フィジカルトレーナー、肝心なコトを忘れてない?

フィジカルトレーナー、理想の投げ方は上原浩治なのだとか。根拠や理屈は理解する。確かに、ステップ狭めな方が、カラダの使い方として、アチコチの軸回転がスムーズにデキる。

しかし、肝心なコトを忘れてない?

日本人、総じて少なくとも中南米系のヒト達より体格や筋力的に劣っているのだ。向こうのヒト達、10代に鍛練してなくても、10代終盤や20代に鍛練始めて、しかも上体任せで投げてあのパワーなのだ。

日本人は、あくまでキレイにカラダ全体を使わないと、今の球威にならないのだ。上原浩治だって決して小さくないが、球威よりも内外高低へのコントロールと投げ分ける球種に依る緩急が効いたのだ。上原浩治は、高校時代外野兼任投手であまり鍛練されてないから、メジャースタイルに近かった。というか、日本では足腰で太腿肉離れなど頻発していた。

大谷翔平藤浪晋太郎や佐々木朗希やダルビッシュ有らは、190センチ以上の体格に鍛練と、広く速い左足ステップと右足蹴り出しに合わせたキレイなカラダの使い方で160キロの球威を実現している。

アメリカ選手の動作から、学ぶのは良いが、取捨選択は適切にするべきなのだ。

アメリカ選手、行き着くトコはトミー・ジョン手術なのだ。アメリカに行った日本人投手、和田毅ですらお世話になってしまっている。

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「理想は上原浩治」 山本由伸、佐々木朗希ら侍ジャパン先発陣の投球フォームをフィジカルトレーナーが分析する
3/21(火) 6:50 Yahoo!ニュース
  
WBC優勝のカギを握る山本由伸(左)と準決勝で先発する佐々木朗希 photo by Sankei Visual
WBC侍ジャパンの快進撃を牽引する投手陣。特に大谷翔平ら豪華な先発投手たちの顔ぶれは歴代最高とも言えるレベルだが、フィジカルトレーニングの専門家は彼らの投球フォームをどう見ているのか。

【画像】左足を大きく上げない山本由伸の新フォームなど

 アメリカでフィジカルトレーニングを習得し、独自のトレーニング理論でバスケットボールのプロチーム、プロのサッカー選手や野球選手、五輪選手たちを指導する吉原剛氏に、侍ジャパンの先発投手たちの投球フォームを分析してもらったほか、歴代の日本人投手のなかで最も理想的なフォームで投げていた投手などを聞いた。

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――フィジカルトレーナー視点から見た、理想的な投球フォームとはどんなフォームになりますか?

吉原 日本ではよく「下半身を使って投げる」という言葉が使われますね。打者側の足を大きく踏み出し、リリースポイントをなるべく打者の近くにすることが理想とされていたと思います。一方で外国人投手に対しては、「上半身だけで投げている」「手投げ」と指摘されることがある。スタンスが狭い投手が多いのでそう見えるのかもしれませんが、それは大きな誤解で、むしろスタンスが狭いほうが下半身を存分に使うことができるんです。

――その理由は?

吉原 ピッチングの重要な動きのひとつが「骨盤の動き」です。みなさんも、その場で投球動作をしてみるとわかると思うのですが、打者側の足を大きく前に出した場合と、小さく出した場合を比べると、小さく足を出した場合のほうが骨盤を回しやすいはずです。メジャーリーグの投手は、ボールをリリースしたあとに軸足が勢いよく前に出てくることも多いですが、それは骨盤の回旋力を十分に使えているという証拠なんです。

――吉原さんから見て、最も理想的なフォームで投げていた日本人投手は?

吉原 私が見たことがある投手のなかでは、日米で活躍した上原浩治さんが一番ですね。渡米1年目の2009年は先発でしたが、シーズン途中に左足の太ももと右ヒジのケガの影響で長期離脱。翌年の6月後半に本格復帰すると、リリーフとして防御率1.80、6ホールド、13セーブと好投しました。翌シーズン以降も活躍し、ボストン・レッドソックス時代にチームを世界一に導いたことも記憶に新しいです。

 上原さんはケガからの復帰以降、投球フォームが大きく変わりました。投球時のスタンスの幅が30cmくらい短くなったように思います。踏み出す足の幅が狭くなったことで骨盤が強く回旋するようになり、瞬発力が上がって体全体が前に突っ込んでいくようになった。左足が地面に着いたと同じくらいに軸足の右足が離れるような感じでしたね。

――なぜそのようなフォームに変化したと考えられますか?

吉原 メジャーの球場のマウンドが、日本よりも硬いことが理由のひとつだと思います。マウンドが硬いほど、足を大きく、強く踏み込むことでの下半身への負担は大きくなりますから。

 上原さんは投球時、上げた左足の膝をセンター方向に入れて骨盤をひねり、左のお尻から打者側に体を移動させていきます。そこから骨盤を回旋させ、左足の落下エネルギーを加えて投げる。踏み込む足を下ろすスピードは、他のMLBの投手と比べても異常に速かったですね。

――その投球フォームにすることで考えられるデメリットは?

