カロッツェリア・ベルトーネ、日本自動車メーカーにも多大な貢献をしたG・ジウジアーロも在籍した。最も注目を集めたのは、ジウジアーロが辞めた後、M・ガンディーニに依るランボルギーニ・ミウラからになると思う。
カロッツェリア自体、良くも悪くもイタリアの自動車メーカーのクルマ作りを支えた。その工場や生産設備はかなり旧態依然だが、ハンドメイドに近いため、様々な形や要求に対応する柔軟さを持っていた。対応の早さや柔軟さはあるが、生産効率が良いかどうかは別問題。イタリアンスーパーカーの品質や値段の高さもココに起因する。
本来は前近代的生産設備&能力だが、ナゼか日本中の自動車メーカーもこの生産方式を見習った。本来は、新方式採用すると状況向上するべきところ、納入待ちによる生産遅延や発注数量未達に依る原価上がりなど、在庫減少以外に何一つプラスはなかった。実際、カロッツェリアは逐次衰退、ツブれて行った。
コレらに所属するデザイナーは、引き合い受け受注するため、よりキャッチーなデザインを行う必要があり、背負うプレッシャーも強かったろう。それは、メーカー所属のサラリーマンデザイナーとは、雲泥の差があったろう。今や、日本人デザイナーさえフェラーリやBMWに所属できたりするのだから。
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100年の歴史が終わってしまった伝説のカロッツェリア! ベルトーネの斬新すぎるコンセプトカー6台
2022/05/06 15:05 Auto Messe Web4
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いま見ても“アッ”と思わせられる斬新なデザイン
イタリアのベルトーネは、クルマのデザインや試作を長きにわたって行ってきたカロッツェリアだ。ジョルジェット・ジウジアーロ、マルチェロ・ガンディーニ、フランコ・スカリオーネといった世界的に有名なデザイナーが在籍していたことでも広く知られている。
「ジウジアーロ」「ピニンファリーナ」「ベルトーネ」は自動車メーカーじゃない! 数々の名車を生み出した「カロッツェリア」とは
ランボルギーニ・ミウラやカウンタック、ランチア・ストラトスなどのデザインを手がけてていた。スーパーカーブーム全盛時にピニンファリーナと双璧をなす名門カロッツェリアだった……といえば、そのすごさがよく分かるだろう。
残念ながら2012年に創業100周年を迎えたにもかかわらず、わずかその2年後に裁判所に破産を申請する手続きに入り、会社としてのカロッツェリア・ベルトーネはなくなってしまった。しかし、数多くの名車やコンセプトカーを輩出した功績が色褪せることは今後もない。
長い歴史を誇っていることもあり、その作品群を全網羅することは難しいので、今回はマニアックなコンセプトカーをピックアップしてみた。個性的すぎて奇妙だったりするけれども、思わずワクワクしてしまうプロポーションを楽しんでいただきたい。
アルファロメオ・カラボ
まずはじめに紹介するのは、1968年のパリ・サロンで発表されたアルファロメオ・カラボだ。ベルトーネ・カラボと呼ばれることもあるこのコンセプトカーのデザインを手がけたのはマルチェロ・ガンディーニ。ウェッジシェイプを採用したクルマのパイオニアのひとつとして認識されている。ベースとなったのは、アルファロメオ ティーポ33/2ストラダーレである。
カラボとは、イタリア語でオサムシのこと。ガンディーニは飛び立とうとしている昆虫の羽根からインスピレーションを受け、上方向に開くスイングアップドアを思いついたという。この機構を持つカラボがカウンタックをデザインする際の出発点になったといわれている。ボディの表面と一体化して見える特殊ガラスやメタリックグリーンの外装色もオサムシっぽさを強めていた。
続いて紹介するのは、ストラトス ゼロだ。1970年のトリノ・ショーで発表されたストラトス ゼロは、当時ベルトーネ総帥であったヌッチオ・ベルトーネと、ランチアワークスチームのボスであるチェーザレ・フィオリオが企画したコンセプトカーである。全長3580mm×全幅1840mm×全高840mmという超ウェッジシェイプボディのデザインを担当したのもマルチェロ・ガンディーニだ。
