リトラクタブルヘッドライト

元々、欧米でヘッドライト照射位置の最低地上高を規制されていたから、ライトオープンにした時に規制をクリアする意図だった。

リトラクタブルヘッドライトでも、

主には

1、ランボルギーニカウンタックフェラーリBB的に、蓋で完全に隠れるタイプ

2、ランボルギーニミウラやポルシェ928的に、平面的位置から起きるタイプ

3、ニッサンZ31フェアレディーZやホンダバラードCRX的に、蓋で半分隠れるタイプ

らがよく見られた。

フェラーリF40やランボルギーニディアブロまではリトラクタブルヘッドライトだったハズ。本来はヘッドライト点灯時に空気抵抗にもなり、ありがたくなかったハズ。

この規制は80年中盤以降に緩和され、ヘッドライトはフラッシュサーフェス化されるようになった。

ランボルギーニディアブロは、マイナーチェンジ時にニッサンZ32型フェアレディーZのヘッドライトに付け替えた。

**********************************

スーパーカーの象徴「リトラクタブル」ライトはどうしてなくなった? 隠れるヘッドライト3選
3/21(月) 7:10 Yahoo!ニュース
 27
 
点灯しないときはいっそのこと隠してしまおうという発想
 樹脂製レンズの製作技術の進化やLED化にともなって、21世紀以降はボディラインの一部となるようなデザインが一般化したヘッドライト。

【画像】格納するヘッドライトで個性を出していたクルマを見る(13枚)

 しかし20世紀後半には、専門メーカーから供給を受ける丸型2灯/4灯や角型2灯/4灯の規格サイズのものを装着し、ボディデザインも、規格型のヘッドライトを前提とするというのが一般的だった。そうした状況でも自動車デザインにおける自由を求めるスタイリスト(デザイナー)たち、空力面などでの効率を求めるエンジニアたちは、さまざまのアプローチでヘッドライトを「隠す」ことを思いついたとされている。

 今や新車としては事実上の死滅状態にある、隠れるヘッドライトの手法を3つピックアップ。解説させていただくことにしよう。

 
トヨタ2000GT」のヘッドライトは、リトラクタブル。グリル両サイドにあるライトはフォグライトだ
●ライト全体をカバーで隠すタイプ

 20世紀中盤までのクルマでは、ラジエーターグリルは機能をそのまま示すようにノーズのセンターに独立して、クルマの「顔」の中核をなしていた。ところが1950~1960年代のアメリカ車あたりから、ジェット航空機がデザイン上のアイドルとなり、ラジエーターグリルも単なる「エアインテーク(空気取り入れ口)」のように見せるデザインが主流となってゆく。

 そこで、さらにフレッシュかつクールなデザインを目指したアメリカのデザイナーたちは、ラジエーターグリルの一部のように見せるためにグリルと繋がるデザインとされた可動式のカバーで、ヘッドライトを隠すデザインを発案するに至ったという。

 
ダッジ・チャージャー
「ハイドアウェイ・ヘッドライト(Hideaway Headlight:隠れたヘッドライト)」とも呼ばれるこの手法では、代表格のひとつである初代シボレー「カマロ」のように、カバーを左右にずらすもの。あるいはダッジの初代「チャージャー」やマーキュリー初代「クーガー」のごとく、カバーを90度クルリと回転させて、ライトユニットの上ないしは下に逃がすものなどが、いずれも1960年代後半から登場していたとのことである。

 また、昔ながらのラジエーターグリルをセンターに堂々と掲げたキャデラックやリンカーンでも、1970年代にはハイドアウェイ・スタイルが、あくまで一時的ながら流行していたようだ。

 さらにアストンマーティンが1970年代末、実験的に製作したスーパーカー「ブルドック」では、前後で二分割したフロントフードの後半部前端にヘッドライトを並べ、消灯時には前半部を電動で昇降させることで隠すという大胆なデザインに挑戦していた。これも、ハイドアウェイ・スタイルの拡大解釈といえるかもしれない。

