花巻東佐々木監督、息子麟太郎が入り、割と戦力も揃った状態で夏の甲子園に来た。
大谷翔平の時は、2年夏と3年春しか出ていない。3年夏は疑惑の本塁打で県予選決勝敗退した。
千葉らがいて甲子園を勝ち抜いた時は、千葉の二塁走者でのゼスチャーがサイン盗みと解釈され、高野連審判団挙げた仕込試合で敗退した。
息子麟太郎は、早実清宮光太郎を超える本塁打数を狙った。その上で甲子園勝ち抜きを狙うには、息子を4番では狙わせられない。全盛期ONのV9巨人の3番王貞治4番長嶋茂雄5番末次利光/柳田俊郎クリーンアップと似た考えになる。
今回の花巻東、3番麟太郎と4番北條と5番千葉で、負担を分け合える状況にある。
4番エース160キロ大谷翔平に全てを託していた頃とは、遥かに良い状況だと言える。
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花巻東・佐々木麟太郎はなぜ“3番打者”なのか?「高校通算140本塁打」を活かす4番打者“佐々木朗希と大谷翔平の後輩”北條慎治とは何者か
8/14(月) 17:22 Yahoo!ニュース
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大谷翔平を受け継ぐエースナンバー「1」を付ける北條慎治。佐々木麟太郎をおさえて4番に座る打力も一級品だ photograph by Nanae Suzuki
花巻東出身のメジャーリーガー、大谷翔平を思い起こさせるような万能。
ピッチャーとして、バッターとして、野手として――マルチなパフォーマンスで躍動する選手が、今年のチームにいる。
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北條慎治。
高校時代の大谷も身につけた番号「1」を継承する後輩が、8月13日のクラーク国際戦で初めて甲子園のマウンドに上がった。
試合当日の朝に佐々木洋監督から先発を告げられた時こそ緊張が襲ったが、「落ち着いて投げよう」とすぐに冷静さを取り戻せたという。その北條が、テーマ通りのピッチングを披露する。140キロを超えるストレートで押す。狙い球を絞らせないために、低めを意識したスライダーも効力を発揮した。
この2球種には手本がある。
「ピッチングに関しては、大谷さんの試合の映像とかを見ながら参考にさせていただいているのはありますね」
6回4安打、無失点、奪三振はゼロ。落ち着いて、丁寧に投げていたことを物語っているようでもあった。監督の佐々木が評す。
「県大会で2試合しか投げていないピッチャーが、甲子園であんなピッチングをしてくれるなんて、という感じですね。当初は4回から5回までもってくれればいいなと思いながら、6回まで投げてくれまして。『もうちょっと投げさせてもいいかな』と思うくらい、いいピッチングをしてくれました」
背番号は「1」でも…野手としても非凡な北條
背番号こそ「1」を背負うが、北條に関しては「=エース」ではない。どちらかと言えば、野手として存在感を発揮する選手だ。
佐々木朗希を輩出した大船渡一中では、現在、仙台育英の「150キロトリオ」の一角である仁田陽翔がエースで、北條は野手だった。
花巻東入学後に監督の佐々木から素質を見出され、本格的にピッチャーとして研鑽を積んだ。今では「ピッチャー・北條」は重要なオプションではあるが、今年の春から台頭した2年生右腕の小松龍一など投手陣に厚みがある花巻東において、北條の力が最大限に活かせるのはやはり野手だ。
高校通算140ホームランを誇る佐々木麟太郎が3番、北條が4番、キャプテンの千葉柚樹が5番。花巻東には不動の中軸がいる。厳しい内角攻めや申告敬遠など、まともに勝負されることが少ない佐々木だけに、その後を打つふたりこそが花巻東のストロングポイント――。主砲の佐々木自身も、そこに自信を抱くように打ち出す。
「長打も打てる北條や千葉が次に控えていることで、『アウトになってもふたりがいる』と安心感があるといいますか、目一杯、バットを振らせてもらっています」
チームにとって「麟太郎が警戒される」ことは織り込み済みであり、普段から「一、二塁」などチャンスの場面で、4番と5番がランナーを還す練習を徹底しているのだという。
この練習が実を結んだのが、クラーク国際との試合だった。
4回、ノーアウト二塁から佐々木がショートゴロでランナーを三塁まで進めると、北條が相手エース・新岡歩輝の内角低めシンカーを捉え、サード強襲ヒットで先取点を演出。同点の8回に決勝点を叩き出したのも、「いつもチャンスで回ってくると思っているからこそ、初球から自分のスイングをすることを忘れないように」と心がけている千葉だった。
佐々木麟太郎に「俺が打たないと…」と思わせないために
監督の佐々木が、クリーンアップ「三位一体」の関係性を称える。
「北條と千葉が打ってくれますと、麟太郎が『俺が打たないと』となりませんから。『ふたりがいるんだ』くらいの気持ちで打席に立ってくれていると思います」
佐々木がホームランへの欲を出さず、逆方向のバッティングや進塁打などチームプレーに徹する。このような献身性こそが花巻東の強みであるならば、クラーク国際戦でそれを最大限に発揮したのはやはり北條だ。
「背番号1の4番バッター」は、マウンド降板後に守ったレフトでもチームを救った。
まずはピッチャーからレフトへ回った7回。ノーアウト一、二塁のピンチで大飛球をジャンプ一番で捕球すると、同点の8回にも見せ場が訪れる。1アウト満塁のピンチの場面。レフトフライを捕球した北條のバックホームにスタンドがどよめく。ワンバウンドでキャッチャーへ到達する理想的な送球によって、サードランナーを釘付けにし、この局面を無失点で切り抜けたのである。
突然の降雨によって1時間34分もの中断から試合が再開して間もないプレーだっただけに、バックホームの質と同等に集中力も称賛されるプレーであり、その裏に飛び出した千葉の決勝打の呼び水ともなった。
「満塁でしたけど守りやすい状況でもあったので。予想通りのプレーだったというか、『絶対に刺す』と思っていました」
高校野球において、1試合で複数ポジションを守ることは珍しくない。とはいえ重労働には変わりない。「先発ピッチャー」「4番バッター」「レフトフィールダー」。三足の草鞋を履きこなすことについて、北條は「しんどいと思いますけど、練習試合でもよくやるので」とあっさりと答える。
淡々と、しかし、確実に役割を遂行するマルチプレーヤーに対して、監督の佐々木は目を細めながら労をねぎらっていた。
「この試合でもいいピッチングをして、打ってくれて、素晴らしいバックホームもしてくれて。こなすことは難しいと思うんです。普段での練習でもノックには入れたり、入れなかったりするなかで、ああいうプレーができるというのは本人の努力もあるでしょうし、何より責任をすごく感じますよね」
「佐々木朗希の後輩」であり「大谷翔平の後輩」でもある北條
中学は佐々木朗希。
高校は大谷翔平。
偉大なる先人が残した足跡を辿るが、北條はあくまで自分を磨く。
「大谷さんと佐々木さんにはお会いしたことがないんですけど、すごいプロ野球選手と同じ学校なんで刺激にはなりますね」
花巻東は佐々木麟太郎だけではない。
個の献身が光るチーム。
そこに、北條もいる。
(「野球クロスロード」田口元義 = 文)
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