ガルウィングドア、ちゃんと意味を考えた?

ガルウィングドア、ベンツ300SLやランボルギーニカウンタックらは、ちゃんとそうする必然性があったのだ。

パイプフレームを高めに通すと、サイドシルが高くなり、昇降に支障を来す。

上にも横にもアタマや足を出すスペースが必要だし、ドアを開くスペースにも限界がある。だから、ドア前方を支点に上げるか、屋根を支点に上げるかを選択する。前者なら左右にはハミ出さないし、後者なら前後にハミ出さない。インセクトタイプはピラーを支点にするため、斜め上で横にも広がる。

バカデカいドアを使うのは、意義的にも実用的にもダメだと思う。

デロリアン、AZ1、テスラ、セラ、どれもハッキリ言って、この面積のドア作るなら、意味はなかった。ファッションだけだ。

 

 

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ガルウィングドアはお荷物装備! ?悲喜こもごも…ガルウィングドアで成功したクルマ、失敗したクルマ
11/30(火) 11:45 Yahoo!ニュース
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ベストカーWeb
 上部に跳ね上がるようにして開くガルウィングドア。実は、純粋にガルウィングを採用しているクルマは意外なほど少ない。

【画像ギャラリー】没個性じゃないクルマが勢ぞろい!(17枚)

 ガルウィングドアを採用するクルマから連想するのは、ランボルギーニカウンタックのようなスーパーカーだろうが、カウンタックのドアは正確にはガルウィングドアではないのだ。

 今回は、このように勘違いされていることが多い、ガルウイングドアについて検証してみたい。

 文/藤原鉄二、写真/トヨタ、テスラ、Lamborghini、McLaren、FavCars.com、Newspress UK

正真正銘のガルウィングドアを持つクルマは意外と少ない!
 
世界初のガルウィングドアを擁したクルマは、1954年に登場した「メルセデス・ベンツ300SL」。レースでの乗降のしやすさを考慮した結果、ガルウイングドアが開発された
 ガルウィングのガルとは、「かもめ」という意味で、ドアを開けた時にかもめが翼を広げているように見えるスタイルを持つのが本来の意味ではガルウィングと言える。

 純粋なガルウィングドアを持つクルマはというと、代表的なのはメルセデスベンツ・300SLやデロリアンDMC-12。

 具体的には、ドアヒンジがAピラー付け根周辺にあって、前上方に持ち上げて開くドアは、「シザーズドア」と呼ばれている。ちなみに、シザーズとははさみという意味だ。ランボルギーニ以外では、童夢零、ブガッティEB110などが採用している。

 もうひとつは、シザーズドアと構造はかなり似ているが、Aピラー付け根周辺とルーフなどにヒンジがあり、ドアを前上方にひねるようにして開く構造を持つのが「バタフライドア」マクラーレンF1、エンツォフェラーリ、ラフェラーリBMW i8などがバタフライドを採用している。トヨタ・セラのドアもバタフライドアに分類される。

 他に、ドアが外に少し開いた後に垂直に回転して開くという少し複雑な動きをする「ディヘドラル・シンクロ・へリックス・アクチュエーション・ドア(ラプタードア)」、少し斜め上方向に開く「スワンドア」、一体化したドアとルーフが上に持ち上がる「キャノピードア」など、似て非なる方式が存在する。

ガルウィングはかっこいいけど、使い勝手が悪すぎる!?
 
第46回東京モーターショー2019において、世界初公開されたトヨタのEVのコンセプトカー「LF-30 Electrified」。これはガルウィングだったが、量産車での採用の可能性はゼロだろう
 ガルウィングドアは元来、レース中のレーサーが乗降しやすいようにと採用されたシステム。もちろん、市販車であっても乗降のしやすさを求めるなら、ガルウィングがベストと言える。

 しかし、ガルウィングドアが普及しない原因のひとつはコストがかかりすぎるという点。通常のドアよりもルーフ部分の補強が必要だったり、取り付け行程が増えることがコスト増につながってしまうのだ。

 横転時に脱出が困難になってしまうという安全面での問題も障壁となっている。

 また、ドアの開閉時には車両の上方向にかなりのスペースが必要なため、天井の低い場所ではドアが開閉できなくなってしまう……。さらに、身長の低い人や非力な人はドアの開閉にかなり苦労するという難点も。

 ここからは、良くも悪くもガルウィングドアを持つことで熱い注目が注がれた4台をピックアップしてご紹介しよう。

"なんちゃってスーパーカー"で終わった!?「デロリアンDMC-12」
 
デザインはジウジアーロが手がけたデザインは秀逸だったが、パワーウエイトレシオが激悪で、スーパーカーと呼ぶにはほど遠いスペックだった
 1981年から1982年にかけてデロリアン・モーター・カンパニーから販売されたデロリアンDMC-12。1985年に公開された、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場するタイムマシンの改造ベースとなった車両として登場して一躍有名になった。ジョルジェット・ジウジアーロの手による前衛的なデザインが話題となった。

