観点はGT3?

もはや、このメーカーには水野サンに継ぐ人材、新しい発想を掲げて押し通す情熱あるヒトはいなくなったのだ。

水野サンの市販R35GT-R、突っ込み処満杯だった。レギュレーションとはいえGTに使用したレースカーは4.5リッターV8、市販はZに使ったV6にツインターボ、フォルムは似ても似つかないクルマになった。

確かに、市販乗用車には、オートバイのようなレーサーレプリカというジャンルは存在しない。しかし、KPGCでもR32~R34でも、レースカーそっくりなフォルムとイメージがあったからだ。R34にV6ツインターボのバージョンを作っていれば、更なる延命すら期待できた。このメーカーには、そうした発想を出すヒトすらいなかった。

R35、市販としてV6ツインターボをV8や直4ターボに積み替え、キャビンや各セクションをリファインする発想すらなく、既存型の各部をアルミやカーボンに置き替えるコトしかない。

直4ターボに積み替え、4WDをFRにし、一気にコンパクト化や軽量化をすれば、ニスモのGTカー自体がモックアップになる。スーパーGTに無限に近付く、しかも、バカ馬力競争から身を離した、馬力と軽量化とコンパクト化のバランスの取れたクルマに変えられる。

ガラリと志向の変わったクルマになれば、イヤーモデルちょい変えをチョボチョボ売るより、期待できる。

別に、R36を作らなくても、コレくらい簡単にできる。

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日産はGT-Rをどうしたいのか? NISMO2022モデル登場のワケ
2021/05/28 12:02 ベストカーWeb13

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 2021年4月14日、日産は「GT-R NISMO」の 2022年モデルを初公開した。ひとつ前の「GT-R NISMO 2020モデル」が出たのは2020年6月のこと。このとき、自動車メディア各社は「これが最後のR35 GT-R NISMOか」と報道、筆者もそう思っていた。

 そこから2年が過ぎ、GT-Rはこのままそっと消えていくのかと思っていたら、今回、まさかの2022モデル登場となったわけだ。日産は今後、GT-Rをどうしていくつもりなのだろうか。

日産は15年前に敢行!! 全店全車種販売の功罪  トヨタの判断は吉か凶か!?

文:吉川賢一
写真:NISSAN

【画像ギャラリー】第3世代もこれで終わりか!? 全3世代のGT-Rを写真で振り返る

2022モデルでさらに進化したR35型GT-R NISMO

 今回日産は「GT-R NISMO」2022年モデルと共に、特別仕様車の「GT-R NISMO Special edition」2022年モデルも発表した。

 この特別仕様車は、ボディカラーにNISMO専用新色の「NISMOステルスグレー」を設定、NACAダクト付のNISMO専用カーボン製エンジンフードや、20インチの専用レイズ製アルミ鍛造ホイール(レッドリム加飾付)が与えられている。

 また、ピストンリング、コンロッド、クランクシャフトなどには高精度で重量バランスを調節したエンジン部品を採用しており、標準エンジンに比べて、スムーズネスさと高い静粛性を手に入れている。正式発表は8月、発売は10月末の予定だ。

 2019年に登場した2020モデルで「これ極まれり」と考えていたが、まさか2022モデルが登場するとは、いい意味で驚かされた。フーガやエルグランド、マーチなど、売れないモデルを「無視」している日産だが、GT-Rはやはり「特別」なのだろう。大変喜ばしいことだ。

特別仕様車の「GT-R NISMO Special edition」2022年モデル。NACAダクト付のNISMO専用カーボン製エンジンフードや、20インチの専用レイズ製アルミ鍛造ホイール(レッドリム加飾付)などが与えられている

GT-Rは意外と売れている

 GT-Rはいま、どれほど売れているのか。調べてみたら、結構売れており、北米、ヨーロッパ、中近東などを中心に、グローバルで年間2000~3000台が売れている。国内市場でも、直近の4カ月は、1月61台、2月47台、3月106台、4月70台と、年間700-800台ペースだ。

