前回はヤクルトに負け巨人に勝った。今回はヤクルトと2度目!

イチローいた当時のオリックスブルーウェーブ、95年と96年日本シリーズに出た。

95年日本シリーズは野村ヤクルト相手で、打者オマリー&投手ブロス&捕手古田に負けた。バッテリーはオマリーを抑えるのに四苦八苦、イチローは野村監督のインサイド攻め口撃と実際の古田のリードと長身ブロスのタマの角度の対応に苦しんだ。

96年日本シリーズはメークミラクルでセ・リーグを制した第2期長嶋巨人相手だった。前年の野村ヤクルトのイチローインサイド攻めに倣い、左腕河野(原チャン)を対イチローに起用したが、打たれてしまった。確か、長谷川茂も日本最後の年になったハズ。

この2年、ヤクルトとの連チャンになってしまった。去年と今年の違いは・・・。

去年パ・リーグ本塁打王杉本は見る影もない。基本、吉田正ありきのオリックス打線。

オリックス投手陣は先発中心に充実。先発中継抑え日本人で占め、外人はワゲスパックくらい。去年、フロントがシリーズ中に外人交渉してブチ壊したが、今年の影響は少ない。

去年ヤクルトの先陣を切った、奥川はいない。中継抑えは充実している。

今年のヤクルト打線、ミスタートリプルスリー山田はやや不調、三冠王村上にウエイトがかかった。

初戦オリックス山本由の勝ち方に依ると思う。

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オリックス、日本一への“執念” イチローが躍動した1996年とつながる「歴史の糸」
10/22(土) 8:00 Yahoo!ニュース
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“神戸で胴上げ”に懸ける思い
 
奇跡のリーグ連覇を果たしたオリックス
 オリックスが、1996年以来、26年ぶりとなる日本一を目指す戦いは、2年連続の同カードとなった。ヤクルトとの日本シリーズ。その頂上決戦には、26年前と“同じ思い”が貫かれている。

【写真】96年の日本シリーズを制し、祝勝会でビールを浴びながら喜びを爆発させるイチロー

 何としても、本拠地胴上げをやりたい――。

 26年前、オリックスがつかんだ「日本一」へのモチベーションは、この切なる願いに集約されていたという。

「神戸で胴上げ、日本一というような、すごい強い目標というか、思い。それが強く出たんですよね、96年は。それが、全部達成できたじゃないですか」

 当時のナインの気持ちを説明してくれたのは、オリックスのチームリーダーでもあった主砲・藤井康雄(前・阪神1・2軍巡回打撃コーチ)だった。

 阪神・淡路大震災で、本拠地・神戸が未曽有の被害を受けたのは1995年。オリックスはその年、イチロー田口壮ら若き力の台頭がめざましかった。

 さらに、野手なら藤井、福良淳一(現・オリックスGM)、投手なら佐藤義則星野伸之野田浩司(いずれも現・野球評論家)といった中堅、ベテランら、個性豊かなタレントの力も、がっちりと噛み合った。名将・仰木彬監督の指揮のもと、オリックスが阪急を買収した1989年以降としては初となるリーグ優勝を果たした。

 ただその年、リーグ優勝を決めたのは9月19日、埼玉・所沢での西武戦だった。

「毎試合お客さんが増えていって、球場も満員になる」
 その直前、本拠地のグリーンスタジアム神戸(現・ほっともっとフィールド神戸)で行われた9月14日の近鉄戦、同15~17日のロッテ3連戦での本拠地4連戦のうち、1勝でもすれば、神戸での胴上げだった。

「僕らが、神戸の震災に遭われた方たちに、何で勇気を与える、何ができるのかといえば、野球で頑張っている姿というのを見せるしかない。ありきたりですけど、そうですよね。ただ、やっているうちに、毎試合お客さんが増えていって、球場も満員になる。そうすると逆に、我々の方が、こう、何と言うんですかね。励まされているような、そんな感じになってくるんですよね」

 常に、自分たちの背中を押し続けてくれた被災地・神戸のファンと、優勝の喜びを分かち合いたい。藤井が明かしたその熱き思いは、チームの総意でもあった。
ただ、その前のめりな気持ちが、ちょっとばかり空回りしたのかもしれない。

 まさかの4連敗。イチローはその時「神戸の人たちに申し訳ないです」と悔しがった。名将・野村克也監督率いるヤクルトとの日本シリーズでも、1勝4敗で完敗。神戸で、胴上げができなかった。

 優勝はできた。でも、どこかに物足りなさが残った。

26年前と“同じ執念”
「ある意味、震災に対しての一つの目標、みたいなものがあったのかもしれませんね」

 藤井の回想からも、ナインが同じ方向を向き、一体感が出ていたことがよく分かる。連覇への思いは「地元・神戸での胴上げ」という、明快な目標に込められていたのだ。

 96年、オリックスがリーグ連覇を決めたのは9月23日、神戸での日本ハム戦。延長10回、イチローの左翼線を破るサヨナラ二塁打という、劇的な優勝決定のシーンだった。

 日本シリーズでは、ミスタープロ野球長嶋茂雄監督率いる巨人を4勝1敗で破り、第5戦の神戸で、今度は日本一の胴上げも実現させたのだ。

 本拠地で、胴上げをやりたい――。2022年のオリックスナインも、まさしく、26年前と“同じ執念”なのだ。

 四半世紀ぶりのリーグ優勝を果たした昨季、オリックスはすでに公式戦の全日程を終了しており、10月27日は、ロッテが敗れれば優勝という、相手の結果待ちだった。コロナ禍でもあり、試合のない京セラドーム大阪で、無観客での胴上げとなった。

