競争相手や主催者と上手く戦えないトヨタ!

トヨタ、最強クラス単独エントリーになるまで、何度も優勝候補最右翼に挙げられながら、毎度取り零しを繰り返して来た。この会社、過去何度同じ過ちを繰り返し、負けて来ているのだろう?

真剣に勝つコトを考え、TTEのA・コンスタンツに任せてもダメだった。今は、ギリギリまで性能調整もある。ライバルや主催者を上手く欺く戦い方がデキないのか?マツダは実質、千載一遇最後に来たチャンスを活かして、日本自動車メーカー初の優勝を飾った。トヨタは、性能調整の恩恵どころか、勝って当然まで祭り上げられ、挙げ句の果てに勝ちを逃すピエロでしかない。

去年までは最高クラス唯一のエントリーで、「コレで勝てねばキサマは無能だ!」レベルのレースですら、キチンと強さを見せつける横綱相撲を見せられなかった。

レースに勝つのは、ストイックに強さや技術だけを追求する求道者ではない。イカサマ臭くても、攻撃を受けつつヨレヨレに見せながら、上手く勝負処を押さえて勝つプロレスラー的手法なのだ!

ソレがわからないなら、トヨタは何度でも惜敗を積み重ねて行くだろう。

 

 

 

 

 

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「アスリートにスポーツをやらせてほしい」 モリゾウさんが言い放った“ド正論” ル・マンの舞台裏、もうひとつの戦い
2023.06.16 05:02掲載 ベストカーWeb
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モリゾウさんは怒っていた。ル・マンに向かう飛行機の中でずっとイラついていた。突如決定されたトヨタのGR010ハイブリッドへの37kgのBoP(性能調整)に不信感を募らせていたからだ。

しかし、トヨタ自動車豊田章男会長として100周年の記念式典に出席しなければならない。予定されていたスピーチを急きょ変更した。ル・マンで発表したGR H2レーシングコンセプトを紹介する際に「水素は軽いが、Less BoP(BoPもない)」と皮肉った。

「アスリートにスポーツをやらせてほしい」 モリゾウさんが言い放った“ド正論” ル・マンの舞台裏、もうひとつの戦い

このコメントはたちまち報道され、欧州はもちろん、世界を駆け巡り多くの共感を呼んだ。100周年とはいえ世界に向け、おかしいことはおかしいと直言したモリゾウさん、その舞台裏での戦いをお伝えしよう。

TEXT/ベストカーWeb編集部 写真/ベストカーWeb編集部、トヨタGAZOO RACING)

■誰が得する「性能調整」かは明白だった

チームに激励の挨拶をするモリゾウさん。右は内山田竹志前会長

ル・マンの記念すべき100回大会は終わった。フェラーリが58年ぶりに優勝し、6連覇を狙ったトヨタのGR010ハイブリッドは2位に終わった。50年ぶりにワークスに復帰したフェラーリの優勝は多くのファンを歓喜させた。そのことにケチをつけるつもりはない。24時間しっかりと走り切った51号車は賞賛に値する走りを見せた。

しかし、今シーズン開幕から3連勝し、ル・マン大会も優勝の最右翼と思われていたトヨタチームの2台のマシンにいきなり37kgのBoPが課せられたのは、予選1週間前のことだ。

優勝したフェラーリは24kg、3位のキャデラックは11kg、ポルシェは3kg、プジョーは0kgとなった。BoPはルール上問題ない。しかし、1週間前というタイミングはいかにも唐突だ。

接戦となったル・マンであったが、スポーツとして急なルール変更はトヨタにとってもル・マンにとってもハッピーなことはない

BoPはないと考えていたトヨタチームに不安が募った。そして決勝のグリッドを決めるハイパーポールではフェラーリの1、2となりトヨタの8号車が1秒469差の3位、7号車は1秒951秒差の5位となった。フェラーリは今季3戦を終えて3位、2位、3位とトヨタ以外に負けておらず、トヨタの6連覇を阻止する最有力と思われていたフェラーリは勢いづいた。

一方、思ったよりも大きな差となり、トヨタチームには焦りに加え不満が噴出した。突然のBoPはなぜ実施されたのか? ル・マン大会を主催するAO(フランス西部自動車クラブ)の主張はGR010ハイブリッドが参戦するハイパークラスの性能差が開きすぎ、埋めるためにはBoPは仕方がなかったというものだ。

