フェラーリ365P、単なる3座ミドシップに終わった。

フェラーリ365P、実際には市販されなかったクルマなのだろうが、一体、何を試したクルマだろうか?単なる生産型縦置V12ミドシップ?居住空間圧縮される対策の3座?

当時のフェラーリ、市販ミドシップは存在せず、息子アルフレッドはエンツオに横置ミドシップのレーシングカーや市販車開発を提案していたらしい。そして、F2用2リッターV6から、ディノ206GT⇒246GT⇒308GTBへの流れになるが、V12搭載ミドシップはまだ先になった。

365Pを制作した時、キャビンが間延びしたコトで、横置V12へのチェンジは考えなかったのか?フレームマウントに依る横置V12なら、ディノ系や308GTB同様のハンドリングマシンとして後世に残り、歴史が変わったかも知れない。

3座は、1人で乗る時こそバランスを取れるが、2人乗りでは偏る。また、右側通行/左側通行ドコでも、右折/左折どちらでも死角がデキる。結局、マクラーレンF1以降引き継がれなかった。

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3人乗りのフェラーリって、何だ!?イマイ製1/16プラモで「フェラーリ365P」について学ぶ【モデルカーズ】

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ディーノに似たボディにV12を搭載
フェラーリ365P――この不思議なクルマは、1966年のパリ・サロンで発表された。3ポスティ(トレポスティ)の異名を持つことからも分かる通りの3人乗り車両、ただし、よくあるベンチシートではなく横に3席シートが並び、その中央がドライバーシートであることが最大の特徴である。

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そのボディラインには後に発売されたディーノに近いものがあるが、同じような形状を持つディーノのプロトタイプ、ディーノ・ベルリネッタ・スペチアーレは前年すでに発表されており、これが元になった訳ではない。ただし、そちらのフロントマスクは、フィアット・ディーノ・スパイダーに印象の近い丸目4灯ライトのものであった。フロント周りの形状は365Pの方が、市販されたディーノに似ている。365Pとディーノ・ベルリネッタ・スペチアーレ、いずれもデザイナーはアルド・プロヴァローネだ。

車名が示す通り、そのメカニズムは365P2のものが元になっている。エンジンはV型12気筒SOHC 4.4L、これを縦置きに搭載したミッドシップであるが、縦置きミッドシップなのはディーノ・ベルリネッタ・スペチアーレも同じである。GT系のシャシー番号を持つ車両としては初めてのミッドシップとなるのが、この365Pであった。また、このレイアウトによって、3人乗りという特異なレイアウトが可能となったものと言える。

ステアリングホイールとドライバーシートは室内の中心に配置され、パッセンジャーシートはその左右、どちらも少し後退した位置に置かれる。また、このインテリアを明るく開放的なものとしているのがグラスルーフで、これはエクステリア上の特徴にもなっていた。ショーに出展されたのはホワイトのボディを持つ車両であったが、これを気に入ったフィアット社主ジャンニ・アニエッリがもう1台を作らせており、そちらはメタリックグレーのボディとなっていた。またこのアニエッリ車は、リアスポイラーを装着していたのも目を引くポイントであった。

プロポーション、ディテール、ともに修正を加えつつも味わいを大事に
さて、そんなコンセプトカーのモデル化を、どういう経緯で当時、我が国のイマイが決定したのかは定かでないが、とにかくそれは当時、同社から1/16という大スケールのプラモデルとして発売された。365Pのプラモ化としては、これが唯一と思われる。当時これを模型屋さんで見かけた子供たちは、棚の高い所に置かれたこのキットに羨望の眼差しを投げかけつつも、何を再現したキットなのか首をかしげていたのではないだろうか。

ここでお目にかけているのは、そんなこのキットを、当時の味わいと現代ならではのモデリングの両立を狙って完成させた作品である。基本的にキットのボディ形状は良好なものであるが、フロント周りのすぼまり方や厚み、サイドウィンドウの形やボディ前後のスリットなど、詰めの甘いところには修正を加えた。ただし、あくまで当時のキットの味わいを残しつつということで、こうした改修や各部のディテールアップなどは、ほどほどのところで抑えている。そのバランス感覚の見事さは、ディテール写真や工作中の画像でご確認いただきたい。

 
作例制作=坂中善之/フォト=服部佳洋 modelcars vol.252より再構成のうえ転載

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