トップガン、ホントに色褪せないか?

30年以上経っても、全く色褪せない?ホントにそう思うか?

キャスティング、音楽、戦闘機含む敵対国関係など、全てが変わってしまっている。

この時の戦闘や模擬戦では、大抵が1対1か1対2くらいの空戦ばかりだった。クライマックスシーンでは、インド洋上、3対4くらいの遭遇戦になり、味方機1機激墜され、1度場をハズれようとしたマーベリックが戻り、アイスマンを助けつつ、自身は2機撃墜した。

今の空母いぶきでも、中国機動部隊とは10対30くらいの攻防戦だった。

撮影の都合もあるだろうが、大量対大量の空戦なんて、カネかかり過ぎて撮れないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

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トップガン』は30年以上経っても全く色褪せない トニー・スコット監督の“アメリカ魂”
11/20(土) 12:00 Yahoo!ニュース
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トップガン』(REX/アフロ)
 アメリカ海軍のエリート飛行士たちの成長と戦いを描いた、スカイアクション映画の決定版といえる大ヒット作『トップガン』(1986年)が地上波放送される。本来なら、30年以上ぶりの続編『トップガン マーヴェリック』の劇場公開に合わせた放送を想定していたはずだが、そちらは2022年に公開延期となってしまった。いずれにせよ、久々に地上波で、アクション大作『トップガン』が観られることを歓迎したい。

【写真】トム・クルーズ続投、30年以上ぶりの続編『トップガン マーヴェリック』

 本作『トップガン』は公開当時、そのミュージックビデオを想起させる演出か、はたまたビーチバレーの享楽的なシーンが影響したのか、批評家の反応がそれほど良いものとはいえず、ともすれば“ハリウッドの大味なアクション映画”の代表と揶揄されることもあった。しかし時代が経つうちに、そんな評価は完全に間違いだったことがはっきりしていく。なぜなら、30年以上の年月の洗礼にさらされながら、本作の魅力は全く色褪せていないからである。

 20代のトム・クルーズが大きくブレイクすることとなった本作は、まだあどけなさが残る彼の魅力が炸裂することになった。F-14戦闘機のコクピットでの勇姿はもちろん、カワサキのバイクで疾走したり、得意の笑顔を駆使しながら、バーで意中の女性を必死に口説こうとする場面など、本作はまさに青春スター、トム・クルーズを際立たせる映画になっている。そして、本作の彼のイメージは、後の『ミッション:インポッシブル』シリーズをはじめ、何度も繰り返し観客に親しまれることにもなるのだ。

 同時に、轟音とともに映し出される、空母から飛び立つ戦闘機や、空中でのドッグファイトなどが展開する圧倒的な映像は、これまでの映画の常識をはるかに超えた、前代未聞のものになっているといえよう。なぜなら本作では、アメリカ海軍の協力のもとで本物の戦闘機を飛ばし、それをそのまま撮影しているからである。この大スケールのアクション映画を製作したのは、この後も大ヒット作を飛ばし続けることになるドン・シンプソンとジェリー・ブラッカイマーだ。

 現在の映画では、危険なシーンをCGによるアニメーションや特殊効果で描けるようになり、たいていのイメージが自在に表現できるようになった。だが、本作のような本物の戦闘機を使った映像の凄みには、まだまだ追いついていないことが、本作を観れば理解できるだろう。その意味で『トップガン』は、映画史における最高峰のアクション映像を楽しめる作品なのだ。とくにいまの世代にこそ、この本物の映像がもたらす圧倒的な臨場感に衝撃を受けてほしい。

 忘れてはいけないのが、ケニー・ロギンスによる主題歌「デンジャー・ゾーン」や、チープトリックの「マイティ・ウイングス」、作曲を担当したハロルド・フォルターメイヤーらによるアンセム、そしてベルリンのバラード「愛は吐息のように」などの“80s”音楽だ。叫ぶようなエレキギターサウンドを中心に、豪快かつ景気の良い、そしてロマン溢れる『トップガン』の世界が、これらの曲で彩られる。時代を代表する作品は、このように様々な方向で魅力を放っているものだ。

 また、主人公のライバル「アイスマン」ことヴァル・キルマーや、毅然とした強さと美しさを兼ね備えたパイロットの教官ケリー・マクギリス、後に「ロマンティック・コメディの女王」としてブレイクするメグ・ライアン、そして名優ティム・ロビンスなどが若い時代の姿で登場するのも見逃せない。

 物語は、インド洋上のアメリカの空母に、ミグ戦闘機が接近し、これを2機の戦闘機が牽制するスペクタルシーンから始まる。そのうちの一機に乗り込んでいるトム・クルーズ演じる“マーヴェリック”と“グース(アンソニー・エドワーズ)”のコンビは、背面飛行のまま降下し、相手の機体にぎりぎりまで接近するという、常軌を逸した曲芸を見せる。ミグは姿を消したものの、マーヴェリックと同時に飛行していた“クーガー”機は、過度の緊張から精神状態を大きく崩し、着艦することもままならないでいた。

