GT-RとZ?一口にこの括りをするのなら、この言葉の意味するモノは、R35GT-RとZ33&Z34だ。
元々、GT-Rは、スポーツセダンたるスカイラインのレース用車両として作られたクルマだ。ハコスカ⇒ケンメリ、インターバル後のR32⇒R33⇒R34は、そうしたクルマだ。
Z/フェアレディZは、最初からアメリカをターゲットにしたスポーツカーとして作られたクルマだ。
元々、国内向けのスカイライン、インターナショナルなZの区分、その中で国内レース向けのスカイラインGT-Rという、明確な区分がされていた。だから、ダブってはいなかった。
カルロス・ゴーン以降のニッサン、相次ぐリストラで墜ちたイメージを表面だけでも取り戻すべく、Z33⇒Z34のZとR35のGT-Rに着手した。カレは、日本ではなく全世界にアピールするために、Z33を出し、それ以上のクルマとして後からR35GT-Rを出した。
今は、全世界に向けて、R35GT-Rと明確にその下のZ33⇒Z34両方を出している。ダブっているワケでもなく、類似しているが上下関係ハッキリした2車種なのだ。
コレまでは、ノンターボのZとターボのGT-Rという形で上下関係を作っていたが、今度は小さめなターボのZと大きめなターボのGT-Rという区分になるだけだ。
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日産の…いや日本の2大スポーツカー GT-RとZ 日産が無理して2車種作り続ける狙いと事情
2021/10/14 01:02 ベストカーWeb22
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日産が誇る2つのスポーツカー、「GT-R」と「フェアレディZ」。2021年8月には、北米で新型Zが発表され、翌月9月には、GT-Rの2022モデルが発表されるなど、活発な動きを見せている。
スポーツカーブームが過ぎ去り、次々とスポーツカーが消えていったなかで、この2車種のスポーツカーを頑なに守ってきた日産。日産としても、この2車種を守ってきたことを誇りに思うと同時に、窮地にあるいまは、日産のブランドイメージを保ってくれるモデルがあることに、安堵を感じているであろう。なぜ、日産はここまでこの2車種を守ってこれたのか。
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3万ドルという制約を頑なに守ってきた「フェアレディZ」
「フェアレディZ」と「GT-R」は、共に1969年生まれ。奇しくも同い年であるこの2台だが、その育ちは全く違なる。
Zの誕生は、日本が高度成長期の真っ只中であった1969年、きっかけは北米市場だ。当時、多くの若者たちがスポーツカーに憧れを抱いていたが、ポルシェやジャガーといったヨーロッパのスポーツモデルは価格が高く、手に入れることは非常に困難な状況であった。そんな北米市場の要望に応えるため、北米日産の初代社長、片山豊氏が先導して企画されたのが「Z」プロジェクトであった。
1969年に登場した初代Z。特に北米市場でスマッシュヒットしたことで、未だに修理をしながら乗り続ける熱狂的なファンも多い
Zプロジェクトの目標のひとつとして掲げられたのが、「3万ドル以下で誰でも買えるスポーツカーを作ろう」だ。ライバルとなるスポーツモデルが6万ドル以上で売られていることを考えれば、あり得ない目標設定ではあったが、日産の開発陣はそれを実現してみせ、初代Z(S30型)が誕生する。
このスポーツカーとしてはあり得ないほどの低価格が支持され、初代Zは北米を中心に大ヒット。Zはその後、5代目となる現行Z34型に至るまで、この「3万ドル以下」の縛りを極力続けてきた(北米では、Z34型の370Zのベース価格は30,090ドルだった。現在はすでに「Sold Out」となっている。日本仕向けは、商品力アップのためのアイテムを搭載した中級グレード以上のため398万円~)。その結果、Zファンはいまでも増え続けている。
2021年8月17日に北米で発表となった新型「Z」は、3.0リッターV6ツインターボのVR30DDTTエンジンが搭載される。最高出力400ps/6400rpm、最大トルク474Nm/1600-5600rpmのスペックは、日産スカイライン400Rに搭載されているエンジンと同じスペック。気になる車両価格だが、現時点、新型Zの価格に関しては、まだノーアナウンスの状態だが、現行同様に、ベース価格は3万ドル程度に必ず抑えてくるはずだ。
