センチメンタル・ジャーニー、他にも、いっぱいあったじゃん!

松本伊代「センチメンタル・ジャーニー」まあ、"伊代はまだ、16だから~♪"は、今聴いても笑う。しかし、シブがき隊の「NAINAI16」や「ZIGZAG17」を出していた。「17歳」は森高千里でブレークしたが、元々は南沙織の曲、遥か前の曲だった。逆に、B面だったと思うが森高千里

「22歳」も歌っていた。

しかし、コレらが特別だとも思わない。

もっと露骨な(?)曲もあった。欽ちゃんファミリーかなえこと倉沢淳美のデビュー曲「プロフィール」だ。1967年◯月生まれ、今、1◯歳とか、文字通りプロフィールそのものが歌詞だった。

あの頃の流れなだけじゃないの?

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松本伊代センチメンタル・ジャーニー』が“奇跡の1曲”である理由 「歌謡曲と年齢」について考えてみた
4/2(土) 16:00 Yahoo!ニュース
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松本伊代センチメンタル・ジャーニー』(1981年)
懐かしの青春ソングにおいて、キーフレーズとして使われてきた「年齢」。15、16、17……と歌われる「青春年齢」は時代や世代を超えて愛されています。尾崎豊松本伊代、シブがき隊、岩崎宏美……そして安室奈美恵まで。1980~1990年代のエンタメ事情に詳しいライターの田中稲さんが、歌謡曲と年齢の関係について振り返り、考察します。

【写真6枚】デビュー直後の松本伊代がチェックの衣装を着て熱唱!他、大胆なミニスカで歌う森高千里など

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最近「人生100年時代」という文言をよく目にする。1世紀とは、な、長い……!

私はやっと折り返し地点を過ぎたが、私が幼少の頃イメージしていた50代と己の今は違い過ぎる。頼りなすぎる。これでいいのだろうか。

ドラマ『太陽にほえろ!』が放送開始したころ、ボス役の石原裕次郎さんは38才だったそうだ。現在の私より14も下ではないか。人生何回目の38才なのだろう。

ちあきなおみさんが『喝采』でレコード大賞を受賞されたのは25才だ。私の25才といえば仕事でオロオロ失敗しまっていた頃である。

さらに言えば、おとぎ話「一寸法師」のおばあさんは40才の設定。40才で婆扱いって、もう泣くしかないよ!

平均寿命が延びていくことで、年齢イメージは大きく変わっていくが、今も昔も変わらないのが「青春時代」。昭和だって平成だって令和だって悩み苦しみ輝くのが10代から20代前半のアオハル期!

ということで、この青葉が美しい季節、せっかくなので年齢と「青春」の関係性を、歌で見ていこう。音楽は聴くだけで若返る、素晴らしい妙薬でもあるのだから。

男子はZIG ZAG、女子はキラッキラの「17才」
春は暖かな日差しが心地良いが、同時に花粉症に悩まされたりもする季節。思春期もまさにそれで、世の中の色がこれまでと違ってみえる戸惑いとアレルギー反応が歌われる。

早熟な方は13才くらいから大人の態度にイラッと来る。そして15才ごろから行動に出る。尾崎豊さんの『15の夜』はイライラが頂点に達した様子が書かれた名曲だ。

イライラを、大人ではなく同級生の好きな女子にぶつけるという若き男子の典型的な荒ぶりを表現しているのが、シブがき隊の歌である。

『NAI・NAI 16』(ナイナイシックスティーン)――。この表現、見事としかいいようがない。これは恋なの? とか細かいことは考えNAI。勢い以外はなにもNAI。それが16才!