 マーヴェリックは、自身と機体を危険にさらしながら、彼らの着艦を手助けする。その一件によってクーガーがパイロットを引退することで、マーヴェリックとグースは、敵機との航空戦闘(ドッグファイト)の技術を学ぶ、エリートパイロットのための訓練校「トップガン」への参加が決定する。そこは、氷のように沈着冷静な「アイスマン」などのライバルがひしめき、しのぎを削っている場であった。その中でもマーヴェリックは、機体を自分の体のように自在に動かす能力と、ルールを飛び越える発想力で頭角を表していく。

 しかし、ある悲劇が起こったことで、あれだけ猪突猛進の活躍を見せていたマーヴェリックは、再起不能といえるほどに精神のバランスを崩してしまう。ここで思い起こすのは、同じように心にダメージを受けたクーガーの存在だ。一見、兵士たちの姿を明るく描いているように感じられる本作だが、そこにはいつでも死の恐怖や、大事な人を失うことのリスクと苦しみがまとわりついている。そんな、軍という組織の持つ残酷さが表現されているところが、ともすれば軽くなってしまう本作の題材に重みを与えているのだ。

 享楽的な表現と、それに並走する悲しみがあるという構図は、『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977年)や『スタンド・バイ・ミー』(1986年)に代表されるように、多くの青春映画に共通するものだ。誰しも、人生のなかで小さくない挫折を経験している。その傷は、完全にふさぐことはできないかもしれない。しかし本作は、そんな絶望の淵から傷だらけで立ち上がる姿を描くことで、多くの観客に明日を生きる力を与えることとなった。そんなマーヴェリックがたどり着くのは、ド派手なアクションシーンとは対照的な、しみじみとした味わいの終着点である。そんな演出こそが、『トップガン』に名作の風格と奥深さを与えているのだ。

 本作を注意深く見ると、じつはスペクタクルシーンですら、そのような抒情的な撮られ方がなされてることに気づくはずだ。とくにオレンジ色に輝く空や、カラフルに彩られる海面など、アクション映画らしくない特徴的な色彩が画面に踊っている。いまは亡き名匠、トニー・スコット監督は、素早いカット割りや迫力ある映像が特徴だが、その映像自体には、映画史のなかでアメリカを代表する、ジョン・フォード監督に通じる、詩的な美しさが宿っているように感じられるのだ。

 トニー・スコット監督は、その後も充実した仕事を続け、本作と同じく代表作となる、アメリカの防衛に対する意見が激しく衝突する潜水艦映画『クリムゾン・タイド』(1995年)を撮りあげる。そして遺作となった映画『アンストッパブル』(2010年)は、『トップガン』同様、失意のなかにある主人公たちが、心の弱さを乗り越えて愛する人々を守ろうと奮闘する傑作だった。これらの作品に共通するのは、“アメリカ魂”といえる、大事な人たちを守りたいと願う市民の素朴な心意気である。

 現実に起こった「アメリ同時多発テロ」後のイラク爆撃を後押ししたように、国を守ろうとする国民の感情は、ときに危うい方向に舵をきることもある。トニー・スコット監督は『トップガン』以降、そんな状況を予言するような、アメリカに内在する問題に、次第に比重をかけていくこととなる。その姿勢は、ジョン・フォード監督や、兄のリドリー・スコット監督がたどったアプローチの変化にも呼応しているように感じられるのだ。

 本来なら、2010年頃に持ち上がった企画によって、トニー・スコット監督がふたたび『トップガン』の続編を監督するはずだった。しかし彼は2012年に自ら命を断ち、人生の終わりを迎えてしまう。彼の作品群に生きる力を与えられてきた、われわれ観客にとって、その報は非常にショッキングなものであった。しかし、トニー・スコットアメリカを代表する監督の一人であることは、すでに撮られた『トップガン』をはじめとする作品の数々によって、これからも歴史のなかで証明され続けることだろう。

 さて、2022年公開予定の『トップガン マーヴェリック』は、『オブリビオン』(2013年)でトム・クルーズと組んだ、ジョセフ・コシンスキーが、新たに監督を務めることになった。当初、豪快な『トップガン』を撮るには、その作風は線が細すぎる印象もあったが、やはり素朴な“アメリカ魂”を美しく抒情的に、そして豪快に描くことになった傑作『オンリー・ザ・ブレイブ』(2017年)によって、続編に俄然期待が高まることになった。さらに『トップガン マーヴェリック』の予告を見る限り、どうやらビーチバレーのシーンもちゃんと用意してあるようだ。『トップガン』の放送を観ながら、この続編へも期待を膨らませたい。
小野寺系

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