フェラーリに目が行くが、ポルシェやプジョーに気を遣ったのかもしれない。ポルシェはたった3kg、プジョーはなんと0kgなのだ。それでもシミュレーションではトヨタが上に行くと予想されていたという。

フェラーリを追い上げ2位になった8号車のドライバー、右からブエミハートレー、平川の各選手と小林可夢偉チーム代表(左)

■「アスリートたちにスポーツをやらせてほしい」……核心をとらえたモリゾウさんの一言

トヨタ自動車豊田章男会長として笑顔でスピーチするが、モリゾウとしての気持ちは別のところにあった

トヨタチームの関係者はもちろん、純粋にレースを愛する人たちは誰もが、100周年の記念大会を日本のトヨタに獲らせたくないないという作為があるのではないかと思った。もっと言うならば100周年という記念すべき大会にワークスとして50年ぶりに戻ってきたフェラーリをどうしても勝たせようとしているのではないかと。

モリゾウさんはACOや関係者に非公式に会い「アスリートたちにスポーツをやらせてほしい。これはモーターポリティクスではないか」と述べたという。この言葉はどう関係者に響いたであろうか?

グリッドに向かうGR010。耐久レースは完走したら「ノーサイド」の文化がある。表彰台でのフェラーリへの称賛する姿勢はまさにスポーツマンらしいものだった

トヨタに不信感が生まれたのは当然であろう。2週間前にACOのフィヨン会長がスーパー耐久富士24時間レースに来日し、2026年からル・マンのトップカテゴリーに水素をエネルギーとする車両の参加を認めると発表した時に、ル・マンに関するBoPの説明は一切なかった。しかし、そのわずか3日後に発表された。

モリゾウさんに言わせると、砲丸投げの大会でトヨタだけ重いものを投げろというルール変更ではないか? となる。モリゾウさんはトヨタチームに勝ってほしいが、あくまでもアスリートたちが正々堂々と戦う、純粋なスポーツでなければならないという固い信念を持っている。

モータースポーツを愛しているがゆえに、不純な政治力で勝敗が左右されることに我慢がならないのだ。それが冒頭の「水素は軽いが、Less BoP(BoPもない)」の発言となった。

そして、記念式典ではル・マンに貢献した人物に贈られる「スピリット・オブ・ル・マン」の授賞式が予定されていたが、その場では受けず、非公式の場で受けた。記念式典ではトヨタ自動車豊田章男会長として笑顔を見せていたが、モリゾウとしての腹のうちはまったく別であった。

モリゾウさんは信頼感を失った相手に「賞はありがたいが、未来を一緒に作る自信がないので、辞退させていただきたい。BoPのポリティシャンにあげてほしい」と話したという。痛烈な一言だ・

可夢偉も一貴も怒っていた、そこに共感が生まれた

ドライバーと代表を兼ねる小林可夢偉。世界を渡り歩いてきた可夢偉の交渉力は非常に強い

モリゾウさんがそこまで不満を口にしたのには理由がある。チームを訪れた際に、小林可夢偉チーム代表も中嶋一貴TGRヨーロッパ副会長もチームスタッフみんなが怒っていた。彼らはその不条理な決定に不満を覚えながら、必ず勝ってそれが正義ではないことを証明してみせようという強い思いを共有していた。

モリゾウさんは現場でそのことをつかみ、共感した。だから、トヨタ自動車会長の豊田章男ではなく、モータースポーツを愛し、自らもルーキーレーシングを率いるモリゾウとして、彼らの気持ちを代弁したのだ。

ゴール直後のル・マンのコースに観衆が詰めかけ、フェラーリを上回る数のGRの旗が振られていた。ちなみに今回は32万5000人もの大観衆が詰めかけた

小林可夢偉選手が乗る7号車が不運にもクラッシュに巻き込まれ、リタイアした後気持ちを切り替え、チーム代表として8号車のドライバーを鼓舞し続ける姿は「チームのために」という言葉の深さを教えてくれた。8号車が猛烈な追い上げを見せていた時のチームの一体感は波のようだった。

そして、8号車がスピンし夢が断たれた後も小林可夢偉チーム代表はじっとモニターを見続けていた。少し肩が震えているように見えた。どうしても勝ちたかったレースで負けを受け入れることの厳しさを物語っていた。

トヨタフェラーリに敗れはしたが、チーム一丸となってBoPという不条理に立ち向かい精一杯戦った。チームは必ず強くなるだろう。

100周年という記念すべきル・マンの舞台裏で、モリゾウさんがひとりで戦っていたことを記憶しておきたい。

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