リトラクタブルライトの盛衰の理由はアメリカの法律にあった!?
 固定式ヘッドライトの全体ではなく、一部のみをカバーやルーバーなどで隠し、薄目を開けたようにも見えるスタイルは、筆者の記憶が確かならば、1960年代初頭からイタリアのカロッツェリアベルトーネ」にて、当時若くしてチーフスタイリストに就任したばかりのマエストロ、ジョルジェット・ジウジアーロ氏が、いくつかのコンセプトカーで実験的に採用されたのが始まりと思われる。

 
ランボルギーニ・ハラマ(点灯時)
●ライトの一部をカバーやルーバーで隠すタイプ

 出世作アルファロメオ「ジュリア・スプリントGT」において「段つき」スタイルのフロントマスクを発案したのは、マエストロ曰く「ノーズを低く見せたかったから」とのこと。このヘッドライトのデザイン処理も、目的は同じとみて間違いあるまい。

 また、マルチェッロ・ガンディーニ氏がベルトーネのチーフの座に就いたのちには、アルファロメオモントリオール」やランボルギーニ「ハラマ」などの市販モデルにも正式採用されていた。

 わが国では「セミ・リトラクタブル」などとも呼ばれるこの様式は、ライトユニット全体を作動させる「リトラクタブル」式ではモーターなどの収納機構にトラブルを起こし、ヘッドライトが点灯不能になってしまうトラブルも避けられるほか、コストや重量の点でも有利となることから、ひところはなかなかの隆盛を見せたようだ。

 かつてこのスタイルのパイオニアのひとりであったジウジアーロベルトーネを離れ、自ら「イタルデザイン」社を興したのちに手掛けた初代いすゞ「ピアッツァ」や、ホンダ「バラード/バラードスポーツCR-X」前期型など1980年代の国産車でも採用されることになった。

 
Z31系フェアレディZ/300ZX
●ボディやボンネットに収納されるタイプ

 ユニット全体が作動し、ボディに収納されるヘッドライトは「リトラクタブル」ないしは「ポップアップ」などと呼ばれる。後者のライトはランボルギーニミウラ」やポルシェ「928/968」のように、消灯時には上方を向いたかたちで露出しているので、ここでは完全に隠れる前者、リトラクタブル式についてお話ししたい。

 生産モデルで最古の採用例となったのは、アメリカで1935年に登場した「コード810/812」。これはデザイン的な革新性をアピールすることが目的で、そのあとの追随者は「ビュイックY-Job(1938年)」など、一部のデトロイト製コンセプトカーなどに限定された。

 しかし1960年代を迎えて、とくにアメリカの法制が求める対歩行者安全とエアロダイナミクス、および先鋭的な低いノーズを両立するために「必要な時だけ、法規制を満たす高い位置に露出するヘッドライト」としてリトラクタブル式が復活を遂げることになった。

 1966年デビューのマセラティ「ギブリ」(初代)や、翌年登場したフェラーリ「365GTB/4デイトナ」あたりを皮切りに、イタリアのスーパーカーではセオリーのごとく採用。ヨーロッパやアメリカ、そして日本でも一大ブームを巻き起こしたのだが、1990年代になると、これもアメリカの一部の州からヘッドライトの常時点灯を求める法制が発生したことから、急速に衰退してしまうことになった。

 蛇足ながら日産「フェアレディZニッサン300ZX(3代目Z31シリーズ)」に採用された「パラレルライジングヘッドランプ」は、同時代のピアッツァやCR-Xに近いものとも思われるが、ヘッドライトユニット自体が動くのでリトラクタブルの仲間とみてよいだろう。

 リトラクタブル式やポップアップ式のヘッドライトについては、その作動スタイルにもバラエティがあるので、いずれまたの機会にもっと掘り下げてみようと考えている。
武田公実

**********************************