"公道最速理論"ポルシェケイマンという選択

「MFゴースト」は、あくまでしげの秀一のマンガであり創作だ。願望の表現と言っても良い。「頭文字D」では、峠の下りで基本国産車相手とはいえ、無敵のAE86トレノを作り、上りではNSXにすら勝つFDのRX7を作った。その延長が、当作品のライバル設定なのだ。

ポルシェ911GT3やGTSやケイマン、フェラーリ488、ランボルギーニラカンアウディーR8、BMW M6、メルセデスAMG-GT、ロータスエキシージ、アルファ4C、ニッサンGT-R、アルピーヌA110、ホンダNSXにトヨタスープラと86。

ケイマンのM・ベッケンバウアーは途中出場ながら、前年ランキング12位、フルエントリーでは石神の911GT3らのスーパーカー群すら相手にしていない。

コースはクローズドサーキットではなく、公道。馬力発揮どころか、全開区間すら殆どない。しげの秀一が「頭文字D」で明かさなかった、この展開は"公道最速理論の実践編"なのだ。

GT3よりケイマン、GT-Rより86やスープラ、少しずつ明かされて来ている。

本来911より下位の位置付けのボクスター/ケイマン、996より1リッター排気量小さいNAフラット6を積んでいた。914/6的だったが、718ではフラット4ながらターボで相対関係が変わった。発生するトルクはミドシップと相俟って、実のところ911以上の運動性を与えた。

 

 

 

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選ばれし名門ポルシェは911にあらず!! 『MFゴースト』名車列伝09 718ケイマン 編
2022/02/13 12:32 ベストカーWeb

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 伝説のクルママンガ『頭文字D』の意思を現代に受け継ぐ次世代のクルママンガ、『MFゴースト』。2017年の連載開始時から圧倒的な読者人気を獲得しており、12巻発売時点の現在で、ついに単行本累計発行部数320万部を突破した。

 同作品に登場したクルマたちの世界観と魅力を読み解いていく本連載。第9回となる今回は、第1回に続いてポルシェから、718ケイマンを紹介する。若くして王者の風格を持つベッケンバウアーがこのモデルを選んだ理由とは!?

電動化を生き残れ!! 世界のスポーツカー サバイバルへの道【ヨーロッパ編】

文/安藤修也
マンガ/しげの秀一

■「911」との関係、「718」の由来とは?

 「ポルシェ」というブランドは、フォルクスワーゲンの開発者であったフェルディナント・ポルシェ博士とその息子が生み出し、創業した。ポルシェ356から続くスポーツモデルの血脈をしっかり受け継いでおり、「ポルシェの歴史はスポーツカーの歴史」と言っても過言ではないほどで、現代においてその代名詞となっているのが「911」であることは言うまでもない。

 一方、ポルシェ内においては亜流とも言えるのが、1996年に登場した「ボクスター」の系譜である。このボクスターは本格的な走行性能を備えた軽量オープンスポーツで、またたく間に人気となったヒットモデルだが、2代目の時代に派生車として誕生したのが、ルーフを備え付けたクーペ版ボクスターとなる「ケイマン」だ。

ポルシェ 718ケイマン(GTS・7速PDK)/全長4385×全幅1800×全高1285mm、パワーユニット:2.5L 水平対向4気筒ターボエンジン、最高出力:365ps/6500rpm、最大トルク:430Nm/900-5000rpm

 ただし、この「ボクスター/ケイマン」シリーズには、エンジンをボディの中央に近い位置に搭載するミッドシップレイアウトが採用されており、扱いやすいボディサイズで、しかも2シーターモデルとなっている。ある意味、2+2シートの911より走ることに特化した設計となっており、スポーツカーとしての素性は911より優れていると言う人さえ存在する。

