コレぞ、ザ・田村正和!「ニューヨーク恋物語」

ニューヨーク恋物語」ストーリーとしてはⅡも作られ、篠ひろ子らと共演したが、コメディータッチのⅡはあまり好きではなかった。当時の田村正和は、「笑う役は、あまり好きではない。」と言っていたハズ。やはり、Ⅰの方が、当時コメディー多かったカレには、久しぶりのニヒルな役だった。

かつて不倫関係にあった魏涼子と娘五十嵐いずみと再会、一部始終を岸本加世子が見ていた。田村正和はダマされ、店を出て姿を消した。事業に成功した岸本加世子は、全てをなくした田村正和と再会、カレを立ち直らせ、日本へ帰って行く。

田村正和はドラマの中で、一切笑わなかった。空港で岸本加世子を見送り、1人で歩き出す。

コレと並ぶのは、「過ぎし日のセレナーデ」しかない。関根恵子田村正和古谷一行で取り合った一方、息子役野村宏伸との最期の和解と死別、全てあった。

 

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田村正和が残した名作「ニューヨーク恋物語」主題歌は井上陽水「リバーサイドホテル」
4/3(日) 6:00 Yahoo! JAPAN
 
1988年10月13日 フジテレビ系ドラマ「ニューヨーク恋物語」の第1回が放送された日
真田広之柳葉敏郎も引き立て役? 田村正和主演「ニューヨーク恋物語

1980年代を代表する二枚目俳優は誰か。さまざまな意見があるだろうが、私の独断は田村正和だ。

それまでの美剣士や繊細な美青年役から脱皮するかのごとく、『パパはニュースキャスター』や『うちの子にかぎって…』などで、コミカルな役にも挑戦した80年代の正和。だが、二枚目のイメージは頑なにくずさなかったように思う。バラエティ番組やトーク番組にはほとんど出ず、私生活が見えない。それが、さらにミステリアス感と二枚目度を高めていた。

そんな正和の二枚目成分を凝縮したようなドラマが、1988年に放送された『ニューヨーク恋物語』だ。全編ニューヨークロケという、バブル期ならではの贅沢さ。

主要の登場人物は、男3人女5人のみなのだが、桜田淳子を除く4人の女が、ワケありバーテンダー役の正和に惚れる。残りの男性2人、真田広之柳葉敏郎は、正和の引き立て役でしかなかった。

世紀の二枚目・田村正和だから納得?“惚れさせるきっかけ”

惚れさせるきっかけがすごい。右手にホットドッグ、左手にコーラを持って、ニューヨークの街を歩く岸本加世子。向かいから歩いてきたトレンチコート姿の正和、彼女のヒールの靴紐がほどけているのに気づくと、突然ひざまずいて靴紐を結び、何も言わずに去っていく。

女子大生役の五十嵐いづみは、服にコーラをかけられたことがきっかけで正和に惚れる。急いで白ワンピースを買ってきて、「きっと似合うよ」と言って五十嵐に渡す正和。

ベタといえばベタなのだが、いいじゃないか、正和だもの、ニューヨークだもの、と思わせる力技で私を納得させた。

最終回、正和が岸本の髪を洗う場面は、当時かなり話題になった。シャンプー台もシャワーもないビルの屋上で、岸本の頭を膝にのせ、バケツの水をかけて髪をすすぐ正和。洗うほうも洗われるほうも大変そうだが、そんなことはいいのだ。正和だもの。

ふと思う。ほんとうに正和は二枚目なのか? 隙がないくらいカッコいいのか? いや、そんなことはどうでもいい。田村正和こそ、世紀の二枚目。その大前提にのっかってこその『ニューヨーク恋物語』なのだから。

イントロからカッコいい!井上陽水が歌う「リバーサイドホテル」

そして忘れちゃならない、主題歌は井上陽水の「リバーサイドホテル」。

 ホテルはリバーサイド
 川沿いリバーサイド
 食事もリバーサイド

… って、そのまんまじゃん! とツッコミたくなる歌詞なのだが、そこは陽水。思わせぶりなイントロから、もうカッコいい。

コートのポッケに手を入れながら、ニューヨークを歩く正和。そこに流れる「リバーサイドホテル」。ニューヨーク、正和、陽水。当時、この3つの力技に抗える女なんて、いなかったはず(ですよね?)。

※2017年8月24日、2018年10月13日に掲載された記事をアップデート
平マリアンヌ

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