走行可能なランニングプロトとして製作されたストラトス ゼロに搭載するパワーユニットは、ランチア・フルヴィア・ラリー1.6HF用のV型4気筒SOHCエンジン。排気量1584cc、最高出力115psというスペックだった。
シャシーは専用の鋼管スペースフレーム+サブフレームで、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット+コイル、リヤはフルヴィアのフロントから流用したダブルウィッシュボーン+コイルであった。その車名からも分かるようにストラトス ゼロが後年ランチア・ストラトスへと発展したが、ストラトス ゼロのディテールがカウンタックに引き継がれたともいわれている。
ランボルギーニ・マルツァル
ランボルギーニ・マルツァルはミウラのシャシーを使った4シーターモデルで、1967年のジュネーブ・ショーで発表されたベルトーネのコンセプトカーだ。エンジンはフロントではなくリヤに積まれ、リヤシートへの乗り降りを容易にするためにガラス張りのガルウイングドアを採用。4名分の座席を確保するため、ホイールベースはミウラの2500mmに対し、2620mmまで延長されていた。
コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2011においてベルトーネから放出され、その後のレストアによって、マルツァルはかつての美しい姿とパフォーマンスを取り戻した。1967年のF1モナコGPでレーニエ大公が運転し、グレース王妃が助手席に乗って走ったことでも知られているが、レストアされたことにより、2018年のF1モナコGPで51年ぶりに記念走行を披露している。
ランボルギーニ・ブラボー
ランボルギーニ・ブラボーは、ウラッコをベースとしたコンセプトカーだ。1974年のトリノ・ショーで発表された。
ホイールアーチやリヤクオーターのデザイン処理は、ベルトーネ作品における傑作のひとつであるカウンタックに通じるものがある。リヤエンジン上のルーバーは24個もあり、冷却効果を高めていた。ブラボー用マグネシウムホイールは新しくデザインされたもので、のちにカウンタックLP400Sにも採用された。
フェラーリ・レインボー
フェラーリ レインボーは、直線基調のシャープなラインを特徴とするベルトーネのコンセプトカーである。1976年のトリノ・ショーでデビューした。フェラーリ 308レインボーとも呼ばれ、その名の通り、ベルトーネがデザインしたフェラーリ308GT4がベースだった。
レインボーとは「晴れでも雨でも」の意味で、晴れの日には金属製のルーフをシートの背後に立てて収納することができた。車体前部に配された硬質ゴムが衝撃を吸収するようになっており、これがバンパーの役割を果たしていた。
アルファロメオ・ナヴァホ
アルファロメオ・ナヴァホは、1976年のジュネーブ・ショーで発表され、大きな話題を呼んだベルトーネの意欲作。ベースとなったのは、カラボと同じようにアルファロメオ ティーポ33/2ストラダーレだ。当時最先端のエアロダイナミクスを積極的に取り入れながら、未来のクルマのプロポーションを模索していた。
前端と後部にあるエアスポイラーはコンピューターで角度が自動調整され、リトラクタブルヘッドライトはフロント部の側面から出てくる仕組みだった。ナヴァホとは、アメリカ・インディアンの一部族の名前である。
日本では、「ラ・カロッツェリア・イタリアーナ ’77」という往時のイベントで、マルツァル、ブラボー、レインボーとともにナヴァホが展示されていた。もしかするとベテランの自動車趣味人の方々は日本国内で実車を見たことがあるかもしれない。筆者は1971年生まれだが、残念ながら「ラ・カロッツェリア・イタリアーナ ’77」には行けなかった。しかし、大人になってからミラノにあるアルファロメオ博物館を訪問し、ナヴァホのディテールを隅々チェックしてきた日のことを、いまでも鮮明に覚えている。
カラボ、ストラトス ゼロ、マルツァル、ブラボー、レインボーについても、いつの日か実車を見てみたいと思っている。今後、各コンセプトカーの保管場所に行くチャンスがあれば……と願うばかりだ。
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