乾シンジ、単に最後の相手。

乾信司、単に最後の相手。しげの秀一は、高橋啓介と藤原拓海に、それぞれの意味で究極の相手を設定した。啓介の相手、北条豪は兄凛にサーキットで引っ張られた存在。クルマ自体はNSXという登りの峠に然程向いてるとは思えない、単にトラクションに優れたミドシップというレイアウトだけ。パワーアップも省かれ、後ろに1枚ウイングを足しただけ。啓介のFDはミドシップやRRには劣っても、フロントミドシップ、前後トレッドアップしていた。ハナから、FDの戦闘力を理解してなかったから、15秒プラスアルファでシュミレーションしても、ダメだった。

乾信司については、事前に来なかったせいで、久保の作戦もへったくれもなかった。挙げ句、特別でもない、トリカゴ付のトレノクーペ。信司のドライビング頼み、コーナーリングスピード頼みだった。一方で、信司に大した情報がなかったからか、高橋涼介も拓海に抽象的アドバイスしかなかった。ただ、クルマ対クルマの比較で、エンジン他モデファイし松本メカのメンテナンスの拓海のトレノの方が優れていた。後は、ついて行く上でタイヤの温存と追い越しのタイミングだけだった。

コーナーリングは速いが、ラインに乗れただけ、並走してラインをツブせば簡単に抜けていた。それは、信司がシフトアップしても、拓海が4AGを1万2千オーバーまで回すほどではなかったハズ。確か、ノーマルトレノは7千回転じゃなかった?抜かなくても、ワザと並走程度で良かった。

しげの秀一が最終回ありきで作った話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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ハチロクを駆る異色のラスボス!『頭文字D』人物列伝16【乾信司編】
9/10(金) 19:30 Yahoo!ニュース
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ベストカーWeb
 1人の青年がクルマと出逢い、その魅力にとりつかれ、バトルを重ねながらドライバーとしても人間的にも成長していく姿を綴った『頭文字D』は、日本のみなならず、アジア各国でも賞賛を浴びた、クルママンガの金字塔である。

【画像ギャラリー】乾信司が乗るスプリンタートレノを見る

 当企画は、同作において重要な役割を果たし、主人公・藤原拓海にさまざまな影響を与えたキャラクターにスポットを当てるというもので、ストーリー解説付き、ネタバレありで紹介していく。

 今回取り上げるのは、同作の最終章にしてラストバトル。藤原拓海の前に立ちはだかった天才、乾信司を紹介する。拓海と同じハチロクに乗り、同じように普段はナイーブな彼だったが、ステアリングを握ると変貌する!

 文/安藤修也マンガ/しげの秀一

■乾信司はどんな人物?
  「天才」と呼ばれる人物はあらゆるスポーツにおいて存在するが、ドライビングに関しても例外ではない。『頭文字D』作中では、主人公の藤原拓海がその「天才」の代表的存在としてストーリーを進めてきたが、ラストバトルでは、新たなる「天才」の象徴として1人の少年がヴェールを脱ぐことになった。

 乾信司は見るからに少年のようで、同作に登場するドライバーのなかでも最年少と思われる。しかしプロジェクトDによる神奈川遠征最終エリア、サイドワインダーのダウンヒル担当として登場している。言うなれば、"ラスボス"である。

 多くのマンガにおいて、"ラスボス"といえば、体格や地位、能力などの部分で、主人公より大きな存在というのが定番である。しかし今作は、そういったマンガの王道ストーリーを裏切り、主人公より幼く、人間的にも未熟にみえるキャラクターをラスボスに据えてきた。こういった部分が、マンガを読み慣れた世代にとっても興味を惹かれる部分なのだろう。

 ルックスは、まだあどけない中学生のようにも見え、名前も『エ●ァン●リオン』の主人公と同じ「シンジ」だ。性格はだいぶ天然で、やはり「エ●ァのシンジ」同様、中二病がかっている。いよいよプロジェクトDとのバトルが始まろうというのに、スタート地点にはなかなか姿を見せず、サイドワインダーのメンバーをドギマギさせた。

 結果的には、ヒルクライムにおける北条豪(と高橋啓介)の走りを見て、ついに決心。僕もヒーローになりたい、という思いとともに姿を現すことになる。ただし、後のバトル中にも、「このヒト速いよ……ボクなんて…やっぱりダメだよ母さん。もうイヤだこんなの…逃げ出したい…」などと中二病らしい発言をしていて、期待を裏切らない。

■何よりも重要な母親の存在
 乾信司を語るうえで、切っても切り離せないのが彼の母親だ。

 初登場時から母が傍にいるし、当初、サイドワインダーの久保英次との会話の際も、母親と一緒であった。ただそれは、彼の家庭環境が大きく影響しているのだろう。ラリーストだった父とは死別しており、幼い頃から母子家庭で育った。信司が運転をはじめたのも、日々の仕事で疲労した母親を思ってのことである。ついでに言えば、助手席で眠っていた母親を起こさないために、横Gを感じさせない安定感のある走りを身につけている。

 なお、彼がラストバトルで乗る、スプリンタートレノ(AE86型)のクーペ(拓海のハッチバックとはボディ後方の形状が異なる)も、実は死んだ父親がかつて愛車としていたもので、死後は母親が乗っていた。なお信司のバトルにおける走り方は、結構、荒めであり、このトレノもボディがキズだらけになっていたところを、バトル前に久保が板金し直している。

 運転の実力については、バトル前から、北条豪と久保との間で「圧倒的なスピードがある」「集中できている時は手が付けられない」などと評価されており、折り紙つきの速さであることがわかる。敵のリーダーである高橋涼介も、心眼で(!?)その実力を見抜き、「手強いぜやつは」と拓海に告げている。

 実際に、ステアリングを握った信司は、まるで別人のように強気な性格に変貌し、コーナーごとに拓海のハチロクを引き離していくほど速かった。

 なお、普段は行儀の悪い子ではないのだが、集中してゾーンに入ってしまうと、向上心が勝るというか、周囲のことを顧みないタイプになってしまう。基本的にはボーッとした少年なので、見た目は「目を三角にして」という感じではないが、中身は完全に「キレる若者」で、バトル中はそういったシーンが散見される。

■天才対決の勝敗を分けたものとは?
 常識では考えられないほどコースを熟知した信司に対し、藤原拓海は大苦戦。信司目線でバトルを振り返れば、ハザードを出して先を譲ったり、強引にボディを接触させたり、突然中二病が再発してダウナー気味になったり、はたまた羽を見たりと……とにかく最終決戦らしく見どころ満載であるが、結果は信司が敗北を喫する(とにかく見応えがあるので必見!詳細は原作で、かいつまんで知りたい方は「名勝負列伝」でどうぞ)。

 「天才」という言葉の意味は、「生まれつき備わった優れた才能」だという。ドライビングでは、コースや車体における空間認知能力、ハイスピード領域でのコントロール技術、そして大胆に攻める度胸などが必要とされるようだが、「天才」と称される拓海と信司はこれらをすべて備えている。ホームコースの走行経験は信司のほうに分があるが、バトル経験に関しては拓海に分がある。

 運転経験を同程度と仮定して、このバトルで両者の勝敗をわけた大きな違いは、「運転が好きかどうか」にあったのではないだろうか。

  「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるように、最後の最後でクルマを一歩前に出せるかどうかは、信司より、先に峠での運転への興味を持った拓海に分があったように思える。ただ、それでもこれだけ拓海を苦しめた乾信司のこれからの成長が楽しみで仕方ない。

 ■掲載巻と最新刊情報

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