マスコミ、ストレートすら分析デキないか?

きっとアメリカもだが、日本の野球マスコミも、キチンとストレートを分析デキない。

ストレートと一口に言っても、実はボールリリースに射出型とスピン型があり、タマ筋及び球質に違いが出る。

射出型は、ボールを離す時にあまり回転をさせない、指のなるべく中程で保持し、タマを速く強く射ち出すイメージでリリースする。大谷翔平のストレートはこの型だ。スピードは出やすく、タマに力も伝わるため、真っ直ぐ進む強いタマになる。

スピン型は、指のなるべく先端で保持し、ボールを強く回転させるイメージでリリースする。代表的なのは江川卓だ。速いストレートなら、強いバックスピンで空気抵抗を受け、ホップ加減になったり、真っ直ぐ伸びるように進む。遅いストレートなら、チェンジアップのように、空気抵抗を受け落ちたり、軸のズレ加減で左右に動いたりする。一口にストレートと分類されても、前後左右上下の変化球なのだ。

村上頌樹のストレートもスピン型だ。リリース毎に、同じように見えても指先の引っ掛かり加減でスピンのかかり具合が都度変わり、一様にホップするワケでもなく、ホップ大小や前への伸び大小や前進成分小さいとチェンジアップのように沈む。もちろん、回転軸が傾いていれば左右にも動く。

トラックマンでは、ボールリリースの成分など分析デキない。単にボールの初速や回転軸と回転数、もしかすると終速までか。本来、初速-終速で空気抵抗受けた度合いがわかるし、ボールに衝撃センサーあれば、衝撃方向成分を確認デキ、リリースの力成分がわかる。

説明困難?ピンポン玉でキャッチボールした経験あれば、理屈も確認デキる。何年マスコミやっているのか?

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【内田雅也の追球】なぜ、村上は打たれないのか。説明困難な「伸び」「切れ」
4/30(日) 8:00 Yahoo!ニュース
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<ヤ・神>連続無失点を続けた阪神・村上(撮影・北條 貴史)
 ◇セ・リーグ 阪神7-0ヤクルト(2023年4月29日 神宮)

 先に9回裏について書く。7―0とすでに大勢は決し、阪神は2番手の加治屋蓮が登板していた。内野安打の無死一塁。一塁手・大山悠輔はベースに付いていなかった。一塁走者・山崎晃大朗は二塁を陥れた。「守備側無関心」で盗塁を記録しないプレーだとみていたが、公式記録は「盗塁」だった。

 ゼロ行進で連敗が長引き、最後に一矢(1点)を――というヤクルトの姿勢が見える。この無死二塁を3者連続三振、無失点で切り抜けた加治屋の投球には意味がある。相手の明日へつなげようとする1点を阻止したのだ。最後は村上宗隆三振で試合終了だった。

 阪神はこれで3試合連続の零封で3連勝。立役者はむろん、先発の村上頌樹である。8回2安打零封で今季開幕から25回連続無失点、規定投球回数にも達し、防御率0・00で堂々1位である。

 なぜ、村上は打たれないのか。前回登板で完封した際、ドラフト指名決断は当日朝だったという話が本紙に載った。当時監督の矢野燿大(本紙評論家)が動画などを見て「どうしても欲しい」と球団に頼み、当日午前中に東洋大に調査書を提出した。5位での指名となった。

 矢野は「自分がリードしてみたい投手」と評価していた。「伸びのある、いい真っすぐが来ていた。制球がよく、落ちる球にも切れがあった」

 ただ、この「伸び」や「切れ」を具体的に説明するのは難しい。野球人独特の感覚である。球速や回転数や回転軸……などで数値化できるものだろうか。投球内容をデータで表せるだろうか。

 映画『人生の特等席』(2012年)はデータ全盛の野球界に疑問を投げかけている。主人公はタカの目を持つ大リーグ・ブレーブスの老スカウト(クリント・イーストウッド)。パソコンを使えと言う球団幹部に「コンピューター? 野球を知らないやつの使いものだ」、選手の勘や心を「コンピューターが読めるのか」と言い放つ。

 何もデータ野球を否定するわけではない。ただ村上の平均145キロの直球が「見た目以上に球威がある」(矢野)のはなぜなのか。1メートル75とさほど上背のない右腕には角度とは別の持ち味もあるはずだ。打者が球の出どころが見えづらい「スニーキー」なフォームなのか。簡単には説明できないこと自体が好投を生む要因なのだろう。=敬称略=(編集委員) 
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