マー君に、期待ハズれと言いたいの?これからじゃん!

あの日本シリーズの1敗しかしない"神"シーズンを経て、ヤンキースで7年プレーした。粗悪メジャー球でフォークを多投し、ダル同様にヒジをやり、手術すら勧められた。しかし、カレはその選択をしなかった。フォークを控え、ツーシームに切り替え、ダルみたいな力任せなピッチングを控え、打たせて取るピッチングをした。それは、ダルとマー君の大きな差であり、甲子園で優勝デキたかデキなかったかの差だ。自分のピッチングがデキそうにないからと、投げなかったダルと2年生ながらチームを背負って投げ、3年は体調不調でも凌いで決勝再戦でも粘った。スキルもメンタルも、根本から違う。

今もカレは学び続け、素晴らしい仕事をしている。それは、監督である星野や石井の選手時代を遥かに凌ぐ。

あの年は、マー君に新人則本、そしてMVPを拐った美馬らがいた。しかし、今年は、則本だけでなく、岸も涌井もいる。ソフトバンクにかわされずCSに行ければ、短期決戦ではオリとロッテに十分対抗できる。

 

 

 

 

 

 

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今シーズンまだ4勝だけど...「さすが田中将大」と納得させられる圧巻の数字
9/17(金) 16:50 Yahoo!ニュース
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8年ぶりに日本球界に復帰した楽天田中将大
今年1月の入団会見。8年ぶりに楽天に復帰した田中将大は、周囲の興奮を冷静に受け止めるように言った。

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「2013年でみなさんの印象が止まっていると思うので、すごく求められるハードルは高いと思っています」

 その年、田中は24連勝という異次元の快投で、楽天を初のリーグ優勝に導き、日本シリーズでも圧巻のピッチングを見せ、日本一へと上り詰めた。それは今も伝説のように語り継がれ、復帰した今シーズンも同等のパフォーマンスを期待していたファンは多かったはずだ。

 登板17試合、4勝5敗、防御率2.82(成績はすべて9月16日現在)。

 これが田中の今シーズンのここまでの成績だ。

 2013年の驚異的な数字と比較すると、どうしても物足りなさがあるだろう。それでも田中は、高く設定されてしまったハードルを飛び越えられるだけの内容を示している。

 防御率は山本由伸、宮城大弥(ともにオリックス)に次いでリーグ3位。1イニングあたり何人の走者を出したかを表すWHIPはリーグ2位の0.97。

 また、先発投手が6回以上を投げ、自責点3以内に抑えるクオリティスタート(QS)は17試合中13試合(QS率76.5%)。同じく7回以上を投げ、自責点2以内に抑えるハイクオリティスタート(HQS)は17試合中7試合(HQS率41.2%)。HQSに至っては、直近5試合で4度も記録するなど、抜群の安定感を見せている。

 マウンドに上がれば、しっかりとゲームをつくる。それは2013年も今年も変わらない。むしろ、メジャーでの7年間を経て、ピッチングの熟練度はより一層増している印象がある。

 それを証明するのが、球数の少なさだ。

 今シーズン、ここまで115イニングで1599球を投げており、1イニング平均13.5球。これは先発投手の及第点である「7回100球」をクリアする数字であり、この"省エネ"を実現させる投球術を田中は備えている。

とりわけ有効なのが、高めの球の活用だ。

 高めの球というと、日本では空振りを奪うための誘い球や低めへの布石として用いられることが多く、ストライクゾーンで勝負するというイメージは少ない。それが田中の場合、その高めにストレートのみならず、スライダー、カットボールツーシームと変化球も使いながら勝負しているのだ。

 これは田中がニューヨーク・ヤンキースで培った観察眼、データを駆使して磨き上げた技である。その技術を日本でも存分に生かしていると言える。田中を入団1年目から知る小山伸一郎コーチは次のように語る。

「近年、日本にも"フライボール革命"が入ってきたことで、低めのボールをすくい上げるために下からスイングするバッターが増えました。困った時はアウトコースだったり、低めの球だったり、もちろんそういう意識は大事なんですけど、それだけじゃなくてベルトよりもちょっと高めにフォーシームを投げて、ポップフライを打たせるといったピッチングも必要になってきます。そういう意味で、田中はアメリカでやってきたことを、日本でもうまく出せていると思います」

 田中の安定感を支えているのはこれだけではない。その日のコンディションや投球メカニズムを考え、試合中であってもプレートに据える足の位置を変えたり、変化球のスピードに強弱をつけたりするなど、修正能力の高さも小山は称える。

 それはメジャーでの7年間を含むプロ15年の豊富な経験によるところが大きいが、「責任感」というメンタリティーも欠かすことのできないバックボーンである。

 ここまで先発投手として17試合に登板している田中だが、一度もイニング途中でマウンドを降りていない。チームが求める最低限の仕事を実践している証である。投げきることへのこだわり......それを強めるひとつのきっかけがあった。

 ヤンキース時代の2018年7月16日、クリーブランド・インディアンス戦。2点を奪われながらも要所は締めていたが、7回一死からランナーを許したところで交代を命じられた。この時点で球数はわずか77球だった。

「2点は取られましたけど、球数は少なく抑えられていましたし、自分ではすごくよくて。チームが勝つために交代させられたことは理解できるんですけど、ひとりの先発ピッチャーとして考えた時に『そんなんでいいのか?』って、すごく悔しくて。『このままじゃ絶対にダメだ』って変わったというか、もっと信頼されるピッチャーになろうとあらためて強い気持ちが芽生えました」

 周囲の目が「世界一厳しい」と言われるヤンキースで7年揉まれた矜持が、田中に責任感を植えつけた。

 だが、これだけのパフォーマンを見せているにもかかわらず、4勝というのはあまりにも少なすぎる。もちろん、14本のホームランを打たれていることなどが理由として挙げられるが、それらを補って余りあるだけの数字は残している。

 そこで援護率を調べてみると、田中が投げた試合は2.52。これはパ・リーグ規定投球回数をクリアしているピッチャーのなかでもっとも低く、チームトップの9勝を挙げている則本昂大の3.88と比較すると、いかに援護が少ないかがわかる。

 まだ田中が海を渡る前のことだが、楽天の主力選手が申し訳なさそうに話していたシーンを思い出す。

「田中とかダルビッシュ(有)が投げる試合って、ロースコアが多いじゃないですか。おそらくそれって、安心感があるからなんですよ。『田中ならそんなに点は取られない』みたいな。もちろん、僕たちだって援護はしたいですよ。でも、無意識に『抑えてくれる』という気持ちが出て、結果的にロースコアになってしまう」

 レギュラーシーズンは終盤を迎えた。楽天は現在3位で、首位のロッテとのゲーム差は5.5。自力優勝は消滅しているとはいえ、まだチャンスは残されている。流れを変えるキーマンがもし田中だとすれば、残りの試合でどれだけの勝ち星を積めるかが重要になる。2013年のように田中が投げ、打線がしっかり援護することができれば、8年ぶりの戴冠も夢物語ではないはずだ。
田口元義●文 text by Taguchi Genki

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