K・ロバーツ、"プライドワン"主役!

確か87年、「プライドワン」と「グッバイヒーロー」という、オートバイ世界GPとF1グランプリ実録映画が上映された。メインキャストとして、オートバイ世界GPではV3チャンピオンK・ロバーツ、F1グランプリでは3度のチャンピオンN・ラウダだった。

「グッバイヒーロー」では、グッバイと付くくらい、J・スチュワートの愛弟子F・セブールからE・アンジェリスに至る事故死したドライバー、そして新規参加した中嶋悟までのドライバーをN・ラウダがインタビューした。

「プライドワン」では、K・ロバーツが新規参加しライバル達との激戦の末のV3、ルッキネリやウンチーニに敗れ、背水を期してE・ローソンをセカンドに据えたシーズンでF・スペンサーに敗れ現役を引退した。それから2年、ラッキーストライクのスポンサーを得たヤマハ監督として帰って来るトコまでを描いた。

他にも、ハングオンスタイルでYZRに乗るプラモデルも売られていたくらい、美しいフォームだった。agvのヘルメット、タカイのツナギのCMも、85年平忠彦との鈴鹿8耐の超惜敗(平忠彦の時にストップ、W・ガードナーに逆転された。)も、印象が強かった。ヤマハラッキーストライクチーム監督として、88年鈴鹿8耐をレイニー&マギー、90年以降オートバイ世界GPをレイニーでV3した。

GPマシンのオートバイメーカーとして、モデナスを立ち上げたがダメだった。モデナスを脱退した息子K・ロバーツジュニアが00年にスズキでGPを制覇した。

 

 

 

 

 

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ケニー・ロバーツ氏がライテクの真髄を語る
1/3(火) 11:10 Yahoo!ニュース
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スペシャル・インタビュー
 
ケニー・ロバーツ氏がライテクの真髄を語る
ヨーロピアンが主流だった’70年代のグランプリ。アメリカから乗り込んだケニー・ロバーツは、自らの限界を超えて速く走るために、常識を打ち破り、新しい領域への挑戦を恐れることがなかった。キングの称号で呼ばれた男の、魂を揺さぶる「ライテク論」。 ※ヤングマシン2011年7月号より ※2018年11月2日に公開した記事を再編集したものです

【写真ギャラリー】 ケニー・ロバーツが走る、語る!

自分の限界を超えるために ヒザ擦りが必要だった
「ヒザを路面に擦ってしまうんだ! うまく滑るようにテープを貼ってくれ!」。ピットに戻って私は叫んだ。でも、大先輩でありメカニックでもあった ケル・キャラザースは、「何をバカなことを! ヒザを擦るわけがないだろう」と、なかなか理解してくれなかったよ。「’72年、フィンランド人のヤーノ・サーリネンとレースする機会があった。彼は世界GPを戦っていて、私もファクトリーライダーだったが、ベストではなかった。そこでサーリネンの走りを観察すると、バイクより内側に体がある独特なスタイルだった。私はそのスタイルを採り入れてみることにしたんだ。

その頃のマシンはよりパワフルになっており、誰もがうまくコーナーを立ち上がれずにいた。でもサーリネンのスタイルだと、より速くコーナーを立ち上がれる。サーリネンはアイスレースを、私はアイスレースもダートトラックもしていた。だからスライドしやすい状況になるほど、巧みにコーナーを脱出できるんだ。とは言っても、今までとまるで違う走り方だから、最初のうちはうまくいかなかった。何度も転びそうになったが、私は挑戦し続けた。さらに改良を加え、翌’73年、ついにヒザを擦る走りに到達したんだ。自分でもわけが分からなかったが、そうすることですべてがうまくいった。やがてその走りが、ロードレースを高い次元に引き上げていったんだ。

──ケニーロバーツ 1951年、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。初めてバイクに乗った時は怖くて仕方なかったというが、やがて始めたダートトラックレースで才能が開花。巧みなマシンコントロー ルと新しい走りの追求でロードレースでも頭角を現し、後世に続くハングオフとヒザ擦りを確立。世界GPでは’78~’80年に3年連続チャンピオンを獲得した。

速くなるために必要なものは、何より強い意志だ
私が強調したいのは、テクニックが先にあったわけではない、ということだ。ライディングには、才能が必要だ。そして、「速く走りたい」という強い欲求こそが、その才能を進化させる。才能とは、天才性のことではない。野球やサッカーをするのと同じように、バイクに乗るのに必要な、自然な能力。バランス感覚や、手足を統合的に動かす、物事に素早く対処するなど、言ってみればごく当たり前の能力のことだ。

自然な能力は、あなたをある程度のレベルまで引き上げるだろう。しかしよりよくなるためには、どうすればよいか、何が自分を高めてくれるか、24時間考え続けなければならない。プロフェッショナルライダーは、ライバルが常に先を越そうとしているのだ。毎日をライディングに捧げる覚悟が求められる。ライディングテクニックは、何か問題に突き当たった時に、それを打ち破って前進するためにこそ、必要とされるものだ。決して先に立つものではない。能力があり、欲求があり、その実現のための方法論に過ぎないのだ。

だから、どんなテクニックが必要かは、人によってまったく違う。例えば私は、あなたより速くサーキットを走ることができる。あなたは「なぜ?」と考えるだろう。「ケニー・ ロバーツに勝つためには、いったいどうすればよいか」と。それはつまり、自分の限界を超えようとすることだ。 テクニックはその瞬間から必要になるのだ。繰り返しになるが、速く走るために必要な方法論──つまりテクニックは、人によってまったく異なる。それでいいんだ。自分なりのテクニックを追求すればいいんだよ。

例えば私は59歳だが、今でもアグレッシブにバイクをコントロールするのが大好きだ。限界で走ることに至上の喜びを感じる。ダートトラックでも、モトクロスでも、ロードバイクでも、思いっ切り走るものだから、息子にはこう諭されるんだ。「オヤジ、もういい年なんだから、ゆっくり走ることも覚えなくちゃ。15歳 や16歳じゃないんだよ」実際、長男のジュニアの走りはとてもスムーズなんだよ。でも、私はアグレッシブにバイクを乗りこなすのが好きだ。バカげたことになることもあるが、変えるつもりはないね。

考えてみてほしい。バイクはタイヤがふたつ、その間にエンジンがあるだけの、シンプルな乗り物だ。最新モトGPマシンを操るライダーたちも、私と同じようにヒザを擦り、リヤをスライドさせている。精度は上がっているが、やっていることはまったく同じだ。さらに言えば、バレンティーノ・ロッシは確かに優れた才能の持ち主だが、他のモトGPライダーたちも優秀で、努力で埋められる程度のわずかな差しかない。

必要なのはスペシャルテクニックではない。「速く走りたい」とどれだけ強く願うか、そのために自分のスタイルを貫きながら、どれだけ努力するか、なんだ。現状に満足せず、自らの限界を超えるためにやれるだけのことをやり切っているかどうか。 ただそれだけなんだよ。

──バイクについて語り始めると、その言葉は熱を帯び、止まることを知らない。東京・上野で行われたインタビューは1時間半に及び、”キング”は「強い意志を持つこと」の重要性を説き続けた。

●インタビュー:高橋 剛 ●インタビュー撮影:真弓悟史 ●写真協力:ヤマハ

※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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