自動車メーカーに衝撃!ポルシェの"RS商法"。

'73ポルシェ911カレラRS、軽量化のため設備省略・加工省略したモデルなのに、それらがないコトで更なる高値をつけて売る"ぼったくり商法"だ。

通常、日本の自動車メーカーがモータースポーツ用のベースマシンを売る際、省略設備や加工分の価格を下げて売っていたのに、ポルシェはハズしてもカネを取るのだ。

964以降のRSは、エンジンチューンと後部シートや遮音材取り去りロールケージ取り付けが主になる。

エンジンチューンは空冷の時は3.8リッター化、リッター100馬力もなかった。それが水冷になって直噴4リッター化されたし、4リッターでは500馬力オーバーした。

70年代とは違い、レース他の競技はレギュレーションにギッチリ縛られ、必要な出力も最低重量も決まっている。嘗て、210馬力しかなくても約900キロの車体で補いつけた73RSとはワケが違うのだ。

馬力が2倍以上、車重1.5倍以上のクルマをRSと呼ぶコトになっている。

 

 

 

 

 

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ポルシェの「RS」モデルとは、どんなクルマなのか?【ENGINEアーカイブス:ポルシェ911
5/3(火) 8:40 Yahoo!ニュース
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まるでレーシングカー!
 
ポルシェGT3カップチャレンジに、タイプ997のGT3カップカーでフル参戦した経験もある島下泰久氏。
雑誌『エンジン』に掲載された人気の記事をピックアップしてお送りする貴重なアーカイブ・シリーズ。今回は、2018年7月号に掲載されたポルシェの「RS」の記事を取り上げる。1973年の911カレラRSから最新のポルシェ911GT3RSまで、RSの魅力を当時の自らの愛車、993型RSクラブスポーツを軸に島下泰久が綴った。

【写真10枚】島下氏の愛車、993型RSクラブスポーツの詳細画像をチェック

◆ポルシェのレーシング・スポーツとは?

ポルシェの「RS」とはドイツ語のレン・シュポルト、英語ではレーシング・スポーツを意味する。単に五感やイメージで付けられているのではなく、ポルシェの場合それは実際にレーシング・カーのベース車両を指す名称だ。

市販車としてRSの名が冠された最初のモデルは1973年式911カレラRS、伝説の“ナナサンカレラ”である。目的は当時のグループ4ホモロゲーション取得だった。そして1983年にはグループBラリーカーのベース車となる911SC/RSが登場。更にまた10年の歳月を経て1992年にはタイプ964に久々の911カレラRSが設定される。これはちょうど始まったワンメイク・レース、ポルシェ カレラカップ用マシンのベース車だった。

1994年に登場したタイプ993の911カレラRSも、やはりカレラカップ、そしてF1サポート・レースのポルシェ スーパーカップ用として開発されたものだ。遮音材を省くなど軽量化した車体に積まれるフラット6ユニットはタイプ964と違って内部にも手が入れられ、排気量をカレラの3.6リッターから3.8リッターに拡大。最高出力を272psから300psに高めている。サスペンションは車高調整式とされ、更に日本向けには本国仕様クラブスポーツ用の大型エアロ・パーツが装着される。

私が所有して今年で10年になる、このカレラRSは当時並行輸入された、そのクラブスポーツ。外観は日本仕様カレラRSと変わらないが、見ての通り内装材はほとんど無く天井も鉄板剥き出しで、何点式か数えられないほどのロールケージもボルト留めではなく溶接固定されている。ボディの剛性感の高さは、それはもう半端じゃない。

◆吹け上がりがシャープ!

エンジン本体は変わらないがフライホイールがシングルマスになり、ECUも変更されている。おかげでアイドリング時はずっとガラガラ言っているし低速トルクも極端に薄いけれど、その代償として吹け上がりは一層シャープだ。こんな大排気量で、しかもSOHC2バルブで、どうやればこれが可能なんだろう? 今も唸らされるほどに……。

サスペンションは前号で本誌村上編集長が言っていたように相当締め上げられているけれど、タイプ964のカレラRSに較べれば全然しなやか。リア・サスペンションがマルチリンクになり、そこまで固める必要が無くなったのだろう。実際、スタビリティもトラクションも想像以上に高い。300psなんて余裕で受け止めてしまって、つまらないくらい危なげがないのだ。

要するに、その乗り味はほぼカップカーにナンバーを付けただけと言っていい。おかげで乗るところ、乗って気持ち良いところは、とても限られるのは事実だけれども。

このあと911はボディ構造を一新し、水冷エンジンを積んだタイプ996の時代になる。当初、ホットバージョンとして登場したのはGT3。エンジンは空冷の流れを汲む所謂“GT1ブロック”を使った専用品でサスペンションもガチガチに締め上げられていたけれど、軽量化はさほど徹底されてはおらず、快適性にも配慮されているなど、従来のカレラRSに較べると、間口が広げられたように感じられた。

◆GT3RSの登場

911GT3がカレラカップなどのレースに使われるようになったこともあり、RSの伝統はGT3が継承するのだろうと思っていたところに世界限定200台で登場したのが911GT3RSである。すでにタイプ996が後期型になっていた2003年のことだ。

まさに“ナナサンカレラ”を想起させるストライプが印象的な、この初代GT3RSは、軽量化されロールケージとCFRP製リア・スポイラーが備わり、サスペンションは実はジオメトリーまで変更されるなど、まさにRSの伝統通り、走りの面だけに特化して徹底的に手が入れられていた。そしてタイプ997以降もGT3RSは用意され続けている。車体がワイド化され、前期が3.6リッター、後期が3.8リッター、そしてファイナルバージョンの4.0リッターとされたエンジンも専用となるなど、今に続く方程式はこの頃に整えられた。

一昨年、ワンメイク・レースのポルシェGT3カップチャレンジに、タイプ997のGT3カップカーでフル参戦して実感したのは、市販車と走りの感触がきわめて近いということだった。遮音、乗り心地といった部分を除けば、まさにGT3RSは“ロードゴーイングカップカー”そのものである。

その意味では、タイプ991前期型のGT3RSは異色の存在だったと言えるかもしれない。そのエンジンは最新の直噴ユニットをベースとしていたが、この時の911GT3カップなどのレーシング・カーには未だ従来型エンジンの改良版が使われていたからだ。実際に走らせてみれば、そんなことは関係無く、凄まじい刺激に満ちていたけれども。

◆新型911GT3RS

そんな状況は、991後期型となる新型911GT3RSで改められた。昨年登場のGT3から使われている新エンジンはGT3カップだけでなくGT3RやRSRの心臓とも基本設計を同じくする、まさに純レーシング・ユニット。つまりRS本来のあり方に戻ったのだ。

芯のあるスムーズな吹け上がり、トップエンドの切れ味の良さは垂涎モノだし、何より今や少数派の高回転型自然吸気エンジン特有の甲高いサウンドは、まさにレーシング・カーそのまま。これこそGT3RSの堪らない魅力である。

とは言え、サーキットを走らせることはせず、たまに夜中の高速道路を流すくらいのRSオーナーとしては軟弱な私には、今乗っているカレラRSくらいがちょうどいいとも感じている。甘いのやら、切ないのやら、思い出もたくさん詰まっているし、憧れのカレラGTに手が届くチャンスが無い限りはずっと持ち続けるつもりだ。もちろん本音を言えば、最新のGT3RSと今のカレラRSの2台をガレージに並べられたらサイコーなんだけれど!

文=島下泰久 写真=小林俊樹

(ENGINE2018年7月号)
ENGINE編集部

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