フェラーリ208GTBターボ・・・F40への展開。

あのフィオラバンテの最高傑作と言われた、フェラーリ・ディノ206/246GT。N・ラウダがフェラーリF1加入時、開発に加わったとされるのが、フェラーリ308GTBだ。ディノ同様に横置した3リッターV8、当時のF1同様でロータス・ヨーロッパらにも使用されたFRPボディーなど、当時最先端のアイディア技術を盛り込んだクルマだった。

その308GTB系に、主としてイタリア市場向けとして2リッターV8を同じレイアウトした208GTB/ターボを設定した。フェラーリF1ではギャレット製ターボを使用するが、このクルマでは当初はKKK製だったが、以後IHI製ターボを使用している。車幅は1.7mを超すため、日本では5ナンバーにならない。BMW320以下と同じ扱いだ。

エンジンがキチンと動くなら、2リッターV8ターボは3リッターV8NAにパワーで劣ってもトルクで凌ぐ。まして、最終的にほぼ同等にもなった。

 

 

 

 

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フェラーリにイタリア限定があった! 名前に数字の付かない「GTBターボ」とはどんな跳ね馬?
4/6(水) 12:10 Yahoo!ニュース
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フェラーリ「328GTB」のような「GTBターボ」ってナニモノ?
 かつての日本と同じく、2000ccを境として自動車税額に大きな隔たりがあったイタリア国内マーケットに向けて、1970-80年にはスーパーカーを専業とするメーカーたちも、排気量を2リッター以下に縮小したモデルをイタリア市場限定で販売。ランボルギーニは「ウラッコP200(1974年)」、マセラティも「メラク2000GT(1977年)」を発売した。

【画像】308台しか生産されなかったレアなフェラーリ「GTBターボ」を見る(27枚)

 
イタリア国内市場専用モデルであるフェラーリ「GTBターボ」は、308台のみ生産された(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
●イタリアの自動車税に対応した2000cc級スーパーカーとは?

 そしてフェラーリも負けじとばかりに、「308」シリーズの3リッターV8ティーポ「F106A」型エンジンを縮小した「F106C」ユニットを開発。71mmのストロークはそのまま、ボアを81mmから66mmまで短縮することによって排気量を1991ccに縮小しながらも、170psをマークすることになった。

 この2リッター版V8フェラーリは、まず1975年に2+2ミッドシップの「ディーノ208GT4」として登場したのち、1980年以降は2シーターの「フェラーリ208GTB/208GTS」もデビュー。

 また1982年には、KKK社製ターボチャージャーを装着することによって220psのパワーを得た「208GTB/208GTSターボ」へと進化する。

 さらに、フルスケールモデルが「308GTB/308GTS」から「328GTB/328GTS」へと進化した1985年には、ターボチャージャーKKK社製から、「288GTO」や「F40」などと同じ日本のIHI(石川島播磨工業)社製に変更。BEHR社製インタークーラーの装備なども併せて254psまでパワーアップを果たした。

 そして内外装は328シリーズに準じたものへとブラッシュアップが図られた一方、車名からは「208」の文字が消滅し、シンプルに「GTBターボ/GTSターボ」と呼ばれることになる。

 外観では208ターボ時代からの特徴であったリアフェンダー下部のNACAスクープを踏襲したほか、リアバンパー上部にスリットを設置。また328GTB/GTSではオプション(日本仕様328は標準装備)とされていたルーフ直後のエアスポイラーが標準装備化されるなど、ターボ車特有の熱対策のためのディテールが与えられていた。

 GTB/GTSターボは事実上のイタリア国内市場専用モデルで、約3年の生産期間にマラネッロ本社工場から送り出された台数も、GTBターボでは308台。当時は多数派であったGTSターボでも828台という、極めて少ないものに終わった。

 そして328シリーズの後継車「348」シリーズ以降は、イタリアの税制が改定されたことに伴い、2リッター版の設定はおこなわれることがなかったのだ。

予想以上に高額になった落札価格とは
 2022年2月のRMサザビーズ「PARIS」オークションに出品されたフェラーリGTBターボは、1960-70年代にかけて、レーシングドライバーとしてサーキットレースやヒルクライムで大活躍し、現役引退後は珠玉のスポーツカー/スーパーカーの数々を蒐集したフランス人コレクター、マルセル・プティジャン氏の膨大なコレクションのひとつである。

 
リアフェンダー下部のNACAスクープ、リアバンパー上部のスリットなどが外観上の特徴(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
●博物館に収めるために収集されたGTBターボ

 新車としてマラネッロの工場を出た時から「ロッソ・コルサ(Rosso Corsa:レーシングレッド)」のボディに「ネロ(Nero:黒)」の英コノリー社製レザーという、いかにもこの時代のフェラーリらしい内外装カラーが維持されているこの個体は、1986年から30年にわたってイタリア国内のさるファミリーによって所有されたのち、2016年に現オーナーであるプティジャン氏のもとに譲渡されたとのことである。

 ただし、いきさつや時期は不明ながらV8ターボエンジンはどこかの段階で換装されたようで、シャシとエンジンのナンバーはマッチしてはいないとのこと。そのかたわら、トランスミッションについてはフェラーリ本社に照合した結果、もとの証明書のシリアルナンバーと一致していることが確認されているようだ。

 もともとプティジャン氏は、自身のミュージアムを建設するために数多くのスーパーカーを蒐集していたそうで、このGTBターボも展示用として長らく不動状態のまま所蔵されていたとみられている。従ってフェラーリに相応しい走りのコンディションを取り戻すためには、とくにエンジンや燃料系、潤滑系に電気系などあらゆる部位で大幅なリニューアルを必要としているのは間違いない。

 それでもこのフェラーリGTBターボは、コアなファン好みのレアモデルを探しているフェラーリ愛好家のもとで最高のコンディションに戻される、大いなる可能性を秘めているともいえよう。

 今回の出品について、RMサザビーズ欧州本社では「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」でおこなうことを決定。エスティメート(推定落札価格)は3万5000~5万ユーロ(邦貨換算約470万~680万円)に設定した。この「リザーヴなし」という出品スタイルは、安値でも落札されてしまうリスクもあるものの、金額の多寡を問わず確実に落札されることから、ビッド(入札)が進むというメリットもある。

 実際の競売ではそのメリットが充分に生かされたようで、予想以上にビッド(入札)が進み、終わってみればエスティメート上限をも大きく上回る6万9000ユーロ、日本円に換算すれば約930万円で落札に至った。

 現時点では事実上の不動車であること、あるいはエンジンがマッチングナンバーでないことなど、通常のオークションでは大幅な価格下落を及ぼす要素が重なっていることを考慮するなら、このハンマープライスは望外ともいうべき高額なものとも思われる。

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 ところで、308シリーズの派出型に相当する「208GTBターボ/208GTSターボ」、そして328シリーズに相当する「GTBターボ/GTSターボ」ともに事実上のイタリア国内専用モデルだったことから、現在のクラシックカー・マーケットにおける流通は、ほとんどEU圏内のみ。日本国内での流通は、並行輸入で上陸したごく少数のGTBターボ/GTSターボが、時おり専門ショップで売りに出ているのを見かける程度である。

 そして現況におけるGTBターボ/GTSターボの市場価格は、比較的近いコンディションの328GTB/328GTSと大差ないとされる。しかし、もともとの生産数が少ない上に、マーケットでのレア度でもターボがひと回り上であることから、いずれは国際オークションなどでも328シリーズより大幅に高額で取り引きされる可能性も、決して低いものとはいえないとも考えるのである。
武田公実

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