吉原 巨人時代の上原さんは、軸足の右足でプレートを押しなから、重心を前方に移動させていました。踏みこむ足の幅も広かったので、リリースポイントはその時のほうが打者に近かったと思います。

 ただ、フォーム変更後は深く踏み込まない分、リリースの位置が高くなり、投げ下ろす形になるため速球の威力が高まったんじゃないかと。数字上でも、真っ直ぐの球速は140km台だったものの、ボールの回転数はメジャーの平均(約2200回転)を上回る約2400回転。それが「スピードガンの数値よりも速く感じる」と言われる所以でしょう。それによって、決め球のスプリットも生き、多くの三振を奪えたのではないでしょうか。

――では、WBC侍ジャパンメンバーの先発投手についても伺えたらと思います。まず、打者としても活躍する大谷翔平選手の投球フォームの印象は?

吉原 上原さんのように骨盤の回旋力がすさまじいですね。もともとの身体能力が高いですが、あれだけ体格に恵まれていると、思ったように体を動かせないことも多いんです。その点、大谷選手は身体操作能力(頭でイメージしたことを、実際の動きに反映させる能力)も非常に優れています。どうすれば効果的に力を伝えられるかをしっかり理解しているからこそ、投手と打者を高いレベルで両立できているんでしょう。ただ、今のレベルに達するまでには、相当な努力が必要だったでしょうね。

――ダルビッシュ有投手についてはいかがですか?

吉原 ダルビッシュ投手も渡米後に、投球時のスタンスが10~15cmほど短くなり、そこから投球がよくなっていった印象があります。骨盤の回旋力が大きくなった一方で、テイクバックは小さくなって肘や肩へのストレスが減った。また、リリースポイントを微妙に変えても、しっかりボールに力を伝えられているのが素晴らしいです。

 ダルビッシュ投手の飽くなき探求心はファンの方がよく知っていると思いますが、ケガのリスクも考えたトレーニングの見直しと変化、新しい球種の開発など技術面の追求なども若い頃から行なっていましたね。それを継続してきたことが、36歳となった今でもチームのエースとして活躍できている理由なのでしょう。

――"令和の怪物"佐々木朗希投手はどう見ていますか?

吉岡 佐々木投手は打者側の左足を"ぶん回す"ように高く上げて、骨盤を回旋させることでムチのような跳ね返りの力を生み出しています。左足を下ろすパワーも使って右腕の大きな動きを作り、体全体に勢いをつけて投げているように見えます。だから最速165kmのスピードボールが投げられるんだと思います。

――佐々木投手は現在21歳ですが、今後、さらにボールのパワーやスピードが増す可能性はあるでしょうか?

吉原 もちろんあります。現時点では、左足で踏み込んだ際に、地面から得られるエネルギーを十分に使えていないように見えます。すでにチームで取り組んでいるかもしれませんが、骨盤周辺、臀部、腹斜筋、ハムストリングスの弾性力(元に戻ろうとする力)を引き出すメニューを増やすと、さらにすごいボールが投げられるようになるかもしれません。

――2年連続で沢村賞に輝いた山本由伸投手の、左足を高く上げない新投球フォームの印象は?

吉原 すごく理にかなった投げ方です。セットポジションから打者の方向にスライドするように、いわゆるクイックのような動きをしますね。「クイックだと力が出ないのでは?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。左足をあまり上げずに前に出すことで体全体の力をドスンと打者方向に出すことができますし、そこから骨盤をぐっと回すことができれば、かなり力があるボールを投げることができます。

 構えてからいったん軸足のほうに重心を乗せて、反動をつけるように投げる投手もいますね。ただ、その過程で打者側の足を上げた時に、いったん動きを止めることには疑問があります。投げ急ぎをしないように、といった狙いはあるかもしれませんが、パワーを伝えるという点ではマイナスのように感じます。例えば、陸上のやり投げの投擲(とうてき)を見るとわかると思います。

――具体的にはどういったことでしょうか? 吉原 やり投げでは助走でつけた勢いを殺さずに、そのまま前方に向けてやりを投げますよね。投手が一度止まることは、やりを投げる直前に止まるのと同じようなことです。山本投手の新フォームは前方への力を一度も止めることがないので、原理はやり投げに近いかもしれません。「動きを止めないけど、投げる直前はしっかり軸足に重心を乗せている」という点が共通している点だと思います。

さらに山本投手は、踏み込んだ時に骨盤を回すスピードもかなり速いので、打者は非常にタイミングを取りづらいはずです。脱力しているほど体は動かしやすくなりますが、彼は必要な時にだけ力を入れるような感覚をすでに掴んでいるのでしょう。上原さんやMLBの投手によく見られた投げ方を、日本でも実践する投手が出てきたことは、プロ野球界にとってすごく楽しみなことだと思います。

【プロフィール】吉原 剛(よしはら・たけし) 

1973年福岡県生まれ。九州共立大学八幡西高等学校(現自由ヶ丘高等学校)卒。会社員を経て渡米し「ムーブメント」トレーニングを学ぶ。帰国後、体の動きの改善を中心とした処方トレーニングを提唱し、独自のライセンス制度を発行している。さまざまな日本のプロアスリートの指導のほか、台湾プロ野球選手のパーソナルトレーニングも担当。アスリートワイズパフォーマンス代表。ムーブメントワークアウト協会代表理事。日本スポーツ協会スポーツプログラマー
Text by Sportiva

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