米国市場向けの新型Zには、「Sport」、「Performance」の2グレードと、240台の限定生産となる「Proto Spec」が用意される
新型Zには、最高出力400ps/6400rpm、最大トルク474Nm/1600-5600rpmのスペックを誇る3.0リッターV6ツインターボのVR30DDTTエンジンを搭載
日本向けの新型フェアレディZも、現行同様に、おそらく400万円程度からの価格となるだろう。長年のライバル、トヨタ・スープラが一足先にモデルチェンジをする姿を、指をくわえて見ていたZファンも多かったことだろうが、スープラの価格は、約500万円(2.0L直4ターボ“SZ”、3.0L直6ターボ“RZ”は約731万円)。Zは決して裏切らない。待っていて正解だ。
新型Zのライバルとなるトヨタスープラ(A90)は、2.0リッター直4ターボ“SZ”が約499万円、3.0リッター直6ターボ“RZ”は約731万円となる
「技術の日産」を誇示するためには必要だった「GT-R」
一方のGT-Rは、レースで勝利するために誕生したスポーツカーだ。GT-Rには、勝利することで「日産の技術力の高さ」を伝え、「ブランドのイメージ」を引き上げる役目がある。
国内レースで活躍した1969年以降の第1世代GT-R、グループAで連勝しまくった1989年以降の第2世代GT-R、そして海外へ羽ばたき300km/hの夢を見せてくれた2007年以降の第3世代GT-R。戦うレースシーンは変わっていったが、負け続けるような姿は決して見せてはならない。少なくとも、諦めない強い姿勢を見せ続ける使命を課せられたモデルだ。
なかでも、2007年に誕生した現行R35型GT-Rは、ポルシェやフェラーリ、メルセデスAMG、BMW Mなど、世界の名だたる強豪と比べても高い戦闘力を誇るスーパースポーツカーとして、世界中に認知されるまでになった。
そのR35GT-Rの2022モデルが、2021年9月14日に発表となった。通常モデルに加えて、特別なボディカラーや専用パーツを与えた特別仕様車「プレミアムエディションT-spec」と、「トラックエディションengineered by NISMO T-spec」が、合わせて100台限定で販売されることとなったが、予想通り応募が殺到。
時期から考えても、今回がこのR35型GT-Rの最終モデルとなるのはほぼ間違いなく、先日発表されていた、GT-R NISMO 2022モデルと同じく、既に手に入らないクルマとなってしまっている。
GT-R 2022年モデルの通常モデル。エンジン特性やトランスミッション、サス設定、デザインは、2020モデルと原則同じ。ワンガンブルーのボディカラーも設定に残っている
プレミアムエディションT-spec。写真のボディカラーはミレニアムジェイド
専用内装色が施された、プレミアムエディションT-specのインテリア
どちらも日産のプライドが詰まっている
コストへの制約が非常に厳しいZに対し、「速さ」を求めるGT-Rには、新技術(=コスト)を惜しみなくつぎ込む。スポーツカーというジャンルは同じだが、目的のちがうこの2車種は、似て非なるものだ。
開発工程も、まったくちがう。R35デビュー当時、R35の開発責任者である水野和敏氏率いるGT-R開発チームは、日産のエンジニアのなかでも特に選抜された者のみで構成される特別編成チームであったのに対し、Z34は、スカイラインやフーガといった、FRプラットフォームを開発するライン設計部隊の手によって開発されていた。
他社車に絶対に負けられないGT-Rに対し、お客様へリーズナブルに提供することが求められるZ。どちらの方が難しい開発なのかは言い切れないが、どちらも日産渾身の一台であることは変わりない。
1969年当時から現代に至るまで、幅広い年齢層のスポーツカーファンが育ったことは、日産の財産だ
3万ドル以下という、自らが課した制約を頑なに守ってきたとこで、ファンから支持され、つくりつづけることができたフェアレディZと、技術の日産をアピールするためには、諦めることができなかったGT-R。日産がこの2車種の製造を辞めなかったことは、いまの日産にとってかけがえのない財産だ。
しかし今後も守り続けられるとは限らない。環境保全が強く求められる中において、このようなスポーツカーをどのように守っていくか。ファンとしては、この2車種が末永く続いていくことを祈っている。
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