個人的な映画「トップガン マーベリック」着目点は。

トム・クルーズの映画「トップガン」海軍航空隊の艦上戦闘機パイロットの話。コードネーム通りか、トム・クルーズ演じるマーベリックのF14トムキャットが、帰艦時にワザと艦橋前をマッハ1近くで1周したイタズラっぷり。

教官相手の空戦では、後ろに付いた敵機を空中急制動でやり過ごして、ロックオン。

インド洋出動では、アイスマン機とマーベリック機で数的不利に遭いながら、マーベリック機が3機墜とし、アイスマン機が1機墜とし、敵機が逃げて終わったっけ?

それを真似て、日本が航空自衛隊「ベストガイ」主演は織田裕二F15イーグルのパイロット、ライバル教官は古尾谷雅人。得意ワザは、太陽に向かって急上昇し、追尾してくる相手が眩しさに見失う瞬間、一気にテールスライドして敵機の後ろを取りロックオン。

トップガン マーベリック」今度のトム・クルーズ演じるマーベリック、F18ホーネットで、どんなワザを見せてくれるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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トップガン」はなぜ「トップガン」なのか? 「トップガン マーヴェリック」でオタクが悲鳴を上げ歓喜した理由
5/28(土) 12:30 Yahoo!ニュース
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乗ってるのはF-14じゃないけど、マーヴェリックが帰ってきたぞ~!/(C) 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
 ついに公開された「トップガン マーヴェリック」。この映画は、「人は何を見せられたら、『この映画はトップガンだ!』と認識するか」という、人間の認知をハックした画期的な作品である。その辺りをネタバレほぼなしで解説していく。

【動画】マーヴェリック(トム・クルーズ)からコメント

F-14のカッコよさと、ヤングで「陽」なノリが衝撃だった初代「トップガン
 初代「トップガン」が公開されたのは1986年。今から36年前のことだ。トム・クルーズが本格的にスターとなったきっかけとして知られている映画だが、そのトム・クルーズ本人がすでに59歳。リアルタイムで初代「トップガン」に衝撃を受けた人も大体アラフィフ以上くらいになっており、この映画については改めての説明が必要になっていると思う。

 トム・クルーズが演じるのは、アメリカ海軍のアビエイターアメリカ海軍では水先人を意味する「パイロット」と区別するため、航空機搭乗員のことを「アビエイター」と呼ぶ)、ピート・ミッチェル。「マーヴェリック」のコールサインで呼ばれる彼は天才的な操縦技術を持つものの、無鉄砲で鼻っ柱が強い性格ゆえにむちゃばかりしている一匹狼である。

 そんなマーヴェリックが、米海軍が運営するスーパーエリート戦闘機搭乗員養成学校「トップガン」に入学。激しい空中戦訓練とライバルのパイロットたちとの衝突、民間人専門技術者であるチャーリーとの恋愛、盟友グースの死や命懸けの実戦を経験しつつ、真のエリートパイロットとして成長していく青春飛行機映画が初代「トップガン」である。

 この初代「トップガン」の影響は、それはもうものすごかった。トム・クルーズの役へのハマり具合もさることながら、主役メカであるF-14トムキャットの人気も爆発。

 そもそもF-14の見た目はそれまでの戦闘機とかなり異なり、デカいしエンジンも尾翼も2個くっついてるし、それまでの米海軍の艦載戦闘機よりずっとカッコよかった。しかも主翼が閉じたり開いたりする変形ギミックや長射程かつ強力なフェニックスミサイル(この名前もカッコいいもんね)まで積んでおり、ほとんどガンダムだったのである。

 それがケニー・ロギンスの名曲「デンジャー・ゾーン」に合わせて空母からぶっ飛んでいく姿に、当時の観客は大層シビれた。アメリカではこの映画のおかげで、パイロット志願で海軍に入隊しようとする若者が続出したほどである。

 F-14以外のミリタリー的な側面も充実していた。パッチが大量に縫い付けられたG-1ジャケットをはじめネイバルアビエイターの装備や着こなしがガッツリ映り、空母の艦内や航空基地の雰囲気も読み取れる。

 さらに「アメリカ海軍の超エリートパイロット養成学校」の中が見られるというのも、ミリタリーマニアの興味を引いた。世界で最も負けず嫌いな男たちが意地と度胸を競い合う、知られざるパイロット養成学校……。複座機であるF-14パイロット2人の関係や、普段からコールサインで呼び合うパイロット同士の会話など、「へ~、米海軍ってこうなんだ……」というポイントが多々あった。

