ホンダの失策、成功の陰で

ココまでのホンダは、市販車の展開でも第2期F1参戦活動でも(オートバイ世界GPでも)成功していた。

シビックは、当時マクラーレン・ポルシェドライバーだったA・プロストにも売れていた。W・ガードナーは初代プレリュードをヨーロッパ移動のアシに使っていた。バラードやCRXやクイントやインテグラやアコードと、FFにおシャレなデザインの組み合わせは定着していた。

問題は、ソコからの車種展開をどうするかだった。F3やF3000、F1のイメージを活かし、モータースポーツのイメージリーダーカーをどう作るかだった。

また、その時点では成功していた、現存車両の後継車両をしくじらないコトだった。

その答えは、どちらもしくじった!

1つめの失敗は、NSXを待たせた挙げ句にあんなモノを出したコトだ。ホンダはこのクルマを開発する上で、フェラーリ328を比較していた。ならば、無限V8イメージで出せば良かった。レースイメージなら、F3に直4、F1にV6ツインターボを出していた。F1総監督から市販車両開発担当に異動した桜井サンに、期待を膨らませた。それが、誰も期待していない総アルミ造りに、単なる横置V6NA。桜井サンは辞めていた。モータースポーツユースを考えれば、鉄のロールケージ溶接もできないアルミモノコックなど、求めない。せめて、エボリューションモデルで鉄キャビンに直せば良かったのだ。

2つめの失敗は、CRX⇒デルソル、次代プレリュード、そして2.5リッター系インスパイア系など、求められる方向と全く違うモノを出してしまった。きっと、こういうクルマばかりが水面下で進んでいたコトに、桜井サンは幻滅したのだろう。

 

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フェラーリより低いボンネットで話題に! デートカー「3代目プレリュード」実は中身もスゴかった
11/23(火) 6:40 Yahoo!ニュース
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大ヒットしたプレリュードの3代目モデルを振り返る!
 
まるでスーパーカーのようなフォルムだった3代目プレリュードSi
 初代プレリュード(SN型)は、ホンダ念願の多チャンネル展開を担うフラッグシップクーペとして登場した。ホンダらしい先進性のあるスポーツモデルの同モデルは、ベルノ店のスポーティ路線というポジションを確立。しかし本当の意味でホンダの先進性&スポーティ性は2代目でさらに強化され、プレリュードの真骨頂はここから始まることとなった。

【画像】攻めに攻めた3代目プレリュードの革新的な先進技術を写真でじっくり見る

初代モデルから先進性を誇ったバブル時代のプレリュードの変遷
 1978年に登場した初代は、1982年にフルモデルチェンジが行われ2代目モデル(AB型)に切り替わる。クルマのフルモデルチェンジは現在でも大きな話題となるが、この2代目が登場した際は、驚きをもって迎えられた。それは4輪参入後に短期間で一大自動車メーカーとなったホンダが、シビックやアコード、そしてプレリュードといったモデルを立て続けにヒットさせ、さらにこの2代目が大きく変貌を遂げたからだ。
この2代目の注目点はなんといっても外観にある。リトラクタブルヘッドライトの採用をはじめ、主張しすぎない横長で薄口のグリル、そしてグリルの存在感を抑えるべくヘッドライト下部をグリル同色にデザイン。そのほか、ボンネット中央はエンジンが搭載される部分でありながらも一段低く設計するなど、初代モデルに比べるとまさにスペシャリティカーに相応しい佇まいに進化した。
 いい意味で突っ込みどころが満載だった2代目だが、日本車離れが過ぎるというか初代が日本ではヒットせず、反面で海外で実績を伸ばしたためか、姿形を変えた2代目はバブル期に向かう日本では先進性の塊のようなモデルであったといえる。

スペシャリティカーのポジションを2代目モデルで確立!
 それはシャーシ性能にも表れており、フロントサスペンションにダブルウィッシュボーン式、リヤにストラット式を採用。とくに前輪のダブルウィッシュボーン式は、タイヤの性能を十二分に発揮させるためにゼロ・ジオメトリ設計(ゼロ・キャンバー、ゼロ・バンプステア、ゼロ・キャスター)という意欲的なアライメントとされた。高張力鋼板多用のボディと相まって、FFスペシャルティカーの優れたハンドリング性能を確立させた。
 また、各車輪に装着されたセンサーから5段階にブレーキ圧を制御する、日本初の4輪ABSも備えて安全性を考慮。そのほか、先代モデルよりもさらに視認性にこだわったインストルメントパネル(カラーフィルター式液晶デジタルメーターも設定)やバケットシート、小径ステアリングの採用で、ファミリーカーでもスポーツカーでもない、新しい価値観を提示した。
 エンジンは進化型CVCCのCV型デュアルキャブ12バルブを搭載。吸気バルブ2/排気バルブ1の気筒あたり3バルブを採用し、ベンチュリ―型キャブレターを2個連装。1.8Lの直4(ボア×ストローク:80.0mm×91.0mm)ながら、高圧縮比9.4を達成したことと4-2-1-2の排気システムも相まって、最高出力125ps/5800rpm、最大トルク15.6kg-m/4000rpm(グロス)を実現させた。

