ホンダS2000、期待ハズレの連鎖!

クルマ作りに情熱は結構だが、クルマが規格商品であるコトを忘れると、こんなモノばかりになる。日本の規格を中途半端にハミ出し、ただでも"用途を限られるクルマ"を過大サイズに過大価格で、自ら"売れるワケないクルマ"を出した。5ナンバー枠、3代目までのプレリュードをオープンにした感覚で良かったハズなのだ。

トヨタはMR2を出す上で、AW11でカローラ系やSW20でセリカ系からコンポーネンツ流用した。こういうクルマの原価管理として、実用性ある共用車を設けるべきところ、ロードスターマツダS2000のホンダはそれもしなかった。両車に、コンポーネンツ共用し、できればプラットホーム共用できるFRの2+2クーペないしセダンがあれば、生産維持する状況は少し変わったろう。マツダは4代作り続けているが、ホンダは1代限りで終わった。バカなクロカンやミニバンを濫発するより、実質のラインナップは充実できるハズなのに、それを冷静に判断できる人材はマツダにもホンダにもいなかった。

まして、オープン車のみ設定にしたコトで、ハイパワー化への限界も作ってしまった。FFなミドシップと違い、シャフト結合のあるFRや4WDは制震や剛性担保しやすいが、屋根がないとかなり厳しい。

一方、日本規格5ナンバーサイズをハミ出し無差別級にするなら、NSX張りの3リッターV6又はV6ツインターボを想定した、フルサイズFR、FRオープンにする方が割り切りも、インターナショナルな売り込みにも良かったハズだった。後のHSVにも、より良いバトンタッチができたハズだった。

NSXやビートやデルソルや4代目プレリュードらに続く、期待ハズレの系譜に並んだ。

*******************************

ホンダ S2000 開発ストーリー、各部門の担当21人が語った
2023.01.05 07:05掲載 レスポンス 2
1/10
Next
 すべてみる
全10枚
S2000の価格・グレード・レビューなどの情報を見る
『ホンダ S2000
リアルオープンスポーツ開発史
著者:車体開発責任者 塚本亮司/パワートレイン開発責任者 唐木徹 他共著
発行:三樹書房
定価:4950円
ISBN978-4-89522-785-8

ホンダ『S2000』誕生20周年を迎え、当時のホンダの最新、最高の技術によって開発されたスポーツカー誕生の様子を、当事者が語った1冊が刊行された。

真の上質を追求した“リアルオープンスポーツ”のコンセプトのもとに開発されたホンダS2000は、オープンスポーツカーとして日本のみならず海外でも人気となり、2009年に生産が終了した後も多くのファンが存在している。

本書では、S2000の企画の発端から開発の経緯に至るまでを、各部門の担当者21名が詳細に語っている。巻頭口絵ではデザイン開発の変遷を、貴重な資料も掲載して担当者自らが解説。さらにカラーカタログによるモデル変遷や、生産台数、年表なども収録して資料性も充実している。

2020年秋に企画がスタートしたという本書は、「当時開発に携わった技術者の面々が、それぞれの分野ごとに書くというスタイルだったため、その文章をわかりやすくすることと同時に、収録する写真や図版が社内資料のため、転載許可を得る作業が大変だった」と編集担当者は語る。しかし、本書は非常に読みやすく、さらにその図版はこれまで見たことのない試作モデルをはじめ、当時のデザインスケッチ、さらには設計概念図など、普段見ることのできない門外不出のものたちが次々と掲載されている。従って、それらを見て読み進めると、S2000がどのようなスポーツカーになりたかったのか、そして市販モデルではどう実現して行ったのかが、分野ごとに非常にわかりやすく理解できるようになっているので、その労は報われたといえよう。

中でもエンジン開発においては当時の川本社長から「ホンダのメッセージとして世界にアピールするには、エンジンは切り良く行かなきゃな!」と、最終確認会での発言から240psから250psへパワーアップ、回転数も10000rpmを視野に開発することになり、まさに新たに開発をスタートしなければならなかった。そのときの心情を「評価会に出席していた開発チームは一瞬息を飲んだ」とそのときの気持ちを吐露している。

このようにそれぞれの担当ごとに、その時々の気持ちや目標に対する意気込みなどが素直に語られており、これは即ちS2000誕生に向けての情熱以外の何物でもないことが感じられる。開発ストーリーの多くが、淡々と事実を述べていくものが多い中で、本書は人間味あふれる物語となっている。

*******************************