アルピーヌA110とマツダロードスター

ルノーアルピーヌA110Sとマツダロードスター990Sを同列に考えて良いのか?こんな2台を共通と言ってしまうくらい、日本のモータージャーナリストはダメなのだ。

ナリからして、オープンとクローズドで全く違う。オープンカーと言うだけで、基本はチャラ男の乗り物だ。KPC着こうと、リアルスポーツにはならない。

小ささ度合いだけは似ている。軽さも近いと言えば近い。だが、馬力&トルク的に倍ちょっと違う。

実は、動力的に馬力&トルクが倍ちょっと違うコトで、パワー/トルクウエイトレシオがそれぞれ倍近く違うのだ。ロードスターが軽い分コーナー進入では幾分有利程度なだけで、伸びもレスポンスもA110Sの方が段チに速いだろう。

同じコトはマツダNCロードスターとホンダS2000と比較しても、ハッキリわかる。同じ2リッター車幅3ナンバーの無差別級同士、イメージもだが、リアルスポーツ度は雲泥の差がある。NDに至っては、1.5リッターの車幅3ナンバー、日本市場をバカにしてんの?と言いたいくらい。

詰まるところ、フィアットX1/9とランチアストラトスくらいに違うのだ。馬力&トルク絶対値が、平行移動しているだけだ。

 

 

 

 

 

 

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アルピーヌ A110 Sとマツダ ロードスター 990Sに共通するライトウエイトスポーツの魅力
8/16(火) 20:51 Yahoo!ニュース
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初代登場が衝撃を与えた、進化し続けるロードスター
 
現代のライトウェイトスポーツの代表選手そろい踏み。(前:アルピーヌA110S、後:マツダ ロードスター990S)
「ライトウエイトスポーツカー」、この響きだけで「運転が楽しいクルマ」と想像できる。近年このカテゴリーに当てはまるクルマは減ってしまったが、現代でもまだそれを味わえるクルマが存在する。今回は50年以上運転を楽しんでいる、こもだきよし氏が2台を試乗してその魅力を確かめた。(Motor Magazine 2022年9月号より)

【写真はこちら】マツダロードスタ-990Sとアルピーヌ A110S(全17枚)

ライトウエイトスポーツカーの歴史を振り返ろうとすれば、このページを全部埋めてしまいそうなので今回は省略するが、筆者が運転免許を取得した50年以上前でも運転好きなドライバーが憧れるライトウエイトスポーツカーは街中で見かけることができた。

それはMGのMGB、ミジェット、ロータスはエランやセブンなどがメジャーだった時代だ。大学生の時、駐車場でアルバイトしていた友人がお客さんのロータスヨーロッパを運転したと自慢していたことを思い出す。モーガンもたまに出会うことがあったが、これらはすべてイギリス車だった。

日本車ではトヨタ スポーツ800やホンダ S800があった。トヨタ スポーツ800は1965年に発売、ホンダS800は1966年からだが、S500は1963年から、S600は1964年から発売していたので1960年代は2シーターのライトウエイトスポーツカーがトヨタとホンダから販売されていたのだ。

日産は「Z」になる前のフェアレディを1962年から販売し、後席横向きの3座席から1964年に普通の2座席になった。つまり50年前でも日本の市場には輸入車国産車のライトウエイトスポーツカーが揃っていたのだ。

そして1989年、世界の自動車メーカーに衝撃を与えたのがマツダ ロードスターの登場だ。当時は販売チャネルの名前がついてユーノスロードスターアメリカではMX-5ミアータ、その他の市場MX-5)としてデビューした。

ロードスターは1960年代のライトウエイトオープンスポーツカーの再来(マツダもそれを狙った)として世界中で受け入れられ、2人乗り小型オープンスポーツカー部門としては異例の大ヒットなり、それが今も継続している。

初代はNAと呼ばれ、1998年にはNB、2005年からNCとなり、2015年に現在のNDへと進化しているが、それぞれの世代で基本のライトウエイトスポーツカーの原点からまったくブレていない。むしろ究極のハンドリングマシンとして、フロントエンジン、後輪駆動、前後輪荷重配分50:50、そして軽量化を進めている。

徹底しているのは無理やりエンジンパワーを上げていないことだ。これはとても重要で、ロードスターが長く人気を保っているポイントではないかと考える。1999年にホンダ S2000がエンジンパワーをアピールして登場したが10年でその幕を閉じた。