 コンパクトスポーツのベンチマーク的存在として、すでに15年以上、3代に渡って販売されてきたケイマンだが、2016年に登場した現行型、つまり3代目モデルでは車名に「718」が付けられ、「718ケイマン」となった。この数字は、19 50~1960年代に活躍した同ブランドのレジェンドレーシングカーの名称にちなんでいるという。

■操るのはドイツ人の最強ドライバー

 この718モデル以降、水平対向4気筒ターボエンジンが搭載されることになり、よりシャープでアグレッシブな走りを手中にしている。2019年には、水平対向6気筒エンジンも復活しているが、クルマにとって最も重いアイテムでもあるエンジンを車体中央に低重心で搭載するレイアウトによって、素晴らしくコントローラブルなモデルに仕上がっている。

 『MFゴースト』の作中で、この718ケイマンを操るのは20歳のドイツ人、ミハイル・ベッケンバウアーだ。彼はカーナンバー12をつけているが(つまり前年度ランキングが12位ということ)、それは前年のシーズン途中からMFGに参戦したため。新シーズンの第1戦「小田原パイクスピーク」では見事にポール・トゥ・ウイン、第2戦「芦ノ湖GT」ではケイマンSからケイマンGTSへと乗り換え、やはりポールポジションから優勝を果たしている。

 そして、このベッケンバウアーの718ケイマンが真価を発揮したのが、第3戦「ザ・ペニンシェラ真鶴」である。開幕当初から戦闘力の高さを示し、無敵と思われた718ケイマンとベッケンバウアーだったが、初戦から印象に残る走りを披露するトヨタ 86(片桐夏向)と第2戦で718ケイマンに迫ったアルピーヌ A110(沢渡光輝)が、予選で続けざまにコースレコードを叩き出し、最後に走行してポールを獲得した718ケイマンとともに、伝説のデモタイムを破った。

 決勝レースがスタートすると、718ケイマンと2位につけるアルピーヌA110はランデブー走行を始め、第2戦同様、一騎打ちの様相となったかに思われた。

 しかし、ペースを抑え気味の718ケイマンと後方に沈んでいくトヨタ 86の様子を気にしていたA110は、ファイナルラップでいよいよフェラーリ488GTBに追いつかれてしまう。長いトンネルエリアの「ミッドナイトストレート」では、そのハイパワーを活かしたフェラーリに抜きさられ、トップの座を譲ることになる。

■時代に沿ったモダンな進化

 その後にエキサイティングな展開が待っていた。狭くツイスティな「半島区間」エリアに入ると、軽量でコントローラブルな2台にとって有利な展開となり、先にアルピーヌA110が巧みなコーナリングで先頭に躍り出ると、それに続くように718ケイマンもボディをぶつけながらギリギリのドッグファイトフェラーリの前へ出たのである。

 ここで調子を取り戻したトヨタ 86もフェラーリを交わして先頭の2台に迫ってくる。一旦は86が藤原拓海直伝の「ミゾ落とし」を披露して718ケイマンをかわしたが、登り区間に入ると718ケイマンが仕掛ける! 横並びになった718と86は、なんと3つのコーナーを並走。4つ目のコーナーでノーズを前に突き出した718がライトウェイト対決を制する。

 この隙に20mほど差をつけたトップのアルピーヌだったが、ここでベッケンバウアーが「本気のスプリント」をさらけ出す。「主屋コーナー」と呼ばれる高速コーナーでフルブレーキング、アウトから並びかけて首位を奪還。そのままフィニッシュして、今季2勝目を納めることとなった。

 アルピーヌと86を追い抜き、引き離す、このスリリングな攻防のなかにあっても、718ケイマンはどこか静かな雰囲気を漂わせている。これが精緻なスタイリングのせいなのか、ベッケンバウアーの表情のせいなのかわからないが、718ケイマンは読者の心すらコントロールしてしまうようだ。

 911ほど強烈な個性はない。しかし、ファン・トゥ・ドライブで毎日でも乗りたくなってしまうクルマとは、こういうものなのではないだろうか。

■掲載巻と最新刊情報

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