AE86って・・・・

「86はドライバーを育てるクルマだから・・・」とは、しげの秀一のマンガ「頭文字D」で、主人公藤原拓海の父親、文太のセリフだった。ほどほどのパワー&トルク、1tない車重、リトラクタブルヘッドライトやハッチバックスタイル(クーペもあったし、レビンは固定式ヘッドライト)など、キャッチーな見た目も十分だった。

スプリンタートレノ/カローラレビンとも、ニッサンのサニー系が生産効率の魔物に取り憑かれいち早くFF化する中、AE86まではFRを通した。ある意味、AW11型MR2すら出せた、トヨタの余裕の為せたワザとも言える。

1.6リッタークラスはトヨタがFRを引っ張ったが、1.8~2リッタークラスの4気筒はトヨタセリカクーペらを流面形からFF&4WD化、ニッサンはシルビア系をFRのまま継続した。

ワタシの学生時代、中古車買う時に86や平目/黒面セリカにするか、シルビアかガゼールにするか、迷った。

不人気だった分、割安だったからか、S12シルビアにした。住んでいた国家公務員宿舎、20台ある入居者駐車場の内、86が4台並んだ時期はあった。S12シルビアはワタシだけだった。所有感は高かった。

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AE86はなぜドライバーを育てるクルマと呼ばれるのか?」谷口信輝がその謎を解き明かす!
2021/04/26 06:30 web option21

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テクノプロスピリッツ作のAE86レビンをNOB谷口が緊急試乗!

アナログの極みがもたらすドライバーとの対話性

「200マイルなど通過点に過ぎぬ!」オーナーの拘りが詰まった美麗R34GT-R VスペックIIニュルの勇姿

小振りなボディにFR駆動というパッケージを採用するAE86は、長年ドライバーを育てる手頃なベース車として親しまれてきた。「頭文字D」などの影響もあり、近年では中古車相場が高騰してしまったが、それでもハチロクを求める人は後を絶たない。

「FRで軽い、そして安いと3拍子揃っていたのがハチロク。変な電子制御がいっさい付いてないから運転スキルを上げるのにピッタリだし、構造がシンプルだから自分でイジれるのも魅力。最近は中古相場の高騰もあって、ハイチューンより長くシッカリと乗りたいというユーザーが増えてきた印象かな」とは、AE86チューンにかけては無類の強さを誇るテクノプロスピリッツの熊倉さん。

続けて「じつはオレも、レース用やストリート用などかれこれ4台くらい持っているよ。アクセルを全開にできる高揚感とか、このクルマじゃないと味わえない部分も多いからね」。

そんなテクノプロスピリッツが手掛けたAE86は、学生の頃から20年以上AE86に乗り続けているオーナーの愛情が詰まった1台だ。細部を見ていく。

エンジンは、肉厚で強度的にも有利な4AG-Zの腰下にハイカム&ハイコンプ仕様のヘッドを組み合わせた1.6Lの180ps仕様。EXマニは4-1集合タイプで、サーキット走行に備えオイルキャッチタンクも設置されている。

スロットルはAE101用の4連を流用し、燃調コントロールはフリーダム。今の技術を使えばハイカム付きの仕様でエアコンを入れても普通にアイドリングさせることが可能なのだ。

「4.5A-Gとか5A-Gにする手もあるけど、いわゆるカムに乗るという感覚が一番ハッキリと味わえるのがこの仕様。確かに排気量アップをすればトルクは出るけど、ドラマチックな吹け上がりはこちらが一枚上手だよね」。

車高調はトキコ製のショックをベースにしたテクノプロスピリッツオリジナル。スプリングレートはフロント8kg/mm、リヤ6kg/mmの設定だ。路面のアンジュレーションを掴みやすくするために、ブッシュはTRDの強化品を奢る。

ホイールはボルクレーシングTE37V(8.5J×15±0)で、タイヤにはディレッツァZIII(205/50R15)をセレクト。

駆動系はTRDの機械式LSDを投入した上で、ファイナルギヤを4.5に変更。「これなら全体的にギヤ比が下がってトルクバンドをキープしやすいし、高速道路でもギリギリ許せる回転数で巡航できるんだよね」と熊倉代表。

ストリート仕様ということでブレーキはパッド交換のみで対応。銘柄は、プロジェクトμ製のローター適正温度が高いMAX900を使用している。

1万rpmスケールのタコメーターが目を引くコクピット周り。シートはレカロのSP-Gで、ステアリングにはナルディクラシックをチョイス。パワステ&パワーウインドウ付きで、機能性と快適性を両立させたメイキングだ。

エクステリアはシンプル路線で、カナードやGTウイング、アンダーボードといったサーキットで主流となっているエアロパーツは皆無だ。

今回はこの至宝のチューンドハチロクに、生粋の走り屋にしてレーシングドライバーであるNOB谷口こと谷口信輝が試乗! 10代の頃、地元である広島の峠で無敵のハチロク使いと呼ばれていた男が、改めてかつての相棒に乗って感じたこととは!? 試乗インプレッションをお届けしよう!

「19歳から5年くらいハチロクに乗っていたんだよね。60万円のボロにデフとか入れて70万円だったかな。ポテンシャルは低かったけど、すごく愛着があった。それから、かれこれ4台も乗り継いだよ。パワーはないし足回りもチープだけど、ハチロクの良さは、それらのバランスがよくて乗っていて楽しいこと。ドライバーを鍛えてくれるクルマなんだよね。

ハチロクは腕がないと速く走らせられないんだよ。ドリフトするにも、ちゃんとクルマの挙動を理解していないとダメだし。そういったところがドライバーを育てるって言うのかな。今のクルマって電子制御が凄いから“操る楽しさ”って感じにくいんだけど、ハチロクはアナログの極みだからさ。だからこそドライバーは“どうやったら速く走らせられるか?”を考えるようになる。その作業って非常に重要なんだよ。オレのドラテクの基礎を作ったのは、間違いなくハチロクだと思うし。

このテクノプロスピリッツのマシンからも、そんなハチロクの良さがビシバシ伝わってきた。トルクもあるし、吸気サウンドもやる気にさせてくれる! カムが効いていると思うんだけど、高回転までよく回って気持ちよく走れるんだ。かなりツウな仕様だと思うよ。オレも1台手に入れられるなら、こんなハチロクが欲しいなぁ。

コンディションの良さにも驚いた。後期のAPEX仕様で、しかもパワステやパワーウインドウ、オートエアコンまで付いている。内装やリヤシートまで! 状態がいい個体が少なくなってきたから長生きして欲しいよね」。

●取材協力:テクノプロ・スピリッツ 埼玉県川越市小中居945-1 TEL:049-235-4886

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