トヨタAE86型レビン/トレノ

トヨタAE86型レビン/トレノ、ホンダはシビック以降FFしかなくニッサンや三菱やマツダらがFF化する中、1.6リッタークラス最後のFRだった。ニッサンは4気筒2リッタークラスにシルビア系を残していたが、部品/ユニット共用車両母数に依る供給部品の安さや対応範囲が違った。機械として優れていたワケではない。汎用性の問題だ。人気が出たため、中古車として値上がりするのも早く、機能性能の割にコスパの良いクルマではない。

頭文字Dでは、主役機として発想的に活かされた。4AGというエンジン自体、AE86以降、92⇒101⇒111と10年以上も生産され、実際グループAレースなどモータースポーツにも使用され続けた。主役機としてノーマルがエンジンブロー後、グループAエンジンに積み替え、関東遠征チームのダウンヒル車両で描かれた。

人気が出た(正確にはそれしかなかったから)ため、下取り後にスクラップされるコトなく、メンテ/レストアされ中古車流通した。

本来、機能性能的に価値あるクルマではない。新車当時価格以上の価値は感じない。

 

 

 

 

 

 

 

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30年前からずっと「古いけどいいクルマ」であり続けた名車!トヨタ AE86カローラレビン/スプリンタートレノ【推し車】
2023.02.08 06:15掲載 MOBY 1
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■えっ、AE86スプリンタートレノの中古車が800万円?!

ついこの間まで「500万オーバー?高いな!」と思っていましたが、今や600万オーバー、800万の値札までつけられていて、このままだと1,000万の大台が…という勢いが続くAE86カローラレビン/スプリンタートレノ。

【走るラブホを超えろ!】王者トヨタが限界ギリギリまで攻めた伝説の車とは

100万円台からの中古車もありますから、その差額で納得の1台を仕上げた方が良いのでは?とも思ってしまいますが、そもそもはお手頃価格で楽しめるテンロクFRスポーツで、という細かい話は、むしろ読者の皆さんの方が詳しいかもしれません。

改めて、AE86とはそもそもどんなクルマだったのか、なぜこれほど人気が出たのかを、トヨタ博物館に展示されたAE86カローラレビンの画像を交えつつ回想してみます。

■30年前、既に過去のクルマだった「ハチロク

「俺らが現役の頃は、中にロールバー仕込んだ特注の内装組んだハチロクで、検問にあってもノーマルですって言い張って…え?ハチロクだよハチロク、知らないの?」

1993年、19歳だった筆者(ライター・兵藤)は、引っ越しのバイトで同乗したトラックの運転手から「走り屋時代の武勇伝」を聞いていましたが、まだインターネットなどなくてクルマ雑誌を読む程度、知識などなかったので、急に「ハチロク」と言われもピンときません。

それが、トヨタ カローラレビン/スプリンタートレノの中でもAE86という型式で、最後のFR車、10年前に発売されて走り屋で乗ってるヤツは多かった!つまり人気だった!と教えてくれますが、ハァそうですかとしか言いようがないのです。

何しろ、1995年に撤廃されるまで車齢11年超のクルマは漏れなく、面倒くさい1年車検を受けねばなりませんでしたから、現在の感覚では信じられませんが、「10年前に発売された古いポンコツ車で、何を盛り上がってるの?」としか思えず。

カローラレビンやスプリンタートレノはもちろん知っていますが、FFのスポーツクーペで最上級モデルはスーパーチャージャーを積むけど、1.6L自然吸気エンジン車はVTECを積んだシビックCR-XのSiRが一番でAE86なんて眼中になく、知り合いも乗ってません。

走り屋やモータースポーツの世界にいれば「名車扱い」でも、ちょっとクルマが好きな程度の一般人には「ただの古いクルマ」でした。

■70系カローラバンありきで販売継続できた最後のFRレビトレ

AE86カローラレビン / スプリンタートレノとは、トヨタの大衆向けファミリーセダン、カローラ / スプリンターが1983年に5代目E80系となった時、唯一FR(フロントエンジン・後輪駆動)のままでモデルチェンジされた、スポーツクーペです。

ボディは2ドアノッチバッククーペ、3ドアハッチバッククーペの2通りあり、北米仕様「カローラスポーツ」は当時の北米の法規制に従いSAE規格型ヘッドライトをリトラクタブル・ヘッドライトとして組み込み、日本ではそれがスプリンタートレノとなりました。

基本的には先代TE71のダウンサイジング&軽量版で、足回りなども共通、なぜ他のカローラ系がFF化する中、レビン/トレノだけFRのままでいられたかというと、カローラバン/ワゴンはFRの旧型、E70系を継続生産していたから。