 日本シリーズは、コロナ禍でのスケジュール変更もあり、第6戦はかつての本拠地・ほっともっとフィールド神戸でのゲームとなったが、ここで敗れ、シリーズ敗退が決まった。

「今年はやり返したい」
 連覇を果たした2022年は、シーズン最終戦での優勝決定。場所は仙台だった。

 ソフトバンクが敗れての優勝決定とあって、勝った瞬間、マウンドで両手を突き上げた投手のもとへ、全ナインが駆け寄っていくという、あの歓喜のシーンも作れなかった。

「地元胴上げ」という最高の喜びと興奮を、昨季も、そして今季もまだ、オリックスは体現していないのだ。

「連覇、日本一を目指してやって来た。去年、負けたので、今年はやり返したい」

 2位・ソフトバンクを、アドバンテージの1勝を含めた4勝1敗、第4戦でクライマックスシリーズ・ファイナルステージ突破を決めた10月15日、中嶋聡監督は勝利監督インタビューで、京セラドーム大阪の満員のファンの前で、そう力強く誓った。

「またこういう舞台に立たせていただける。やり返すチャンスがきました」

 主砲で選手会長吉田正尚の闘志も、燃え盛っている。今度こそ、やってやる。日本一への裏付けは、十分にある。

 最多勝防御率奪三振、勝率の投手4冠を、史上初の2年連続で獲得した絶対的エース・山本由伸を軸に、2年連続2桁勝利の左腕・宮城大弥、今季自己最多の9勝を挙げた左腕・田嶋大樹の“3本柱”を擁する先発陣は安定している。

 宇田川優希、山崎颯一郎、ジェイコブ・ワゲスパック、阿部翔太の「勝利の方程式」を形成する4人は、いずれも150キロを超える剛腕。2年目の宇田川は、今年の7月までは育成選手で、先発から今季途中にセットアッパーへ転向した山崎颯は、CSファイナルステージで、球団日本人最速となる160キロの大台に到達した。

 さらに、来日1年目のワゲスパックも、シーズン当初は先発要員だったが、リリーフに転向後は安定した投球ぶりを見せており、2年目の阿部も度胸満点の投球ぶりで、平野佳寿とのダブルストッパーとして活躍した。

 主砲・吉田正尚は、9・10月の打率.416、23打点、7本塁打をマークして、月間MVPを獲得、CSファイナルステージ4試合でも、打率.462、2本塁打と、好調ぶりをキープしている。

 昨季の本塁打王、“ラオウ”こと杉本裕太郎は、シーズン中は不調に苦しみながらも、CSファイナルステージでは1本塁打、5打点の打率.385と、こちらも復調気配を見せるなど、打線の中軸を担う2人が、どっしりと構えている。

悲願達成への戦いが始まる
 セ・リーグ三冠王、ヤクルトの不動の4番・村上宗隆には、今季の交流戦3試合で本塁打こそ許していないが、10打数5安打の打率5割と、抑え込むことができていない。昨年の日本シリーズでは、6戦で2本塁打を浴びている。

 しかし逆に言えば、この“最大の敵”を封じ込めれば、26年ぶりの日本一は間違いなく見えてくる。昨年のシリーズも、6戦中5戦が1点差ゲームで、第2戦だけが2点差。今回も恐らく、僅差の競り合いが続くだろう。

 ヤクルトとの日本シリーズは、これが4度目だ。前身の阪急時代の1978年、知将・上田利治監督、そして仰木オリックスの1995年、そして昨年。3度のヤクルトとの戦いは、いずれもオリックスが敗れ、日本一を逃している。

「勝って終わるのと、負けて終わるのとでは、全然違いますから」

 吉田正尚の実感は、日本シリーズで負けた悔しさを味わった者しか分からない。日本シリーズという頂上決戦。日本一を逃すということは、その年、最後に負けるチームになるということと同義でもある。

 優勝したけど、最後に負ける。

 あの複雑な悔しさは、もうごめんだ。

 オリックスの本拠での試合は、10月25日の第3戦から27日の第5戦まで。つまり今回の「地元胴上げ」への条件は、4連勝、あるいは4勝1敗となる。

 第5戦なら、10月27日。26年前の日本一も「第5戦」、そして、昨季の無観客での優勝は「10月27日」。

 なにか、目には見えないが、どこか歴史の糸のようなもので、26年前の青波軍団と今年のオリックスが繋がっているように思えるのは、こちらのこじつけ過ぎだろうか。

 時を超え、26年ぶりの悲願達成への戦いが、いよいよ始まる。

喜瀬雅則(きせ・まさのり)
1967年、神戸市生まれ。スポーツライター関西学院大卒。サンケイスポーツ産経新聞で野球担当として阪神近鉄オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」(光文社新書)、「稼ぐ! プロ野球」(PHPビジネス新書)、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」(光文社新書)。

デイリー新潮編集部
新潮社

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