よりスポーティな走りを享受できる「Si」グレードを追加設定
 このような先進性の高さからホンダを代表するクーペとなったプレリュードは、1985年にマイナーチェンジ。DOHCエンジン搭載のSi(BA1型)を追加。スペシャルティカーでオシャレなクルマはホンダ! というイメージを確定させるのである。 Siに搭載される2.0LのB20A型エンジンは(ボア×ストローク:81.0mm×95.0mm)、4バルブ内側支点のスイングアーム方式のシリンダーヘッドを採用。エンジンブロックは高剛性のクローズドデッキとしており、シリンダーブロックはアルミニウム合金製であった。
 また、バルブリフト10mmという広い開口部をとることで多量の混合気を吸入できるようにし、ふたつの8ビットのコンピュータが電子制御燃料噴射(PGM-FI)と電子点火システム(PGM-IG)をコントロールする、世界初のデュアルCPU仕様であった。ちなみに圧縮比9.4で最高出力160ps/6300rpm、最大トルク19.0kg-m/5000rpm(グロス)の高性能を発揮する。
 そのためボンネットにはパワーバルジが備わり、新デザインのボディ同色エアロバンパーを装着。ホンダのフラッグシップたるスペシャル感はそのままに、力強さも感じさせる外観へと変貌。インテリアは新デザインの3眼メーターと本革ステアリング、ランバーサポート付き運転席、5速MTに加えて2/3/4速のロックアップ機構付き4速ATを設定して、時代の寵児たる「プレリュード」が完成したのである。

軟派なデートカーのイメージが先行するもシャーシ性能はピカイチ!
 バブル真っ只中、1987年に登場した3代目は、日本のデートカーやパーソナルクーペ、スペシャリティカーなど、さまざまな敬称を体現したモデルであり、この時代のホンダ車の象徴となる一台であった。特徴は世界初の舵角応動型4WSや4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンション、新ABSなどだが、まずはスタイリングから見ていこう。
 プレリュードらしいロー&ワイドのフォルムは、低い全高はそのままに先代モデルよりも全長85mm、全幅を5mm拡大。エンジンを18度後傾して搭載したことでボンネット中央部の高さも先代比で30mm低下させ、リトラクタブルヘッドライトの継承により低くてカッコよく、バブル期のトレンドを確立した。
 さらにトランクリッドをスポイラー形状としてエアロ効果を高めたほか、整流効果の高いボンネットディフレクター、フラッシュサーフェイス化も進められてCD値0.34を実現。
 インテリアも細いピラーによってワイドなガラスエリアを確保したほか、大型センターコンソール付きのインストルメントパネル、機能的なメーターレイアウトで先進性をアピール。シートも運転席にはメモリー機能付きリクライニングやランバーサポート&サイドサポート調整機能を備えており、高められた遮音性もあって快適な室内としていた。 前述の通り、サスペンション形式はホンダのお家芸の始まりとなる4輪ダブルウィッシュボーン式。それに加えて、世界の主要国で200以上の特許を取得した4WSシステムは、ステアリングの舵角に対して後輪を同位相から逆位相させるホンダ独自の舵角応動タイプが採用された。
 その機能は、高速走行時などでは後輪を同位相に操舵、車庫入れなどの低速走行時では後輪を前輪と逆位相とすることで、俊敏で安定した操舵特性と高い小回り性を両立。システムは前後輪をメカニカルで直結した信頼性の高い機械式連結作動とすることで、素直なクルマの動きを生み出していた。 ほかにもブレーキはすべての仕様で4輪ディスク式となったほか、3チャンネル・デジタル制御のABS(当時の呼称はALB)も用意されて、安全性も飛躍的に高められた。