 しかし、約1600万円と高額なうえに、ステンレス製のボディは1233kgと重い、なのに150 hp(ヨーロッパ仕様)と非力。だから遅いというスーパーカーと呼ぶには「?」が付く動力性能。おまけに、ドアから下がったベルトを引いて閉めなくてはならないというドアの開閉に体力を消耗する激重ガルウィングドアは大不評。たった1年ほどで生産終了となってしまった……。それでも、約8500台が製造された。

 ということで、デロリアンDMC-12はセールス的には大失敗だったが、映画の大ヒットにより、クルマに興味がない人にもデロリアン、そしてガルウィングドアという名称を知らしめることになった。

 もしかしたら「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開年まで生産が続いていたら、もう少しセールス的に成功を収めることができたかも!?

唯一無二だったの軽自動車ガルウィングオートザムAZ-1
 
最大出力64ps、最大トルク8.7kgmの水冷直3ターボは、数値的にはそれほどでもないが、車両重量が720という超軽量ボディゆえ、走りは超速に感じるスパルタンカーだったが……
 乗降用途としての純粋なガルウィング持つ市販車は、マツダAZ-1と、AZ-1OEM車であるスズキ・キャラのみだ。

 ちなみに、過去にウォークスルーバンのダイハツ・ミラ ミチートという移動販売車も発売されていたが、このドアに関しては乗降用途ではなく、基本は対面販売や荷物の積み下ろしなどが目的だった。

 1990年に登場したトヨタ・セラから約2年半ほど遅れての登場となったものの、当時のインパクトは強烈だった。ガルウィング、それも軽自動車がガルウィングを採用するなど、世界的にも前代未聞のビッグチャレンジだった。

 課題とされていた横転時の安全性は、マツダが安全性を証明するための実証実験を実施して安全性を証明してクリアした。

 一時は、ホンダ・ビート、スズキ・カプチーノとともに「ABCトリオ」ともてはやされたものの、ライバル2モデルと比較してガルウィングドアにばかり注目が集まり、肝心の走行性能部分にはスポットが当たることが少なかった。それもあってか、販売台数は伸び悩み、たった3年で姿を消すことになってしまった。

クロスオーバーSUVガルウィング!?型破りの「テスラ・モデルX」
 
正真正銘のガルウイングが日本上陸。ベースグレードの60Dで895万円と、テスラにしては安価な価格設定も話題に
 日本では久々のガルウィングモデルの販売となったのがテスラのEVクロスオーバーSUV、モデルXだ。

 ただし、テスラはガルウィングドアとは呼ばず「ファルコンウィングドア」と呼んでいる。ちなみに、前席は通常のドアで、後席部分がファルコンウィングドアとなっている。

 ファルコンウィングドアが既存のガルウィングと異なるのは、ガルウィングドアの折れ曲がる部分であるヒンジがひとつなのに対し、ファルコンウィングドアのヒンジはふたつという点。その結果、開閉時のスペース問題をクリア。両サイドに隙間が30cmほどあればドアを開閉できるため、狭い駐車スペースでも利用できるのだ。

 このドアの実用性に関しては評価は高く、ガルウィング採用の量産モデルとしては成功した部類に入るだろう。

なんちゃってガルウィングトヨタ・セラ」
 
まさかコンセプトカーのまま市販化されるとは!!と、世を驚かせたセラ。サイノスの派生モデルとして登場した
 ガルウィングドアを持つクルマと表記されることが多いが、前述のとおり正確にはセラの場合はバタフライドアなので、これは番外編。モーターショーに出展されたコンセプトカー「AXV-II」をそのまま市販化、それも当時は保守的というイメージがあったトヨタが世に送り出したことは衝撃的だった。

 ベース車両がスターレットとはいえ、コストのかかるガルウィングや巨大なガラス製キャノピーを採用して価格は160~196万円!出血大サービス、トヨタにとっては薄利多売のクルマであったことは間違いない。

 ガルウィングの欠点のひとつである、ドアの開閉時に必要なスペースの大きさもバタフライドアとすることでクリア。逆に、通常のドアよりもスペースを必要としないほどだった。

 ただし、ドアの開閉はダンパーによりサポートされていたものの、重さの問題を完全にはクリアできず。さらに、ダンパーが少しヘタると重さは増大するだけではなく、跳ね上がったドアが落ちてくるといったことも……。

 結局、フルモデルチェンジは実施されることはなく、一代限りのモデルで終わった。

 とにかく、ガルウィングドアは見た目は奇抜でかっこいいものの、メーカーにとっても、ユーザーにとってもデメリットのほうが多い。それ故、今後ガルウィングドアを積極的に採用していくメーカーは少ないだろう……。とはいえ、クルマの没個性化が叫ばれるなか、AZ-1のような遊び心のあるモデルの登場を期待する人は少なくないはずだ。

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