 さらに、アメリカ西海岸発の圧倒的オシャレ&陽キャ陽キャ陰キャという言い回しは個人的にはどうかと思うが、これ以上しっくりくる言い回しが思いつかないのでそのまま使う)なノリも観客に衝撃を与えた要素である。

 「トップガン」には戦闘シーンもあるものの、パイロットたちは基本的に敵との戦争の真っ最中ではない。カリフォルニアはサンディエゴ近郊のミラマー基地で激しい訓練を積んでいるが、訓練が終わればそのまま近くのバーや西海岸のビーチに遊びに行けちゃうのである。

 今となってはうれし恥ずかしなビーチバレーのシーンや、カラオケを使ったナンパのシーンなどなどは、この立地と「厳しく激しいが、やっているのはあくまで味方同士の訓練」という条件があったために成立した。

 「アメリカ海軍の超エリートパイロット」という全人類の中でも最強クラスの陽キャ集団が、ティアドロップのグラサンをかけながらオシャレな音楽に乗ってイケてる恋愛をし、合間に超カッコいい戦闘機を乗り回して命懸けの空中戦まで戦う……。

 戦闘機パイロットの映画なのに「おどろおどろしく悲惨な戦争」というイメージが皆無で、アメリカ西海岸のヤングで「陽」なムードが充満した「トップガン」は、そのノリの明るさと爽やかさで全世界の観客の度肝を抜いた。まさに、80年代を象徴する一本といえる。

 そんな「トップガン」の影響はものすごかった。例えば90年代初頭、「機動戦士ガンダム」と「超時空要塞マクロス」という日本のロボットアニメの二大タイトルが、「機動戦士ガンダム0083」と「マクロスプラス」で「次期新型主力機のトライアル」という題材を扱ったのは「トップガン」の影響だろう。どちらも敵対勢力との大戦争ではなく、同じ陣営に属するライバル機同士の対決(「0083」はちょっと違うけど)を描いており、さらに全体に漂う「陽」なノリやセリフも「トップガン」によく似ている。

 ニナ・パープルトンアナハイム・エレクトロニクスから連邦軍に出向しているという設定も、「トップガン」のケリー・マクギリスがいなかったら存在しなかったはず。「ガンダム」や「マクロス」のスタッフも真似をしたくなっちゃうほど、「トップガン」は衝撃的な作品だったのだ。

「何を撮っても『トップガン』の味になる調味料」とは
 で、今回の「トップガン マーヴェリック」である。この映画、前作を知っている立場からすると、ちょっと不安があった。なんせ、前作の主役メカであるF-14は2006年にアメリカ海軍から退役している。代わりに現在採用されているのは、一機種でいろんな仕事をこなせる万能な戦闘攻撃機F/A-18ホーネットである。

 F/A-18がカッコ悪いわけではないのだが、しかし「トップガン」とF-14はあまりにも密接に結びつき過ぎている。トムキャットなしでトム・クルーズだけ出てきても、「トップガン」だと言えるのか。それは「ルークが出てきたと思ったらBウィングを操縦している『スター・ウォーズ』の続編」みたいなものなのではないか。

 結論から書くと、杞憂だった。この映画を見ることで、おれは「『トップガン』の本質はF-14ではなかったし、ひょっとしたらトム・クルーズでもない可能性がある」ということに気づいたのである。

 では、「トップガン」を「トップガン」たらしめている要素とは何か。それは「ザラついた映像」と「波長が長めのオレンジっぽい色の光源」、そして「トップガンアンセムの『ゴォ~~ン……』というあのイントロ」だったのだ。

 「トップガン マーヴェリック」の冒頭では、前作と同じように「トップガン」という訓練学校の説明が字幕で入り、そして前作と同じタイミングに同じ書体で「TOP GUN」というタイトルが出る。違うのはその後で「MAVERICK」という今作のタイトルが浮かび上がるところくらいだ。

 正直、これくらいはやってくるだろうな……とおれは思っていた。しかし、どうも文字が出るところの映像の感じがおかしい。IMAXのはずなのに、なんかちょっと画面がザラついているのだ。