エンジン屋のホンダゆえ? PGM-FIとキャブモデルをラインアップ
 エンジンはすべて2.0L直4B20A型(ボア×ストローク:81.0×95.0mm)で、先ほど18度後傾して搭載したと紹介したが、ホンダはこのレイアウトによって抵抗の少ない吸排気系が設計できたと説明している。可変式デュアルポート吸気マニホールドを採用したDOHC16バルブは、圧縮比9.4で最高出力145ps/6000rpm、最大トルク17.8kg-m/4500rpmを発揮。SOHC12バルブが圧縮比9.1で110ps/5800rpm、15.5kg-m/4000rpm(すべてネット値)となっていた。 面白いのはDOHCが電子制御燃料噴射のPGM-FIを採用することに対して、SOHCは2連キャブレター式を用いていること。この時代、他社は新開発や世界初などを売りにしたモデルが多く、プレリュードも4WSなどがこれに相当するが、ことエンジンに関してはキャブレターを残すなど、差別化が図られていた。
 おそらく2輪でキャブレターの実績も豊富だったホンダだけに、キャブレターでも十分な性能が得られるという技術の蓄積があると踏んでいたのだろう。タイヤも仕様に合わせて165SR13~195/60R14と細かく採用が分かれており、車種だけではなくひとつひとつのグレードの最適化が追及されていたことが伺える。

TCVなどの先進装備がさらに充実! 幅広い世代から愛されるモデルに成長
 こうして洗練された都会的な2ドアクーペとして若者垂涎のモデルとなったプレリュードは、1989年のマイナーチェンジでさらに製品力を向上。トラクションコントロールとビスカス式L.S.D、4WSの3チャンネル・デジタル制御ALB(ABS)を組み合わせた新システムのTCVを設定して「走る、曲がる、止まる」を強化する。本革ステアリング採用などの内外装の充実もあって、一段と魅力を高めるのである。
 そしてリトラクタブルヘッドライトやグリルレスが特徴のプレリュードに、異色のモデル「inx(インクス)」も登場。こちらはリトラではない薄型ヘッドライトにフォグランプ付きグリルを装着してボンネットも専用の量感あるデザインとなり、バンパーも専用デザインとしていた。また、本革巻きステアリングはエアバッグ付きとなったほか、フルモケットシート、布張りのルーフライニングやサンバイザーを装備したことで、より幅広い年齢層へと訴求するモデルとなっていた。
 モデル末期の1990年には2.1Lエンジンと全幅1715mmの「Si States」を発売。3ナンバーボディとなる次期型のリサーチ? と思われる特別仕様車が発売された。なお型式は4WSなしがBA4型、4WS付きがBA5型、3ナンバー仕様がBA7型となっていた。 こうしてプレリュード史上もっとも売れた3代目は、当時シビック/アコード/インテグラと並ぶホンダを代表するモデルとなっていった。現在、40代~50代の団塊ジュニア世代の人たちは、さぞかし2&3代目のプレリュードに一家言ある方が多いに違いない。


■ホンダ・プレリュードSi(BA1型)SPECIFICATION
〇全長×全幅×全高:4375mm×1690mm×1295mm
ホイールベース:2450mm
トレッド 前/後:1470mm/1470mm
〇車両重量:1040kg(ABS付きは1050kg)
〇乗車定員:4名
〇最小回転半径:5.1m
〇室内長×室内幅×室内高:1670mm×1390mm×1055mm
〇エンジン:B20A型直列4気筒DOHC16バルブ
〇総排気量:1958cc
〇最高出力:160ps/6300rpm
〇最大トルク:19.0kg-m/5000rpm
〇サスペンション 前/後:ダブルウィッシュボーン式ストラット式
〇ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
〇タイヤサイズ 前後:195/60R14


■ホンダ・プレリュードSi(BA5型)SPECIFICATION
〇全長×全幅×全高:4460mm×1695mm×1295mm
ホイールベース:2565mm
トレッド 前/後:1480mm/1470mm
〇車両重量: 1130kg(ABS付きは1140kg)
〇乗車定員:4名
〇最小回転半径:4.8m(4WSなしは5.3m)
〇室内長×室内幅×室内高:1695mm×1420mm×1060mm
〇エンジン:B20A型直列4気筒DOHC16バルブ
〇総排気量:1958cc
〇最高出力:145ps/6000rpm
〇最大トルク:17.8kg-m/4500rpm
〇サスペンション 前後:ダブルウィッシュボーン式
〇ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
〇タイヤサイズ:前後:195/60R14

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