スカウトの基本は"キチンと知る"コトじゃないの?

結局のところ、高校野球は中途半端に『選手ファースト』という名の、"ヌルま湯環境"になりつつある。

スポーツの故障対策に正解などない。アメリカ式(メジャー式)は全く正しくない。メジャー式は、適度なトミー・ジョン手術顧客を供給するシステムだ。特に投手には、1、質の良くない道具(粗悪ローリングスボール) 2、短か過ぎる練習 3、投げ込み調整不足 4、誤ったスポーツ医学 が障害になっている。

わかるだろうか?

1で質の悪いボールは、同じ投げ方をしてもちゃんとコントロールできない。2でカラダの基礎固めが疎かになる。3でキチンとしたフォーム確認や、コントロールやキレを養えない。4で運動量を減らせば故障しないと安直に考え過ぎている。全力投球させる限り、1球で壊れるコトもあるのだ。

持久力と瞬発力、キチンと鍛練したカラダで、ちゃんとしたタマ数を投げてコントロールやキレを養えば、全力投球に拘らなくてもアウトを取り長いイニングを投げられる。

全力投球で160キロ投げれても甲子園にも出れないのは、マメを作るくらい投げて指先の鍛練がデキてなかったり、クルージングで打ち取るコントロールや他の球種のキレを養えなかったり、そもそもそうした持久力系のトレーニングを疎かにしているからだ。

今は、スピードガンの調整もあるようだが、オリックス山岡でも155キロ出るくらい、瞬発力トレーニングに偏り、むしろ細くても安直にスピード出たりする。カラダつきも見た目に細い。高卒だと、まだ立て直しも利くが、社会人や大卒だとカラダの補正が利かなくなる。

スカウティングすべきは、ソコだと思う。

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今は高校球界も『選手ファースト』に、選手のコンディションが最優先で裏工作もすっかり見なくなった
4/16(土) 10:04 Yahoo!ニュース
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「登板過多」の考え方
 
近江・山田
◇中田宗男の「スカウト虚々実々」

 スカウトの世界には表があれば裏もある。その情報は虚か、はたまた実か。元中日の中田宗男さん(65)が、38年のスカウト人生を振り返る。今回はセンバツで活躍したあの球児を語り、高校球界の新たな潮流を解説する。


 1月末にスカウトの職を離れてから、初めての「甲子園」でした。ここ数年は新型コロナの感染拡大により現場に足を運べていませんでしたが、それでも出場全チームを必ずチェックしていました。職務として見る必要がなくなっても、つい習性で見るんでしょ? よくこう言われますが、むしろ逆(笑)。今まで業務に追われ、なかなか見られなかった一般のテレビ番組を見る時間が随分増えました。

 とはいえ、気になる選手は「そろそろ打席が回るかな」というタイミングで、チャンネルを替えていました。準優勝した近江高の山田陽翔選手もその一人です。彼を初めて見たのは2年前。土田龍空を視察するため、同校のグラウンドを訪れた時です。

 「すごい1年生が入ったんですよ。球がいいだけじゃなく、勝負度胸を兼ね備えているんです」

 多賀章仁監督が目を細める先にいたのが山田でした。ベテラン監督の絶賛は、昨夏の甲子園に続いて証明されました。ハートの強さは教えられるものではなく、持って生まれた素質です。山田は強打者でもありますが、センバツでは「投球数」が物議を醸しました。全5試合に先発し、4完投。594球を投げました。浦和学院との準決勝では左足に死球を受けながら続投。170球を投げきり、翌日の決勝戦でも先発しました。

 時に「登板過多」となる甲子園。私たちスカウトの考えは独特です。評価が固まっている選手なら正直「無理させないで」と思いますが、迷っている場合は連投など少し過酷な状況での登板も見たい。山田のように「ハートの強さ」が推し量れるからです。故障しても魅力があれば追い続けますし、仮に投手生命を絶たれるほどの重症なら、上司に報告し、リストから消す。何よりも重要なのは調査活動。治るのか。いや、そもそも本当に故障しているのか…。

いまだに真相は…
 
NTT四国の渡辺智男に会う西武のスカウト=1988年12月
 思い出すのは1988年ドラフトの渡辺智男(NTT四国)ですね。ソウル五輪の代表メンバーで1位指名は確実視されていましたが、右肘の手術を明かした上で事前に指名拒否。ところがふたを開ければ西武が1位指名し、入団しました。拒否は本心だったが翻意したのか、それとも手術は隠れみので単独指名の密約があったのか。私は右腕をつった姿を現認はしていますが、いまだに真相はわかりません。

 この年は1位・今中慎二、2位・大豊泰昭と早々に方針が決まっていたため、渡辺との縁はなかったのですが、当時のスカウトならこの程度の裏工作は朝飯前。虚と実を見分ける裏の調査活動は必須でした。

 ただし、高校球界は変わっています。ひと昔前までは「スカウトが視察に来る」となれば、投球練習するのが当たり前でしたが、今は「投げるかどうか、本人に聞いてみます」。岡田龍生監督(履正社高→東洋大姫路高)が先駆けだったと記憶します。以前は「試合で無理をするために練習から無理をする」で、今は「試合で投げるために、練習では投げすぎない」という考え方です。選手のコンディションが最優先。裏工作もすっかり見なくなりました。(中日ドラゴンズ・元スカウト)

 ▼中田宗男(なかた・むねお) 1957年1月8日生まれ、大阪府出身の65歳。右投げ右打ち。上宮高から日体大をへて、ドラフト外で79年に入団した。通算7試合に登板し、1勝0敗で83年に引退。翌84年からスカウトに転じ、関西地区を中心に活躍。スカウト部長なども歴任し、今年1月に退団した。
中日スポーツ

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