BMW2002ターボ、50周年!

ターボエンジン、元々は航空機や船舶の技術だった。より出力を求められる中、吸気トラブルの解消、特に酸素密度の落ちる高高度などでの馬力維持に効果があった。第2次世界大戦や太平洋戦争、アメリカは高高度爆撃機と戦闘機に装着、日本の戦闘機は1万mを超す上空での迎撃戦闘が厳しかった。

BMWは確か、フォッケウルフ戦闘機のエンジンなどを生産していた。(会社のマーク自体が前から見た飛行機のプロペラとエンジンだし。)

船舶や飛行機は変速しつつエンジン回転を高く維持して運用されるが、自動車はスピード変化に伴う変速もスロットルオン/オフも激しく回転数上下も激しく、一般商品化どころかレース運用も難しかった。

ソレをポルシェ930ターボと同時期、BMWは2002ターボで商品化した。ポルシェは3リッター水平対向6気筒に低めのブーストだった。BMWは2リッター直列4気筒に低めのブーストだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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BMW「2002ターボ」が50周年! 全世界にターボの新時代を巻き起こした名車を振り返ろう
6/12(月) 15:10 Yahoo!ニュース
 
1973年に登場したBMW 2002ターボの足跡を辿る
 
1973年秋のフランクフルト・ショーにて鮮烈なデビューを飾ったBMW 2002ターボ
この2023年も、自動車史上に冠たる名作、あるいはエンスージアストの記憶に残るクルマたちが、記念すべき節目の年を迎えることになる。近年では、とくに長い歴史を誇るブランドでは「〇〇周年」のアニバーサリーイヤーをメーカーや愛好家グループによって大々的に祝賀する事例が多くなっているようだが、AMWでも偉大な名車たちに想いを馳せつつ、それぞれのモデルヒストリーを辿ることにした。今回は、今を去ること半世紀前、1973年秋にデビューしたヨーロッパ車初の市販ターボ車、BMW「2002ターボ」をご紹介させていただくことにしよう。

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レース譲りのテクノロジーが投入された、欧州初の市販ターボ車
燃費と二酸化炭素排出を抑えるダウンサイジングが、もはや当たり前とされている現代のICE(内燃機関)。それを支えるエコロジー技術としても認知されているターボ過給だが、1970~80年代のターボは、スピードを得るためのもの。ごく一部の高性能車にのみ許された先端技術であった。「turbo」の5文字は、当時のエンスージアストにとって、まさしくパワーとスピードの象徴とも言うべき意味を持っていたのだ。
そんな高性能ターボ時代の幕を開いたのは、ヨーロッパ製量産車として初めてターボチャージャーを採用し、1973年秋のフランクフルト・ショーにて鮮烈なデビューを飾ったBMW 2002ターボである。
航空機エンジンの分野では「排気タービン」と呼ばれていたターボチャージャー過給について、長らく航空機エンジンメーカーとしても活動していたBMW社は、1960年代の段階ですでに豊富なノウハウを有していた。そして、その技術力を自動車にも応用するため、まずはモータースポーツを試験場として選ぶことになる。モータースポーツの現場を実験室とする方策は、奇しくも2002ターボ登場の約半年後に量産バージョンがデビューした、ポルシェ「930ターボ」と同じである。
1969年、のちに「BMWモータースポーツ社」(現在のM社)となるBMWワークスチームは、当時大人気を博していたヨーロッパ・ツーリングカー選手権(ETC)において総合年間タイトルの対象となっていたグループ5カテゴリーに向けて、KKK社製ターボチャージャーを装着した「2002tik」(末尾の「K」はKompressorの頭文字)を投入。元来2+2のスポーツカーで、純粋なツーリングカーとは言い難いポルシェ「911」などの強力なライバルを向こうに回し、見事このシーズンのコンストラクターズ・タイトルを獲得するに至った。
ちなみに、ポルシェ・ワークスが初めて公式レースに投入したターボ搭載マシン、北米Can-Am選手権用の「917/10」がデビューしたのは、1971年シーズンのこと。つまりBMWは、この段階でもすでに、ターボ過給技術のトップランナーであったことがご理解いただけることだろう。

悲劇の名作となるも、全世界にターボの新時代を巻き起こす
ツーリングカーレースでヨーロッパタイトルを獲得した2002tikのレース活動で獲得した貴重な経験、あるいは1972年に製作・発表され、のちのM1の起源になったとも言われるコンセプトカー「BMWターボ」の経験をフィードバックした市販モデルとして生み出されたのが、現在では歴史的名作と称される2002ターボである。
同じく名作として知られるポルシェ930ターボに先んじてリリースされたことから、かつては2002ターボについて「世界初の量産ターボ車」とする記述も散見されたが、それは誤りであることは、AMW読者諸兄ならばご存知であろう。
蛇足までに記しておくと、世界で初めてターボ過給エンジンを搭載した乗用車は、米国オールズモビルが1962年に発売した「F-85ジェットファイア」および、シボレーの「コルヴェア・モンザ」。いずれも北米ゼネラル・モーターズに属する2メーカーから送り出されたが、この時代は過給圧も低くて大きなパワーアップを果たせていなかったこともあってか、大きな影響力を及ぼすに至らなかったという。
いっぽう、11年後に登場した市販型2002ターボのエンジンは、それまで2002系の最高性能版だった「tii」用の直列4気筒SOHC・1990ccユニットをベースにモディファイしたもの。圧縮比を6.9:1まで落とし、シェファー社製機械式燃料噴射とKKK社製ターボチャージャーとの組み合わせで、自然吸気版から40psアップに相当する170psのパワーと24.5kgmのトルクを発生した。
また、パワーアップやターボ特有の熱量増大に対処して冷却系も強化。一方トランスミッションは標準型2002と同じ4速MTが標準で、5速もオプション選択可能とされたが、ともにクロスレシオ化されたかたわらで、増大したトルクに対応してファイナル・ギアレシオも速められていた。
もちろんシャシーについてもサスペンションが一段と固められたほか、ブレーキも前ディスク/後ドラムを踏襲しつつもフロントはベンチレーテッド化され、リアドラムも径が拡大された。さらにホイール/タイヤも大幅にワイド化。そしてその拡幅分をクリアするため、前後フェンダーにはリベット留めのFRP製オーバーフェンダーが追加されたものの、日本仕様のみは鈑金加工で一体化したスチール製オーバーフェンダーとされていた。
くわえてエクステリアでは、フロントにバックミラーに映った際に正しく見えるよう、「turbo」を逆さ文字で記したデカール付きのエアダムスカートを装備。そして、こののちドイツを中心に流行する、ソフトな材質の樹脂製リアスポイラーで完全武装していた。
こうして誕生した2002ターボは、最高速211km/h、0-400m加速15.3秒という、当時の2L級サルーンとしては圧倒的なパフォーマンスを獲得することになる。
ところが、1970年代中盤にはオイルショックに端を発する省燃費対策や安全対策、あるいはエミッションコントロールのため、高性能車が世界的な冬の時代を迎えていたことから、1974年末限りで生産を終了。その生産台数は、わずか1672台(ほかに諸説あり)に過ぎないという、悲運の名作ともなってしまった。
それでも、その後ヨーロッパから日本でターボ時代が発生する起源となり、さらには元祖であるアメリカにもターボ過給のムーブメントを再燃させた立役者であることは、間違いない事実なのである。
武田公実

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