 初代「トップガン」では、空母の甲板上のシーンなどにトニー・スコット監督がCM撮影でも使用していた高感度フィルムが使われている。そのため、空母上や戦闘機の飛行シーンでは高感度フィルム特有のザラザラしたノイズが乗っている。あのザラザラ感もリアルっぽくて逆にカッコよかったのだが、今回の「トップガン マーヴェリック」は、そのザラつきをあえて初代から完コピしているのである。そして流れてくる、猛烈に聞き覚えのある曲……。トップガンアンセムの「ゴォ~~~ン……」というイントロが、タイトルにかぶさって聞こえてきたのだ。

 「え……まさか……」と思っていたおれの目の前に現れたのは、オレンジ色の光に照らされた空母の艦上で忙しく動き回るデッキクルー、そしてカタパルトに向けてタキシングするF/A-18の姿だった。

 パイロットにハンドサインを送るデッキクルー。カタパルトのシャトルに接続されるローンチバー。立ち上がるブラストディフューザー。フルパワーのエンジンから噴き出る排気炎。そしてBGMが切り替わり、「デンジャー・ゾーン」のあのイントロと共に、F/A-18が猛スピードで空母からぶっ飛んでいく!

 その瞬間、おれは「あ!! この映画は!! 『トップガン』だ!!」と認識してしまった。映画館じゃなかったら「これさあ! 『トップガン』じゃん!」とオタク大声を張り上げていたと思う。

 スクリーンに映っているのは、F-14ではなくF/A-18の発艦シーンである。あのイカしたF-14ではなく、悪くはないけどカッコよさでは一段落ちると思っていたF/A-18なのである。しかし、波長の長いオレンジ色の光線に照らされた空母の甲板がトップガンアンセムをバックにエモく映し出され、その画面がノイズでザラついていて、F/A-18が「デンジャー・ゾーン」でぶっ飛んでいったら、「『トップガン』じゃん!!」となってしまったのである。あんなに「F-14出てこないんじゃないの? 大丈夫なの?」とか言ってたのに……。

 「トップガン」の冒頭の発艦&敵機追跡シーンは、「それまでトップのパイロットだったクーガーが怖気付いたことで、マーヴェリックにトップガン入校のチャンスが回ってくる」というストーリーに関係していた。

 しかし、「トップガン マーヴェリック」冒頭のF/A-18発艦シーンは、実のところちっとも映画の本筋に関係がない。なんせ、今回の発艦シーンではマーヴェリックすら出てこない。このシーンは、観客の認知をハックして「『トップガン』じゃん!」と言わせるためだけに存在しているのだ。その威力は、少なくともおれに関しては絶大だった。だって、F-14が出てきてないのに「トップガン」に見えちゃったんだもん。もうすがすがしいほどの負け、完敗である。アメリカ海軍には勝てなかったよ……。

 おそらく、この映画のスタッフは続編を作るにあたり、「『トップガン』を『トップガン』たらしめている要素とは何か」を死ぬほど考えたはずだ。なんせ前回の主役メカが退役しちゃってるんだから、考えざるを得ないはずである。そして出した答えが、「画面のザラつきと光源の色、そして音楽」だったのである。

 これはおれの推測だが、夕暮れや朝焼けのような光源を使って高感度フィルムっぽいザラつきが出るように映像を撮って、そこにトップガンアンセムをかぶせれば、たとえ撮影対象が新幹線でもトラックでも漁船でもニンジンでもジャガイモでも、なんでも「トップガン」になるのではないかと思う。そのくらい、この三要素は「トップガン」の味がする調味料なのだ。

 もちろん上記の要素以外にも、「トップガン マーヴェリック」は「トップガン」らしさが大名舟盛りになっている。「その要素もカバーすんの!?」という驚きもあるし、「そりゃまあな~! やっぱりそうなるよなあ~!」という部分もある。

 トム・クルーズのスーパースター的現役ハツラツ感も濃いが、一方ですでに初老となった彼にしか出せない厚みや味わいも感じられる。観客の認知をハックして「トップガン」らしさを感じさせつつ、同時に「今しか作れない、『トップガン』の続編」になっているのが、「トップガン マーヴェリック」のすごいところだろう。

 こういう映画なので、初代「トップガン」の「トップガン」性を一度味わった上で見に行った方が楽しいのは間違いない。ハードルを無駄に高くしたいわけではないのだが、映画自体がそういう作りになっているんだから仕方がない。そして、「トップガン」の文脈を分かった上で見に行くならば、この作品は間違いなく面白いはず。なんせコロナで延びに延びた末の公開だ。ぜひとも映画館の大画面で、「ギエ~! これ、『トップガン』やんけ!」という悲鳴を(心の中で)上げつつ見てほしい。

しげる
ねとらぼ

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