ポルシェ959対フェラーリF40

ポルシェ959対フェラーリF40、最高速度は315キロと324キロじゃなかった?

元々、ドイツ車のカタログ表示数値は日本車同様"カタログ値以上"を示すし、イタリア車のカタログ表示数値はアメリカ・イギリス・フランス製品同様"カタログ値くらい"を示す。ドイツ車はやや控え目にカタログ表示する。もし、それでもホントに339キロと言うなら、342キロのルーフCTRに負けるワケないじゃん!まあ、ルーフもドイツメーカーだけど。

ポルシェ959は、これからのクルマ作りの方向性を模索して、トルクスプリット型4WDやシーケンシャルツインターボやシリンダーヘッド水冷などの技術を投入したクルマ。あくまで、市販車911とは一線を画したクルマなのだ。

フェラーリF40は、ランボルギーニカウンタックにBBで対抗した如く、ポルシェが最速のクルマを作ろうとした動きに対抗して今ある技術でポルシェを上回るクルマを作った。ホントに"安定して"上回っていたかは別として、288GTOエボルツィオーネをベースに更なる"跳ね馬"を作ったのだ。

今でこそ、フェラーリはブガッティーマクラーレンに400キロを超されても何もしないが、昔は300キロへの熱があった。もちろん、あの時期はエンツオが生きていたし、F40まではエンツオの熱意が支えていた。

 

 

 

 

 

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ポルシェ959S対フェラーリF40 80年代のスーパーレジェンド対決
2/12(土) 8:50 Yahoo!ニュース
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F40は見た目と同じくらい過激な走りをする
 
F40と959といえば、1980年代に世界中のスポーツカーファンが憧れたスーパーヒーローだ。この「特別な自動車である」2台が繰り広げるバトルの軍配はいかに?
F40は技術的な美学の典型例だ。それ自体が形式的なだけでなく、すべてが機能に沿ったものだ。プラスチック製ボディスキンの隙間から、特大のリアスポイラーに至るまで、すべてのディテールが最速を目指すという目標を達成するためのものだ。

【画像】ポルシェ959S対フェラーリF40 80年代のスーパーレジェンド対決

478馬力のF40は、その見た目通りの走りをする。乗れば、どういう体験できるかがわかる。ドアを開けてドライバーズシートに座り、身をゆだねれば、狭くてパッドの入ったバケットシートがまるで万力のようにあなたを掴む。冷たいクリック音とともに、4点式ベルトが所定の位置に固定される。クラッチはとても重く、Aピラーは額に近いため、急ブレーキをかけるたびに裂傷の危険がともなう。パワステやブレーキブースター? そんなものはないし、もちろんトラクションコントロールなど、備わっているわけがない。

フェラーリに搭載されたツインターボV8から478馬力
 
F40はエンツォの遺産であり、コメンダトーレが存命中に発表された最後のフェラーリだった。
メタリックな正確さで、ギアノブはカチッと音を立て、ステアリングはフィレンツェのステーキナイフのような切れ味でカーブを描く。そしてエンジンオイルと勇気が適温になったときに、満を持してフルスロットルにしてみると478馬力V8ツインターボが唸りを上げて、F40は文字通り道路に吸い込まれていくように加速し、カーブを正確に駆け抜けていく。まさにエクストリーム(過激)なクルマだ。

現在、このフェラーリは多くのコレクターを強く惹きつけている。100万ユーロ(約1億2千万円)以下の売り物は非常に稀だ。ほとんどの車は3万キロも走っていないが、走行距離や過去に所有したオーナーなどは価格設定にはあまり関係ない。それよりも重要なのは、ちゃんとした車輛の歴史の証明書だ。フェラーリ クラシケ(Ferrari Classiche)の証明書も、オリジナルであることを証明するもので、価値を増加させる。

2基のターボを搭載したポルシェ 959 S は 339km/h
 
ポルシェ959 Sはスタートから3.7秒で時速100km/hまで暴走する。
ポルシェに乗り換える。車内には楽ちんに入れる。中に入ると、1987年の時点では存在していなかった964のように見える。959では、いくつかのスイッチなどのディテールが使いづらくイラッとさせられる。水温計(959ではクランクドライブ、エンジンブロック、シリンダーのみ空冷!)、タイヤ空気圧警告表示、四輪駆動の4つのトラクションプログラムのコントロールライト。

キーを回すと、2.9リッター6気筒エンジンがビートルのように自然に反応する。そして、低音のハミングとともにお馴染みのポルシェの唸り音が背中のほうから聞こえてくる。法定速度域では、普通のカレラに乗っているような気分になり、少しがっかりしそうになる。しかし、アクセルを強く踏み続ければ、4300回転時にセカンドターボが目を覚ます!そして目に見えない巨大な拳が、F40よりもさらに残忍に思えるほどの乱暴な力であなたの背中を直撃する。そして、その推力はとどまるところなどないかのようだ。

ポルシェはほぼ手首での指示が可能
四輪駆動のおかげで、パワーは失われることなく道路に伝えられ、100km/hまではポルシェのほうが優位性を発揮するが、その後、F40は200km/hまでの間に達するまでの領域ではペースを上げて追いついてくる。最初のカーブにあっという間に達しても959はほとんど手首だけで操舵できる。ステアリングも、ブレーキングもF40 のような力技は必要ではない。

一方F40は、軽くしっかりとしたサスペンションが装着されているが、アンダーステアが目立つ。
それ以外には、ポルシェがすでに30歳以上だということを、若干コーナリング時のステアリングフィールから感じ取ることができる。現代のスーパースポーツカーが、よりスムーズに、よりシャープに反応し、カーブをクリアすることは言うまでもない。

市場の状況
 
80年代のスーパーカーのヒーロー、フェラーリF40の最高速度は324km/h、一方ポルシェ959 Sは339km/hというものだった。
959は一時的にハイレベルなオークションに比較的頻繁に出品されていたが、現在では再び世界的に希少な存在となっている。現在、世界で販売されているのはわずか12台以下だ。

クラシックデータ(Classic Data)によれば、959はコンディション2級(ミントコンディションではもちろんなく、程度は悪くはないが特別に良くはないという状態)で780,000ユーロ(約9,700万円)、それよりも劣るコンディション3級で650,000ユーロ(約8,100万円)となっている。さらにそれらよりも走行距離が少なく、履歴が完全に記録として残されている、程度の良い959の場合、値札には7桁の数字(1億2千万円超)が記載されている。

結論
ポルシェ 959は、技術的にはより複雑なクルマであり、究極的には、見た目と同じくらい極端な走りをするF40よりも、驚きに値するクルマだ。だがその存在は、この後につながるポルシェの多くのクルマのエクスペリメンタルな車、つまりある種の実験室的な意味合いの強いクルマであったといえよう。911とほとんど変わらぬ内装も、比較的地味だ。

一方、F40はあくまでも純粋なスポーツカーであり、乗る人すべてに運転に関してのテクニックと自制心を求める。また内装も外装も特別な車であり、それはエンツォ フェラーリ自身が最後にその目で存在を確認した車、という意味でも他のフェラーリとは一線を画す車と言えよう。

959とF40はそのようにまったく存在意味も、その性格も異なるが、共通するのは1980年代という、今とは全く異なった時代を映し出し、その時代の輝きを永遠に失わないようなオーラを放つ2台という意味では同じ価値を有するのである。

(2020年4月8日 AUTOBILD JAPAN Web掲載)
Martin G. Puthz

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