BMW Z3は1996年に登場し、2003年にはZ4へと進化したが、ライトウエイトスポーツカーから高級スポーツカーへと移っていった。ライトウエイトスポーツカーを続けるのは意外と大変なのかもしれない。

そんなことを思い浮かべながら改めて今回のマツダ ロードスター990Sに乗ってみた。

軽さを武器にした990Sコーナリングがさらに楽しい
990kgという1トンを下回る車両重量は、NDをさらに細かいところまで軽量化した結果だ。この990Sのデビューと同時にNDのマイナーチェンジ版の全車にKPC(キネマティックポスチャーコントロール)が標準で付いたことで、ロードスターはライトウエイトスポーツカーとして極上のハンドリングカーとなった。

KPCは横Gが0.3G以上のコーナリング中に効いていて、内側のサスペンションが伸びてボディのロール角が大きくなってしまうのを抑えることができる。ボッシュのESP9のブレーキ作動の一部を使っており、原理は内側のタイヤに緩くブレーキをかけるのだ。

その強さは0.1MPa程度。アンダーステアオーバーステアを止めるときには5MPaとか10MPaだというから、いかに緩いブレーキかわかるだろう。

これによりコーナー内側の後輪が後ろに引かれる力が働き、サスペンションのトレーリングアームの(仮想の)取り付け点が前方の上方にあるので、それを引き下げるように働きロール(マツダではこのジャッキアップをヒーブと呼ぶ)を抑えるというわけだ。

もしKPCがなければどれくらいロールするのかを試したければ、運転席右膝の前にあるDSC(横滑り防止装置)のキャンセルスイッチを押せばいい。DSCも作動しなくなるが、KPCも作動せずに、明確にロール角が大きくなることが体験できる。

サーキット走行時には「DSCをオフにしたいが、KPCは作動して欲しい」と思うのだが残念ながらこれは叶わない。なんとかDSCスイッチの長押しや2度押しとかでできるようにして欲しいと思うのは筆者だけではないと思う。それほどKPCが副作用なく良い働きをしているということだ。

0.3G以上のコーナリングで後輪にブレーキを使うとブレーキパッドの摩耗が心配になるが、その圧力は極めて小さいので問題ないという。実際にニュルブルクリンクで300ラップ(6250km)走ったそうだが、パッドの摩耗はまったく問題なかったとKPCを開発した梅津大輔氏から聞いた。

箱根のワインディングロードではこれまでひらりひらりとコーナリングしていたのだが、サスペンションはソフトでちゃんとストロークしてくれたままで、ロール角が小さくなってコーナリングが安定しさらに楽しくなった。その恩恵をもっとも感じるのはS字コーナーで、ロールの揺り戻しを待たずに次の操作ができるから軽快感が増した。

ロードスターを使って毎年プレス対抗の耐久レースに出場させてもらっているが、こうした時でもロードスターのドライビングの楽しさを味わっている。それはドライビングセオリーどおりに動いてくれるからだ。変なクセがなく、タイヤのグリップ限界を超える辺りの車両挙動が読めるのだ。

コーナーに向かってスピードを落とすためのブレーキングの最後に緩いブレーキを使って前荷重にしてハンドルの効きを良くするように仕掛けると、クルマはクリッピングポイントに向かってノーズをインに向けてくれる。荷重が外側のタイヤに移ったところでアクセルペダルを踏んでいくと、前後輪のグリップバランスが取れてアンダーステアが出ずに立ち上がることができる。毎コーナーこれができると嬉しくなるし、ドライビングがさらに楽しくなる。

NDからエンジンは1.5L直列4気筒になった。132ps/7000rpm、152Nm/4500rpmで決してハイパワーとはいえないが、約1トンの車重を走らせるのには必要にして十分なのだ。サーキットでもそれぞれのドライバーの技量に合わせて安全に走れるところが良い。このパワーでもベテランドライバーが究極の走りをするのはそれなりに難しく、そこが面白いのである。

今回はロードスター最軽量の990Sで走ったが、個人的にはノーマルのロードスターの方がしっくりきている。車両重量の違いは小さいが約1000kgの中の30kgなので影響はあるだろう。ノーマルは乗り心地がしっとりした感じだし、コーナリング時の路面のうねりで揺すられて上下動する時にも穏やかに感じる。

