本来、FRはフロントのエンジンとミッションから、リヤのデフまでをプロペラシャフトで連結する。リヤトランスアクスルの場合なら、フロントエンジンから、リヤのミッションとデフまでをプロペラシャフトで連結するコトになる。ソコで制震される。車体に架かる負担は少ない。
しかし、FFの場合、エンジンと並行のミッションとデフを一体に置かれる。それぞれの回転による振動を抑えるため、キチンとユニットをマウントしなくてはならないが、ペラペラ鋼板モノコックでは受け止め切れない。FFに乗ったら、わかるハズだ。オン/オフでの挙動、踏み切る時の挙動、ユニット振動によるハンドリングのブレ、フロントサスペンションをヤワくして逃がしてる。リジッドにすると、剛性担保する逃げ場がなくなる。
同じ理屈は、FFユニット移動によるミドシップにも言える。ペラペラ鋼板モノコックでは、馬力発生で起こる振動をキチンと止められず、かなり補強せざるを得ない。この手の横置ミドシップで、ハンドリングを絶賛されたクルマ、鋼管フレーム構造のフェラーリディノ246GTや308GTBらくらいだ。フェラーリは鋼管フレームでのV12はやらなかったハズ。(フェラーリ365Pは、縦置っぽい。)
逆に、今のシビックRなどでも、補強繰り返して、車重バカ重くなってしまった。一体化ユニット用の剛性担保構造をキチンと作らなかった、自動車メーカーの愚だ。逆に、FF用フレームなり強化モノコックがデキていたら、FFやFFユニット転用ミドシップのハンドリングは、変わっていたろう。
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クルマ好きに根強い「FFアレルギー」! やっぱり「スポーツ走行はリヤ駆動」は正しいのか考えてみた
7/9(土) 10:01 Yahoo!ニュース
FRからFFは改悪と言えるのだろうか
ホンダ・インテグラ タイプR(DC2)
乗用車のスタンダードがFFになってもう随分久しい。
FRなんて、日産のスカイライン、フェアレディZ、トヨタのGRスープラ、GR86、スバルBRZ、マツダのロードスターなど数えるほどしかない。
【写真】「AE92」のフロントスタイリング!
あとはクラウンやレクサスISとか、日産フーガ、シーマもあるが、フーガ、シーマは今夏で生産終了……。
ずいぶん少数派になってしまったものだ。
でも、昔からのクルマ好きは後輪駆動車好きが多い。
古くはレビン・トレノがFRのAE86からFFのAE92になったときは悲しんだし、スターレットがKP61からEP71にモデルチェンジしたときも寂しかった。
ホンダからCR-Xが出たときは、これがミッドシップだったらと思った人も多かったし、いまでもシルビアやR34の25GTターボやR33のGTS25t、R32のGTS-t、そしてFD3SやRX-8、100系チェイサーなどの古いFRスポーツの中古車価格がどんどん高騰化してきているのも、アンチFF派が多い証左といえるだろう。
しかし、これだけFFが普及しているのには合理的な理由があるからで、FFは室内が広くとれるし、フロアも低く平らにできる。部品点数も少なくなるので、コストも下がるし、生産効率もいい。軽量化という点でも有利だ。
その反面、かつてFFはフロントヘビーでアンダーステアが強く、クセがあるといわれたが、ホンダのインテグラ タイプR(DC2)以降、最近でいえばスイフトスポーツまで、本格的なスポーツモデルならFFだって下手なFRよりもよく曲がる。
また、加速時に荷重がリヤに移動するという物理的な問題から、FFに大パワーのエンジンは載せられないとされてきたが、先代のシビックR(FK8)のように320馬力のターボエンジンもOKとなると、FFのビハインドが本当にあるのか疑わしくなってくる。
スポーツ走行時を考えると今でもFRのほうがメリットが多い
BMW 2シリーズ
でもそれは、タイヤやボディの進化とセッティングの妙でカバーしているだけであって、FFの基本特性は今も昔も変わっていない。
重量バランスでいえばフロントヘビーであることには変わりないし、タイヤの摩耗も明らかにフロントタイヤの減りが早い。
やっぱりナチュラルさという意味では、操舵輪と駆動輪が別々の後輪駆動車に軍配が上がる。
結果としてのパフォーマンスでいえば、よくできたFF車は平凡なFR車よりも優れた走りを実現しているのも事実。
しかし、そうしたよくできたFF車は、人間でいえば仕事も家事も育児も趣味も、(フロントタイヤだけで)全部ワンオペでこなしているようなもの。
それはそれでいいのだが、前輪と後輪で負担を分担し、ワークライフバランスを重視した生き方に近いのが後輪駆動車で、それを好む人がいたとしてもおかしくはない。
もっとストレートにいってしまえば、後輪駆動車はパワースライドができるが、FF車はアンダーステアが出たら、アクセルを戻してグリップが回復するのを待つしかない。
FRならアクセルオンでリアのコーナリングフォースを減少させて、ドリフトアングルがコントロールできる余地がある。
ドリフトできるスキルがあるかないかは別として、「アクセルオンで曲げていける余地がある」ことは、スポーツ走行を愛する人にとってある種のキモ。
「踏んで曲げる」というアグレッシブな走りの魅力を知ってしまった人は、後輪駆動に強いこだわりがあるだろうし、昔憧れたクルマが全部後輪駆動だったという人も、なかなか趣味のクルマとしてはFF車を受け入れられないのかもしれない。
とはいえ、モノの良し悪しではなく、好き嫌いで選べるのが趣味であり、道楽であるわけで、そうした後輪駆動車派が、FF化を歓迎できない気持ちはよくわかる。
藤田竜太
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