野手と投手、スローイングの違い

野手と投手、スローイングの違い?送球と投球、少しずつ意味合いが違う。

片や、走者を刺すためにベースマンに取りやすいボールを、間に合う速さで投げなければならない。一塁送球なら、大抵は一塁手の手が届く範囲、バウンドしても良い。二塁や三塁や本塁だと、なるべく次の動作に移りやすい高さのノーバウンド、タイミングと速さをベースマンに合わせないといけない。

片や、打者走者を打ち取るために打者の目測を狂わせジャストミートされないボールを、捕手に捕れるよう投げなければならない。できれば、捕手のミットの捕球音が良いと球審の印象が良く、ストライク判定を誘いやすい。逆に、捕手のミットが動き過ぎると球審に疑われる。

野手の投げ方は、長距離ならオーバースロー、近距離ならサイドスローアンダースローやスナップスローを使い分ける。

投手の投げ方は、約20メートルの距離を140球、球種を変えて投げても保てるよう固めている。

投手でも、投球と送球は投げ方を変えているコトが多い。ちなみに、松坂大輔はバント処理で封殺を狙う場合などで、ノーステップの全力投球でストレートを投げていた。

野手と投手でスピード違うのは、主にステップや、テークバックやターン戻しの違いに依る。投手は、セットポジションでない限り、捕手に正対しながらプレートの1歩後ろからステップ開始し、体重移動しながらカラダを90度近く利き手側に捻り、軸でない足を上げながらテークバック、軸でない足を前に大きくステップしながら軸足でプレートを強く蹴り出し、カラダを捕手方向に強く速く戻しテークバックを速く回しながらボールリリースする。大抵は、打者に見にくく、間を空け、威力を増すための動作だ。野手は、ベースマン方向にそれほど速いステップはしない。ソコソコのコントロールとスピードを保つモーションだ。

似て非なるモーションになるし、キチンとした投手のモーションを身に付けるには、キチンとした足腰の鍛練と上体の連関した動きをマスターする必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

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「野手投げ」ってなに?…「投球」と「送球」の明確な違い。目指すべき方向は正反対
5/9(月) 20:32 Yahoo!ニュース
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中日・根尾昂。【産経新聞社提供】
大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)の活躍で幅広く認知されるようになった“二刀流”。8日には根尾昂選手(中日ドラゴンズ)が、ファームでプロ初登板を果たすなど、投打にわたって才覚を発揮する選手が出てきている。では、投手と野手とでは、投げるボールにどのような違いがあるのだろうか。4月20日に発売された『新しい投手指導の教科書 これからの野球に必要な「野手兼投手」の育成術』(川村卓著)から内容を一部抜粋して公開する。(第1回/全3回)

【写真】プロ入り後に野手転向した5人

投手と野手では求められるボールが違う
 発育発達の基礎知識を頭に入れたうえで、本題に入っていきたい。「はじめに」でも紹介した通り、投球と送球の違いを理解することが、「野手兼投手」を育成するための第一歩となる。違いがわかるからこそ、目指すべき方向性が理解でき、投手の動きに近づけていくことができる。

 読者のみなさんであれば、「投球と送球の違いは何ですか?」と聞かれたときに、どう答えるだろうか。もちろん、正解はひとつではない。いくつか、大きなポイントを挙げてみたい。

打ちにくい投球と捕りやすい送球
 打者に投げるのが投球、仲間に投げるのが送球と考えたとき、「打ちやすさ」「捕りやすさ」が関係してくる。

 投手は打者からボールが“見えにくい”フォームを追求する一方で、野手が投じる送球が“見えにくい”と、仲間が捕りにくい状況が生まれてしまう。これが、両者のフォームの違いにも大きな影響を及ぼすことになる。

 投手は半身での体重移動を長く取り、前肩の開きをできるだけ抑えて投げる。打者からすると、投手の胸と、ボールを持った手がなかなか見えてこないので、タイミングを取りにくい。この体重移動の長さこそが、投手の最大の特徴であり、「野手兼投手」を育成するための最大のポイントと言っていい。

 野手は体重移動の時間が短く、前の肩の開きが早いのが特徴となる。俗に言われる「野手投げ」がこれだ。肩を開くことで、ボールを早く見せようとしているのだ。それによって、仲間が捕りやすい送球ができる。マウンドでこの投げ方をすると、どんなに球速表示が出ていても、打者にとっては見やすく、打ちやすいボールになってしまう。高校野球を見ていると、肩の強いショートやサードがリリーフで登板し、スピードは速いが打たれるケースを目にする。体重移動に意識を向けることで、ホンモノの投手に近い球質に変わっていく可能性がある。

 もうひとつつけ加えると、投手の場合は体側に隠すようにしてテイクバックを取るが、野手は早めにトップを作り、送球の準備に入る。横移動が短い分、トップを早く作らなければ、上半身と下半身のタイミングが合ってこないからだ。投手をやる場合には、トップに入るまでに時間を作る必要が出てくる。

 また、投手は「9人目の野手」と言われるように、バットにボールが当たった瞬間から、守備者のひとりとなる。そこで求められるのは、投球ではなく送球だ。投球では前肩の開きを抑える必要があるが、送球では前肩を早めに開く。よく見るケースが、走者二塁からのバント守備で、三塁封殺を狙う場面だ。肩を閉じて投げようとすると、三塁手はボールの出どころが見づらく、送球への対応が遅れてしまう。前の肩を先に開いて、胸を見せて投げるような意識を持ったほうが、三塁手も捕りやすくなるだろう。(第2回につづく)


川村卓
ベースボールチャンネル編集部

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