のペラペラモノコックでも剛性を保ちやすい。

FRだと、駆動はリヤタイヤで、旋回はフロントタイヤになる。そうするコトで、前後タイヤの役割分担が明確になる。ただ、リヤタイヤ2輪で受け持つのは、250~400馬力くらいが限度ではないか。

4WDは制御により特性が変わるが、前に駆動力が欲しいのは、急加速やグリップ悪い路面、それ以外では抵抗やメカロスになる。

BMWメルセデスでも、全世界的なバカ高出力競争する上で、FRないし4WDにしている。フェラーリでもV12ミドシップをやめ、FRにして久しい。

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究極的に速いFFがあっても魅力的なのはFR! ?BMWはなぜ今でもFRにこだわるのか?
8/19(木) 7:00 Yahoo!ニュース
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ベストカーWeb
 シビックタイプRなどがニュルでFF最速タイムバトルが繰り広げられるほど、走りにおいてもFF車の高性能化が進んでいる。しかし、そんな現在でもBMWは2シリーズのクーペだけは新型にもFRを採用し、その新型2シリーズクーペを7月に発表した。

【画像ギャラリー】BMWがこだわる重量配分50対50の前置きエンジン後輪駆動(FR)を写真でチェック!!

 BMWは1シリーズなどでFF化を進めているいっぽうで、FRレイアウトをあえて継承させた新型車をしっかりとラインナップしているのだ。

 とはいえ、技術的にはFFレイアウトでもスポーティで高性能なクルマが作れる今、BMWがFRにこだわる理由とは何か?モータージャーナリストの斎藤 聡氏が解説する。

文/斎藤 聡写真/BMWベストカー編集部

■「駆け抜ける喜び」への追求に適した駆動方式 
BMW2シリーズクーペ「駆け抜ける喜び」を追求するために選ばれたコンパクトFR。先行デビューした4ドアグランクーペはFFだが、2ドアクーペはこだわりのFRで発表された
 もしかしたらBMWは、これまで一度も「FRにこだわっている」とは言っていない?

 いろんな資料を当たってみたのですが、そんなふうに思えてきました。たぶん言っていないのではないかと思います。ただし、結果としてFRを選択し、これがBMWのいう「駆け抜ける喜び」を体現するのに最も適した駆動方式だったということは言えそうです。

 では、なぜFRが優れた駆動方式だといえるのでしょうか。理由は3つあります。

■FRが優れた駆動方式だといえるワケ 
[関連写真]
図1加速しながら右旋回したときの摩擦円。駆動グリップ力が強いと旋回グリップ力が下がり、駆動グリップ力が小さいと旋回グリップ力が強くなる
 1つは前輪を操舵、後輪を駆動と役割分担できるからです。タイヤは持っているグリップ性能を旋回に100%、駆動に100%同時に使うことができないんです。

  タイヤ(1本)の駆動力を100%引き出そうとしたら旋回グリップ力を使うことはできないんです。逆に旋回グリップ力を100%使おうとするときは、駆動グリップ力をいっさい使うことができません。

 旋回グリップ力と駆動グリップ力の関係はベクトルの合力のようなもので、旋回グリップ力と駆動グリップ力の合力がタイヤのグリップ性能の最大値を移動します。 (図1参照)

 これをベースにFFを考えてみると、FFは前輪で操舵(旋回)と駆動力を担当しなくてはならず、旋回の時は駆動グリップ力が、駆動の時は旋回グリップ力が邪魔をしあい、100%の性能を引き出すのが難しいのです。

 一方、FRは前輪で旋回グリップ力を、後輪は駆動グリップ力をそれぞれ100%引き出すことができるので、4つのタイヤの力を効率よく使うことのできる駆動方式といえるわけです。

 実際にBMWを走らせてみても、ハンドルを切った時の雑味のないクリアなステアフィールは絶品で、路面の様子やタイヤの変形具合などを逐一正確に伝えてくれ、前輪の様子が文字どおり手に取るようにわかります。

 2つ目はFRというレイアウトが持っている重量バランスのよさです。50対50といってすぐに思い浮かぶのは、エンジンをドライバーの後ろに搭載するミッドシップレイアウトかもしれませんが、ミッドシップで有利なのは、重量物をクルマの中心に集めやすいということ。

 ミッドシップで前後重量配分を50対50にするのはとても難しいんです。ボンネット内に重量物がないので、重量配分はどうしてもリア寄りになってしまいます。

 タイヤの特性として、あるレベルまでは接地荷重が高くなるほどタイヤのグリップ性能は高くなります。つまりフロントの接地荷重が少ないと、タイヤもグリップ性能が少なくなってしまいます。

