ポルシェ911フラットノーズ、ターボでないと。

ポルシェ911、タイプ930辺りまでは、ターボならば270キロくらいまで出るが、カレラなら220キロくらいまで、カレラRS2.7で245キロ、3.0で255キロと言ってなかった?

ちなみに、930ターボでは、250キロ超すところでフロントリフトが始まると言われていたハズ。当時は車両重量が軽く、重量配分が極端にリヤ寄りだったため、フロント周りの空力と軽さが招いたと思われる。ターボなら、フラットノーズの効果は感じる可能性はあったハズ。

ただ、NAではエンジンそのものが220キロくらいが限界で、ソコまでの効果は得られない。当たり前のコトだ。もちろん、100キロ~200キロくらいまで、空力的レスポンスは向上したろうけど、ソコを感じ取れるドライバーがどれだけいるコトか。

964まではカエル型だったが、993以降はノーズがスラント化され、空力的にフラットノーズと変わらない。

また、エンジンが930以降、NAでも3リッターから徐々に拡大、996以降の水冷化、997以降の直噴化によりポテンシャルが上がり、空力面でもノーズだけでなくフロントスクリーンが996から寝かされた。それにより、996ターボ以降は最高速度300キロを超した。カレラは290キロだったか。

空力は、エンジンとの関係があり、明確に感じられるドライバーは少ない。ポルシェといえども、シャレで乗ってるヒトは多いのだ。

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えっ、これってポルシェ911なの? じつは大人気だった「カエル顔」じゃない「フラットノーズ」の正体とは
8/22(火) 13:10 Yahoo!ニュース
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特別なカスタマーのための911をちゃっかり商品化
 
ポルシェには、「フラットノーズ」と呼ばれるリトラクタブルヘッドライトを装備した、935風のカスタマイズモデルが存在する。元々はディーラーが勝手にカスタマイズしたモデルであったが、のちにメーカーからも販売された。
 アメリカのセールススタッフが神さまとあがめる経済学者、ハーヴェイ・ライベンシュタイン博士が唱えた消費外部性理論のなかに「スノッブ効果」というのがあります。「他人とは違うものが欲しい」という心理が作用して、多くの人が簡単には手に入れられない商品の需要が増し、逆に多くの人が手に入れやすい商品の需要が下がる、ということらしいです。

【写真】これぞ画竜点睛!? ポルシェカスタマイズの超名門「RUF」とは

 言われてみるとなんとなく「当たり前じゃん」てな感じですが、この理屈をうまいこと利用した(し続けている?)のがポルシェ。さまざまな限定品やスペシャルパッケージを繰り出してきたのは、このスノッブ効果を熟知しているからにほかなりません。

 1980年の秋ごろ、シュツットガルトのポルシェ・カスタマーディビジョンに奇妙なオーダーが舞い込みました。スイスのディーラー経由で、顧客の名前は明らかにされていませんが「オレの911からヘッドライトを省いて、935みたいにしてくれ」という注文に、カスタム部門は大いに戸惑ったそうです。

 たしかに、1976年にグループBカテゴリーを席巻した935は、カスタマー部門のドル箱商品となっていたのですが、それはあくまでレーシングカー。すでに顧客に納められていた911はナンバー付きの乗用車なので、エンジニアたちは首を縦に振らなかったといいます。

 が、ディーラーは「太客だから」の一点張りで、強引に引き受けさせてしまいました。できあがった911は、ヘッドライトが935と同じくフロントスポイラー内に格納され、目玉のあったフロントノーズはフラットな形状に板金され、スイス経由でどこかの国の大金持ちに納車されたのです。

 これが911フラットノーズ、あるいはスラントノーズといわれるカスタムの出発点。誰かのアイディアをちゃっかり商品化するところは、じつにポルシェらしい商魂ではありますが、先に述べたスノッブ効果を大いに発揮したフラットノーズは、930シリーズだけでも230台ほどを売り上げたといわれます。

 さて、カスタマーディビジョンがフラットノーズを本格的にパッケージ化したのは1982年になりました。1981年のうちにもリリースしたかったようですが、スポイラー内へ935チックに収めたヘッドライトが欧州の法規をクリアできなかったため、リトラクタブル式に変更するための時間が必要だったとのこと。

 結局、944で使っていたユニットを小変更して搭載したのですが、これがまた911のカエル顔というかファニーフェイスのイメージを大きく変えることに成功。デビューイヤーには38台ものフラットノーズが販売され、911の売り上げが下がり始めていたポルシェにとって大いなる福音となったことは想像に難くありません。

ポルシェ公認の貴重なカスタムカーとして964型でも継続
 なにしろ、この時期はポルシェ最大のマーケットである北米への輸出が排ガス問題でできなくなっており、本来であれば改造車なんかより燃焼制御の研究をしなきゃいけなかったタイミング。ちょっとした板金作業で儲けが増えるフラットノーズは、それは熱心にセールスが動いたとされています。

 911の排ガス問題が解決され、北米への輸出が再開されたのが1986年。同時に、ポルシェはフラットノーズを「エクスクルーシブ」へと進化させ、よりカスタムのレベルを上げていきました。たとえば、935で見られたフェンダー上にあったブレーキ冷却風を抜くルーバーの標準化、リヤフェンダーはワイドフレアが標準とされ、ストーンガードがあったところはこれまたブレーキ冷却ダクトを装備、また、北米を意識したゴムの緩衝材つきサイドステップもエクスクルーシブならではのエクストラとなっています。

 1986年は52台のフラットノーズ「エクスクルーシブ」が製造されたことになっていますが、じつはこの年にはミツワ自動車も正規導入をしており、その数が10台とも20台とも言われています。となると、北米は42台以下でありポルシェが期待したほどの数ではないような……。もっとも、フラットノーズ「エクスクルーシブ」の値段は、ノーマル911の1.5~2倍(ボディタイプやインテリアのオプションによる)とされていましたから、「他人と違う」に投資するにはいささか戸惑う金額だったのかもしれません。

 ちなみに、フラットノーズ「エクスクルーシブ」のベースとなった911は、ターボをはじめNAモデルも多数あるほか、カブリオレやタルガも存在しています。また、エクスクルーシブ以前は、フレアフェンダーなし、各ルーバーも開けられていないプレーン(?)な仕様もあり、かなり豊富なバリエ展開。なお、エンジンチューンに関しては完全に別メニューとなっており、少数ながらヴァイザッハ直々のチューンアップに加え、北米などはアンダイアルが改めてチューニングするケースもありました。

 フラットノーズは、のちにポルシェのエンジニアも認めていますが、「空力的効果」についてはさほどのプラスはなかったようです。あくまで、カスタマーディビジョンの付加価値サービス、それこそ「他人と違う=スノッブ効果」を狙ったものであり、カスタム商品として大成功を収めた最初のモデルといえるでしょう。

 なお、930フラットノーズのあとを継ぐように、964でもターボをベースにフラットノーズが製造され、ターボ3.6フラットノーズは少数ながらミツワでも輸入されていました。そのほか、ポルシェのボディワークを得意としていたカスタムファクトリーの「dp」や、スイスのカスタムメーカー「リンスピード」も柳の下のどじょうを狙ってフラットノーズモデルを作っていますが、これまたスノッブ効果を発揮したのか売れ行きは上々だったとか。

 フラットノーズは、911のカエル顔を最上とする原理主義者からはノーサンキューとされていますが、窮地にあったポルシェをいくらかなりとも支えてくれた立役者。いまとなっては、貴重なカスタムカーと位置付けられることでしょう。
石橋 寛
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