ボディー剛性、絶対値とバランス、金属疲労も!

ボディー剛性、絶対値とバランスとは言いながら、実のところ、メーカーでも絶対解を持っているワケではない。使用速度域が低い公道でも、高いと思われるサーキットやレースに於いても、補強しても速度域が上がるとまだ足りなかったりしている。逆に堅過ぎて曲げにくかったりもする。

ニッサンがR33⇒R34スカイラインで、ドライビングボディーとか言って動的剛性という言葉を振り回し、益々混乱させた。ボディーのタテ剛性やヨコ剛性やネジれ剛性も、車体タテヨコ寸法変われば当然変わる。

何故、ボディー剛性が必要か、わかっているか?サスペンションをキチンと動かすため、狙い通りのクルマの挙動に近付けるためだ。ドライバーが感じるクルマの挙動は、路面からタイヤ&ホイール⇒サスペンション⇒ステアリング或はシートに伝わる。サスペンションやステアリングやシートを留めているボディーがユルいと、挙動の感触を狂わせるのだ。ドライバーがサスペンションをハードセッティングするというコトは、それを感じやすくするため、動きを制限するし、ソフトセッティングはその逆になる。ドライバーとクルマの相性にも依る。

一般に、剛性上がればタイヤは食い付くし、感触を掴みやすいが、タイヤ減耗は早くなる。

例えば二輪で、イタリアのドゥカティーは日本メーカーのオートバイに比べて、かなり剛性が低いと言われる。しかし、その剛性低い車体の方が、曲がる時に左右方向にシナりAWS的に働き、加速時に縦方向にシナり、旋回やトラクションを助ける。

適正剛性は速度域にも依る。コースレコードのセッティング出ていても、ソコからペース上がると車体がタイヤやサスペンションを通じ路面から受ける振動が早くなり、サスペンションセッティングはハードに減衰力・振動吸収を上げる方向になる。

一方で、車体は金属疲労で、見えない破壊が進む可能性もあるから、ハードにセッティングし続けると、見た目変わらなくても動かすとヘニャヘニャな可能性もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

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なんでも硬くすればOKではない! じつは難しい「ボディ剛性アップ」チューンをプロが解説
6/10(金) 10:00 Yahoo!ニュース
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硬ければ硬いほど良い……わけではない!
 
バランスが大事なボディ剛性チューン
 ボディ剛性アップチューンというと、乗り心地が良くなったりハンドリングが良くなったりと、デメリットなく走りがグレードアップすると思われがちだが、じつは落とし穴もある! ボディ剛性にもバランスが必要なのだ。

【画像】憧れのドラテク「ヒール&トゥ」が公道では不要な理由(全15枚)

剛性アップはデメリットとも表裏一体
 
タワーバーの有無でステアリング特性も変わる
 タワーバーやフロア下面の補強バーなど、補強パーツは人気のジャンルだ。確かな効果がありつつ、価格は数万円から装着できる。そして、その効果は侮れないものがある。フロアのサブフレームとボディの締結を高める系の補強バーだと、明確にステアリングに対する応答が良くなり、ステアリング操作が重く感じられることもある。
 メリットだらけに思える補強チューニングだが、じつはデメリットもある。それは剛性が上がりすぎること。昔からレースの世界では「雨が降ったらタワーバーを外せ!」というのはよくある話だ。
 たしかに、タワーバーを装着するとフロントのしっかり感が増し、ステアリング操作に対して高い剛性感が出る。しかし、路面の摩擦が低い濡れた状態だと、ステアリングを切ってもタイヤがそのまま真っ直ぐに転がりやすくなってしまう。いわゆるアンダーステアになりやすい。
 タワーバーを外すと、左右のタイヤがバラバラに動く感触になる。それによって、片方のタイヤがグリップの限界になっても、もう一方が持ちこたえてくれるような感触になり、タイヤが滑りにくく感じられるのだ。

メーカー純正は意図的に「ゆるさ」を確保している
 
ドアまわりのスポット溶接
 自動車メーカーではそういったフィーリングも含めてボディ剛性をコントロールしている。そのため、ドアまわりなど、何枚もの鉄板を重ねて溶接する「スポット溶接」は、意図的に間隔を開けている。よく、スポット溶接の間隔が開いているのはコスト削減で溶接箇所を減らしていると言われるが、そういった意味で力を逃すために意図的に間隔を開けていることもある。
 補強パーツではそのバランスを崩すことになるので、無闇に入れればすべてがよくなるとは限らないのだ。どこに入れたらどんな風に効くかをマネージメントしないと、むしろ乗りにくくなってしまうこともあるのだ。

剛性アップをするならフロアなど低い位置から!
 
フロア下の補強バー装着例
 とくに難しいと言われているのが、車体の位置の高い部分の補強。前後のタワーバーやピラーバーと呼ばれるパーツだ。ボディ上部はロールしたときなどに、じつは結構歪んだりしている。それをタワーバーなどで抑えると、そこだけボディがしならなくなってしまうので、ボディ全体の辻褄が合わなくなってしまうのだ。
 なので、オススメはフロアなどの低い位置からの補強パーツの装着。サスペンションが取り付けられていて路面からの入力を受けるフロアをまず強化して、徐々にボディ上部の補強を入れるようにしたい。

究極の剛性チューンなら「スポット増し」という道も
 
スポット増しは専門性の高い名人芸の領域
 予算があればボディのプロによって、剛性コントロールをしながらスポット溶接の増やすことがもっとも効果的でネガも少ない。いわゆる「スポット増し」だ。これにはどのあたりの剛性を上げて、どこに逃がすかのノウハウが必要なので、ボディのプロフェッショナルはチューニングショップとは別の専門業者が多い。予算的には数百万円となってしまうこともあるので、なかなかハードルは高い。

ボディ補強とは別発想の「パフォーマンスダンパー」という選択肢も
 
ニスモのパフォーマンスダンパー
 ならば、ボディ補強とはちょっと違うが、乗り味を良くするパーツとして「パフォーマンスダンパー」という手もある。これはヤマハ発動機が開発したもので、ダンパー機能のある補強バーをボディの前端や後端に取り付けるもの。ボディ剛性のアップというよりも、ボディの振動を吸収するようなイメージで、乗り心地がよくなりハンドリングも良くなるという。固めるだけがボディのチューンではない好例とも言えるのだ。
加茂 新

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