 その点ボンネットの後方にエンジンをレイアウトして重量バランスを整えたほうが、フロントタイヤのグリップを安定して引き出すことができるのです。

 もっともFRでも前後重量配分を50対50付近にまとめるためには、かなりエンジンをボンネットの後方に配置する必要があります。これが、ボンネットがスラリと長いBMWの特徴的なスタイルを作り上げているわけです。

■重量配分を50対50にこだわる深いわけ 
[関連写真]
BMWの重量配分50対50にこだっわったクルマ作りにはFRレイアウトは欠かせないプラットフォーム。しかし、近年はセンサーと電子制御の進化でほかの駆動方式でも操縦性を向上できるようになった
 3つ目は2つ目と深くかかわっているのですが、BMWが50対50にこだわっているということです。これはちょっと専門的な話になってしまうのですがちょっとお付き合いください。

 クルマのアンダーステアオーバーステアを示す考え方として、ニュートラルステアポイント(NSP)というのがあります。うんとざっくり説明すると、旋回中の前輪のグリップの総和と後輪のグリップの総和が釣り合うポイントをニュートラルステアポイントといいます。

 実際にはコーナリング中のクルマには微細なスリップアングル(横滑り角)が発生していて、これによって発生するグリップ力に差が出るので、クルマのサスペンションセッティングによっても違いが生じてしまうのですが、どんぶり勘定でいうと前後のタイヤサイズが同じなら、ニュートラルステアポイントはホイールベースのほぼ中心にあると考えられます。この時、駆動力は考慮しません。

 ニュートラルステアポイントが重心よりも前にあるか後ろにあるかでアンダーステアオーバーステアが決まるという考え方です。

 例えばフロントヘビーなクルマで、ニュートラルステアポイント(以下NSP)よりも重心が前にあればアンダーステアになります。前輪への重量負担が大きくなるので先にタイヤの限界を迎えるからです。

 ミッドシップやリアエンジンの場合はNSPより重心が後ろにあればオーバーステアになります。

 BMWは前後重量配分が50対50なので、NSPと重心がほぼ一致するのでニュートラルステアになります。もちろんこれは素性の話であって、実際にはサスペンションのセッティングなどで弱アンダーステアにセットするのですが、素性がニュートラスステアのクルマは、セッティングの自由度がとても広くなります。

 ちょっとアンダーステア、ちょっとオーバーステア(そんなクルマはメ-カーでは作りませんが)といった具合にセッティングの自由度がとても広いわけです。

 もちろんポルシェ911のように後輪駆動でリアタイヤを太くすれば、(NSPは前輪と後輪のグリップの総和のバランス点になるので)NSPをホイールベースの中央より後ろにすることができ、重心点と合わせることも不可能ではありません。

 しかし、荷重変化による前輪のグリップの変化量が大きくなるので、操縦性の変化も大きく神経質になりやすいのです。

 その意味でも素性としての特性を整えるためにBMWが50対50にこだわっているというわけなのです。

■近年のハイパワー車は電子制御4WDでダイナミックにコントロールできる 
BMW M5コンペティション625psを発揮する4.4L V8ターボと後輪駆動を重視した4輪駆動システム「M xDrive」を搭載
 もうひとつ付け加えるならフロントヘビーなFRに比べ50対50のFRにすると、加速時の後輪への重心移動が容易になるので、よりハイパワーなエンジンを搭載した時に操縦性のバランス(弱アンダーステア)を保ちながら後輪のタイヤサイズを太くすることで対処しやすくなります。

 フロントヘビーなFRでも後輪を太くして安定性を高めることはできますが、荷重を後ろに移動させるのに時間に遅れが生じるので、操縦性の面では不利になります。

 近年では、ハイパワーFR車には電子制御カップリングを使った4WD化が盛んにおこなわれるようになっています。BMWも例外ではありませんが、前後重量バランスの整った4WDが、素性として操縦性のチューニング幅が広いのは言うまでもありません。

 圧倒的なトラクション性能を備え、かつ操縦性のいいオンロード向け4WDが可能なわけです。M5はその典型的な1台でしょう。

 というわけで、電子制御が未熟な時代、BMWは理想的な操縦性を作り出すのに適したシャシーを作るために50対50の重量配分を持ったFRにこだわってきたということなのだと思います。このクルマづくりの姿勢は今後も変わることなくBMWのDNAとして受け継がれていくのだろうと思います。

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