そのため、E70系カローラバン/ワゴンの生産終了までは、同じFRのAE86ダイハツの最上級サルーン、シャルマン(2代目)の生産も可能だったのです。

なお、エンジンだけは1.6リッター2バルブDOHCの2T-GEUから、同排気量4バルブDOHCで新型の4A-GEUに更新され、ほかに1.5リッターSOHCの3A-Uを積む廉価版「AE85」(通称「ハチゴー」)もありました。

その後1987年にE90系でFF化、1991年には豪華バブル仕様のE100系へとモデルチェンジしており、1993年頃には「2コ前の古いクルマ」だったわけです。

■漫画「頭文字D」で、「あーこれか」と

それから月日は流れて1995年、「ヤングマガジン」誌で連載が始まった走り屋漫画「頭文字D(イニシャルD)」にAE86のトレノが登場した時も、「あーこれか」と思い出す程度。

作中で主人公の藤原 拓海が「古いトヨタ」と言ったり、「ハチロクってなんだっけ?マツダ?」と言っては先輩や同級生をズッコケさせますが、筆者も全く同じレベルです。

それが峠では下り最速!「え?そういうもんなの?じゃあウチのFFでオートマの古いトヨタ(初代コロナEXiV、おまけにエンジンはハイメカの3S-FE)でも下りなら頑張れば速いの?」と、うっかり峠通いを始めてしまいますが、それはまた別なお話。

正直、「頭文字D」は漫画としてものすごく面白く、主人公車のAE86トレノもすごく躍動感があり、子供の頃に家族でドライブに出かけ、高速道路で聞いた「キンコン」音も懐かしく、それまで眼中になかったAE86へ急に親近感がわきます。

大学を出て社会人になった頃にはアニメの放送も始まり、同世代の友人や後輩もAE86に乗り換える人がポツポツ出てきて、中古車価格の値上がりが始まっていました。

■チューニングベースとして大活躍の時代

しかし、「まあ、漫画は漫画だし」と自分自身は冷めたもので、その後に飛び込んだジムカーナの世界では、ほとんど誰も乗ってません。

速いのはシビックであり、インテグラであり、ミラージュであり…小排気量派の筆者にとってはGA2シティがライバルで、「速いハチロク」なんていませんでしたし、改造範囲が限られた競技の世界では、物理的に無理だろうと思ってました。

実際、「頭文字D」の主人公車もエンジンを載せ替えましたし、実在するAE86もチューニングカーが多く、ほぼノーマルで速い車両なんてまずお目にかかりません。

後にD1GPの地方戦を手伝っていた頃、ハイパワーFRに混ざってAE86も何台か出ており、確かにドリフトはヒラヒラして軽やかでしたが迫力も飛距離も不足し、上位進出はならず。

JGTC(全日本GTカー選手権)に出場していたAE86トレノも、3S-GTEを搭載して足回りも規定上問題ない範囲で大改造されるなど中身は別物、むしろカタチだけハチロクなら何でもアリじゃなきゃ、というチューニングベース時代だったと思います。

積まれるエンジンも4A-Gのターボ化やスーパーチャージャー化は当たり前で、排気量を上げて7.5A-G、8A-Gと呼んでおり、SR20DETや13Bロータリーなど他社のエンジンスワップも珍しくありません。

多少値上がりしてもまだ手頃な値段で買えて、知名度が高く誰でも知っているので、チューニングやドレスアップして注目を集めるのに最適な、いわばミーハー向きのクルマでした。

ただしそれでノソノソ走ってはカタチばかりでカッコ悪いため、「走ってもカッコよく見えるよう、絶えず努力が求められるクルマだった」とも言えます。

■30年たっても、「ハチロクハチロク」だった

筆者が初めて「ハチロク」を意識してから30年、その間に「頭文字D」をキッカケとした一般人をも巻き込むブームがあり、チューニングベースとしてもてはやされ、他のFRスポーツも巻き込み、ドリフトブームをも生み出す原動力になった、AE86

それでいて通好みのマイナー競技で主力を張るレア車ではなく、誰もが知っているメジャー車種として現役であり続け、ついには「ハチロク」をそのまま車名としたFRスポーツをトヨタとスバルが共同開発、トヨタ 86 / スバル BRZとして2012年に発売されました。

時代を超えたリメイク車が人気となる一方、元ネタの旧車も元気に走り続け、今でもなお東京オートサロンなどチューニングやドレスアップの現場では常連という姿は、海外でいえばVW ビートルやBMC ミニ、フィアット500(2代目)に並ぶ存在でしょう。

特に東京オートサロン2023では、水素エンジン版やBEV版をトヨタ自ら出展するなど、「旧車でありながら過去に留まることを、誰もが許さない稀有なクルマ」とすら言えます。

30年前に、「古いけどよいクルマだと語り継がれていた10年落ちのトヨタ」は、30年たっても「古いけどよいクルマだと語り継がれている40年落ちのトヨタ」になっただけで、驚くほど何も変わっていません。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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