ぜひロードスターの6速マニュアルトランスミッションでクルマの運転の原点を多くの方に味わってもらいたい。

RRからミッドシップになった2代目A110がさらに進化
 
アルピーヌA110S(手前)の車両重量は1110kg。マツダ ロードスター990Sのそれは990kg。
アルピーヌA110の初代は1963年から1977年まで生産され、50年前のフランス代表のライトウエイトスポーツカーの1台だった。あれから40年、2017年に2世代目のアルピーヌA110が誕生した。

初代は縦置きエンジンのRRだった。2世代目はリアアクスルより少しだけ前にマウントされたミッドシップレイアウトになった。このレイアウトにする理由は前後の重量バランスを44:56にできること、重心点を低くできること、それに後部床面を持ち上げることで空力的なディフューザー効果を得られるなどの多くのメリットがあるためだ。

改良版A110Sは最高のオンザレールが楽しめる
今回試乗したのはラインナップ見直しで誕生したA110Sである。ノーマルと比べてサスペンションのセッティングが変わり、スプリングは硬めに、前後スタビライザーの剛性も高めてあり、タイヤサイズも大きくなっている。これらによりロールレートは3.3度/Gから2.8度/Gに小さくなっている。

この走りはワインディングロードやサーキットで際立つ。足は硬めでアクセルペダル、ブレーキペダル、ハンドルの操作に対しダイレクトに動いてくれる。ボディ剛性が高く、シート周りの剛性も高いことがハンドリング性能を引き上げている。

ハンドル操作に対しても剛性の高さを感じる。回した時の軸のブレのなさというか、ガッチリ支えられたシャフトを回している感じがメルセデス・ベンツを思い出させる。だからコーナー進入時のブレーキング、ターンイン、コーナリング、コーナー出口でハンドルを戻すところまで余計な操作をしなくても済むのだ。ライトウエイトスポーツのお手本とも言える。

A110Sの車重は1110kgだからマツダ ロードスターよりちょっと重いだけでこんなに剛性感が出るのはちょっと驚きだ。

後輪荷重が重い分だけアクセルを踏んでいった時のリアタイヤのグリップに余裕があるのがわかる。なかなかグリップ限界には達しない。それが安定感につながっているから安心してコーナリングを楽しめる。かといってアンダーステア一辺倒かというとそんなことはなく、軽いノーズは自在に向きを変えてくれるからオンザレールで楽しく走ることができる。

そんなドライビングでもレースカー並みのバケットシートは腰をしっかりと支えてくれて、大きな横Gにも耐えられる。けれど乗り心地が硬く舗装状態が良くないと上下に揺すられてしまうから、普段乗りにもう少し穏やかな方がいいという方にはA110GTが用意されている。

エンジンは横置きの1.8L直列4気筒ターボチャージャー付きで、ノーマル、S、GTともに共通だが、最高出力はノーマルの252psからSとGTは300psに引き上げられ、最大トルクもノーマルの320NmからSとGTは340Nmに太くなっている。

タイヤサイズはノーマルとGTは前205/40R18 86Y、後235/40R18 95Yだが、Sは前215/40R18 89Y、後245/40R18 97Yも大きくなっている。

SとGTでここまで明確にサスペンションの違いを主張していると、選ぶ方も自分の好みがはっきりしていればピタッと決めることができるだろう。(文:こもだきよし/写真:井上雅行)

■アルピーヌ A110S 主要諸元
・全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm
ホイールベース:2420mm
・車両重量:1110kg
・エンジン:直4DOHCターボ
・総排気量:1798cc
・最高出力:221kW(300ps)/6300rpm
・最大トルク:340Nm/2400rpm
トランスミッション:7速DCT
・駆動方式:MR
・燃料・タンク容量:プレミアム・45L
WLTCモード燃費:14.1km/L
・タイヤサイズ:前215/40R18、後245/40R18
・車両価格(税込):897万円

マツダ ロードスター 990S 主要諸元
・全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm
ホイールベース:2310mm
・車両重量:990kg
・エンジン:直4DOHC
・総排気量:1496cc
・最高出力:97kW(132ps)/7000rpm
・最大トルク:152Nm/4500rpm
トランスミッション:6速MT
・駆動方式:FR
・燃料・タンク容量:プレミアム・40L
WLTCモード燃費:16.8km/L
・タイヤサイズ:195/50R16
・車両価格(税込):289万3000円
こもだきよし

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