 高額なGT-Rを所有する顧客は当然、お金持ちであるため、1年ないし2年後ごとに行われる改良新型が出る度に、必ず新型へと乗り換える熱狂的なファンの方もいるのだそうだ。

 また中古車市場でも、現在、2000万円を超えるほどに暴騰中のR34型スカイラインGT-Rまではいかないが、3年落ちのR35型GT-Rプレミアムエディション(税込1083万円)が、オークションで900万円近い値段を付けるなど、リセールバリューも高い。

 そうなると、富裕層でなくとも、「憧れのGT-Rのオーナーになってみたい」と、購入を決断する方もおられるようだ。

 年間2000~3000台という販売台数は、ノートの販売台数のひと月分にも満たない数字だが、GT-Rは1台当たりの利益率の次元が異なる。現行型GT-Rは2007年から製造開始されており、金型や設備への投資もすでに回収を終えていると思われ、「意外と儲かるモデル」なのであろう。

アルカンターラ素材やカーボンを多用したコクピット周り。NISMOバージョンならではの雰囲気がありカッコよい

 冒頭で触れた、筆者を含むメディア各社が「R35型GT-Rは2020モデルで最後」と思った理由は、「騒音規制」だ。

 新車として発売されるクルマの騒音規制は年々厳しくなってきており、2022年にはさらに規制強化される。現在のGT-Rは、「2022年騒音規制」に対応できないため、これで終わりだろう、と考えられていたのだ。まさか、騒音規制が始まる直前にぶっこんでくるとは、想像もしていなかった。

 しかしながら、これで本当に、少なくとも「R35型GT-R」は、終わりとなるはずだ。ギリギリで登場させてきたことを「次期型は開発していない(だから2022モデルを開発できた)」と、捉えるか、「GT-Rはこれで終わりじゃない、というメッセージ」と捉えるか。筆者は後者だと信じたい。

現行GT-Rはあまりに不憫

 かつては国内レースを中心に、圧倒的な強さを誇っていたGT-Rだが、ここ数年は、国内最大の活躍の場であるはずのスーパーGTにおいて、ファンが期待する「強さ」はほとんど見られない。

 日産の業績不振や、コロナ禍によるテスト不足など、不運が重なっていることも影響しているだろうが、他車チームのマシンと比べて、GT-R NISMOは明らかに型遅れのベースマシンで戦わされているように見える。

 特に、2020年シーズンからはクラス1規定(サスペンションパーツなどに指定された共通パーツを使うルール)となったことで、ベースマシンのボディ形状からくる空力性能の差が、如実にタイムに影響するようになった(もちろんエンジンパフォーマンスも重要だが)。

 GRスープラ勢やNSX勢と比べて、GT-R勢は箱車的な上屋形状のため、空気抵抗が大きい。旧世代のデザインコンセプトのままで戦う日産のレースチームが不憫でならない。

他メーカーチームのマシンと比べて、GT-R NISMOは明らかに型遅れのベースマシンで戦わされているように見える。再び「強いGT-R」を見せてほしい!!

 GT-Rは、レースシーンで圧倒的な速さを見せつけ、勝利することで、「日産の技術力の高さ」を伝える「イメージリーダー」であるはずだ。「遅く弱いGT-R」では、憧れを抱くはずもなく、技術力の高さなどアピールできるはずもない。

 おそらく日産は、日産が誇るもうひとつのスポーツカー、フェアレディZの新型ベースのGT500マシンに置き換えようとしている(※2022年シーズンのGT500マシンは、新型フェアレディZになるというのが筆者予測)のだろう。しかし、そうなると、「GT-Rの存在意義」は当然薄れていく。

 「第3世代のGT-R」はこれで終了とするのか、それとも新規開発で規制対応するのか、その選択によって日産の今後は大きく変わってくるだろう。

GT-Rは、レースシーンで圧倒的な速さを見せつけ、勝利することで、「日産の技術力の高さ」を伝える「イメージリーダー」であってほしいと、ファンは願っている

【画像ギャラリー】第3世代もこれで終わりか!? 全3世代のGT-Rを写真で振り返る

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