『ZIG ZAGセブンティーン』では、なにも考えず荒ぶって16才を過ごした結果、17才で反動がきて頭でっかちになっていく様子が窺える。妄想パンパンで右往左往するボーイズの様子はまさに「ZIG ZAG」。シブがき隊の楽曲は、「そうそう若さってこんな感じ!」と一言で伝わってきて本当に面白い。

「16才」だから生まれた奇跡の曲
同じ年齢でも、思春期は女子の方が精神年齢は上。ということで次は、16才、17才の女の子の曲を聴いていこう。

センチメンタル・ジャーニー』は「伊代はまだ16だから」という歌詞と、あどけない松本伊代さんの表情が印象的だが、歌詞全体はなかなか大人っぽい。恋心をはじめて覚えた戸惑い、そして不安。「心が追いつかないけど背伸びしたい感」が味わえる一曲だ。

松本伊代さんのデビューが14才だったら、幼さを加味し、タイトル表記は『せんちめんたる☆じゃあにぃ』になっていたかもしれない。可愛いが、40年愛され続けるロングヒットにはならなかっただろう。

もし15才だったなら「伊代はまだ、じゅうごぉーだーからー」となり、言葉がうまく音符に乗らないので、あの伝説のサビは成立しなかっただろう。

17才でデビューしていたら「伊代はまだ、じゅうしちーだーからー」とリズムは合うが、歌において「17才」は大人への一歩。なので「まだ」という言葉はピンと来ない。「もう」のほうが合うだろう。そうなるとこの歌の世界観は成り立たない。

まさに16才だからこそ生まれた奇跡の名曲なのだ!

17才の女の子を描いた名曲といえば、南沙織さん、森高千里さんの歌唱で知られる『17才』だろう。女子にとって17才は、ピュアさと色気両方を兼ね備えた人生で一番眩しい年齢。それを楽しんでいるリア充ぶりを丸ごと感じる1曲だ。

全体からほとばしる生きる喜び! 歌詞には一切「17才」と出てこない。逆にいえば、歌詞で年齢を説明する必要が無いほど、どこを切っても17才な歌である。

中森明菜の『少女A』もヒロインは17才だ。こちらは生命力をコントロールできないツンデレさん。この2人が同じクラスにいたら、案外放課後に恋バナで盛り上がり、仲良くなりそうな気がする。

大人へのカウントダウン、18才のユウウツ
成人式を迎える「20才(はたち)」は言わずもがな、人生の節目だ。私も覚えがあるが、18才あたりから「子どもでいれるのはあと少し」と心のカウントダウンが始まる。

岩崎宏美さんの『思秋期』はまさに、18才の秋、残り少ない10代を振り返り惜しむ表現が風流過ぎて泣く! 青春時代を四季にすると、18才は「秋」なのだ。

岩崎宏美さんは19才でも、年齢について歌った『二十才前(はたちまえ)』というシングルを出している。こちらは気持ち的に割り切れ、自立への期待も見える曲だ。

どちらも作詞は阿久悠さん。彼は岩崎宏美さんに理想的な「等身大の女の子」を感じ、彼女が放つ年齢限定の輝きを形に残しておきたかったんだなあと思う。

1990年代の大ヒット曲からも1曲。安室奈美恵さんの『SWEET 19 BLUES』(スウィート・ナインティーン・ブルース)。こちらも時代感と等身大の19才の戸惑いや本音がギュウギュウに詰まった名曲だ。

第2センチメンタル期、22才
謡曲における青春期のエピローグは20才ではなく22才だ。私は勝手に「第2センチメンタル期」と呼んでいる。

風の『22才の別れ』、谷村新司さんの『22歳』から感じる、大人になり変わった自分を知る切なさよ……。結婚適齢期が20代中盤だった昭和、「もう若くないしね」を言い訳にし、いろんなことを諦める時期だったのかも。今なら29才くらいの年齢設定でもじゅうぶん通じるだろう。

ザッと振り返ったが、さすが歌は若返りの妙薬。自分の若気の至りも思い出し「胸が苦しい!」と強めの地団太を踏めるくらい元気が戻ってきた。これを活用し、4月も頑張ろう。

1995年までご長寿でギネス認定されていた泉重千代さんは、70才から酒と煙草を始めたという。「17才」ならぬ「70才」! 世界最高齢プログラマーとして知られる若宮正子さんは60才でパソコンの勉強をし始めたそうだ。「NAI・NAI 16」ならぬ「YARU・YARU 60」!  私も歌の力を借り、これからもおおいにZIGZAGしたいと思う。

いつだって青春時代。人生100年時代ならば、そのくらいでちょうどいい。

◆ライター・田中稲さん

1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。他、ネットメディアへの寄稿多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。

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