意味のなかった予告先発やめ

予告先発を拒否して置きながら、結局、何の捻りもない正攻法・・・奥川先発の印象は、それしかなかった。

方法はいくらでもあった。奥川や高橋ら、正統な本格派投手を活かすなら、カレらに全力投球の場を与えるコトと、最初に石川のような軟投派を見せるコトだ。もちろん、引っ張れるなら、引っ張れば良いのだし。

日本シリーズは、2番手にエースを起用したりもする。広岡⇒森西武は、短期決戦用に東尾を2番手起用した。ヤクルトも村中を使ったコトもあった。今回、ヤクルトで一番良い投手がカレなら、先発ではシリーズ2試合しか使えなくても、中継で使えば勝てる試合4試合に使えるのだ。

本来、奇策秘策は、戦力的に劣勢な側が使うのだ。高津監督は、せっかく使えるステージを設定したのに、結局、フツ~に正攻法をやってしまった。

 

 

 

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なぜ日本S初戦でオリックスの「しびれた」劇的逆転サヨナラが生まれたのか…ジョーンズの四球とヤクルトのミス
11/21(日) 7:27 Yahoo!ニュース
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オリックスが9回に2点差をひっくり返す劇的な逆転サヨナラ。勝負を決めたのは吉田正の一打だった(資料写真)
プロ野球日本シリーズの第1戦が20日、京セラドーム大阪で行われ、25年ぶりの頂点を狙うオリックスが9回裏に2点のビハインドからの逆転サヨナラ勝利でヤクルトに先勝した。オリックスは“5冠エース”の山本由伸(23)が6回1失点で、ヤクルトの先発、奥川恭伸(20)よりも先にマウンドを降りる最悪の展開となり、8回には村上宗隆(21)に勝ち越しの2ランを許した。だが、9回にヤクルトの“守護神”スコット・マクガフ(32)を攻め無死満塁から宗佑磨(25)の2点タイムリーで同点とし、続く吉田正尚(28)がセンターオーバーのサヨナラ打を放ち、シリーズでは71年ぶりとなる2点差の逆転サヨナラ劇を演じた。

「凄かったです」
 日本シリーズでは毎試合行われる勝利監督インタビュー。サヨナラのヒーロー、吉田がもみくちゃにされた歓喜の余韻が残るお立ち台に呼ばれた中嶋監督はまだ興奮が冷めやらない様子だった。
――凄い試合でした
「はい。凄かったです」
――今の気持ちは?
「いやあ。凄かったとしか…ないですね」
 指揮官は、そう2度繰り返した。
 幕が下りるまで何が起きるかわからない“オリックス劇場”である。
 両チームの間を行き来した勝負の流れは後半からは完全にヤクルトだった。ヤクルトは徹底した“ファウル作戦”で、絶対的エースの山本に112球もの球数を投げさせ、6回に2つの四球で作った一死一、二塁のチャンスに中村が先制のタイムリーをセンター前へ放ち奥川よりも先にマウンドから引きずり下ろした。奥川は6回まで無失点。7回に代打・モヤに、この試合唯一の失投とも言えるスライダーの抜け球をライトへ運ばれ同点とされるが、8回に若き4番の村上が、3番手のヒンギスのチェンジアップを捉えてバックスクリーンに驚愕の勝ち越し2ラン。1-3と2点のリードを奪い、最後のマウンドには、シーズン31セーブの“守護神”マクガフが送り出されていた。
 だが、オリックスベンチに誰一人あきらめている選手はいなかった。
 先頭の紅林がフルカウントまで粘りライト前ヒット。ここで中嶋監督は代打にジョーンズを送った。来日2年目の今季は、代打での打率が.429、出塁率は.568の切り札である。一発警戒のヤクルトバッテリーは外角低めの配球を徹底した。
 ジョーンズは、ボールワンからカット、スプリットに連続で空振り。簡単に追い込まれ、打てる気配はなかった。だが、ここからがメジャー通算1939安打、282本塁打を誇るメジャーリーガーの本領発揮である。執拗な誘い球に手を出さず、ストライクゾーンに来たボールはファウルにして、ついに四球を選び打線をつないだのである。
 試合後、中嶋監督が「あきらめることなく、ジョーンズもしっかりと四球を選んでくれた」と名前を出し絶賛した殊勲の四球だ。
 元阪神ダイエーソフトバンク)、ヤクルトでプレーした評論家の池田親興氏も、この四球をサヨナラ劇を生んだ要因としてピックアップした。

「最初の2球を空振りしたときに打てる感じはしなかったが、ジョーンズは、追い込まれるまでは長打を狙い、ツーストライク後はボールを見極め、逆方向を意識するように思考を切り替えていた。実は、今年彼が代打で、高打率と高出塁率を残しているのは、そのバッティングを徹底していたから。メジャーで実績を残している選手だけにマクガフが名前負けして、必要以上に警戒したという心理的な理由もあったかも」
 無死一、二塁となり、クライマックスシリーズのファイナルステージの第3戦において、意表を突く連続バスターでロッテにサヨナラ引き分けとした中嶋采配がチラついたが、福田には手堅くバントで送らせた。だが、ここで、もうひとつの追い風がオリックスに吹く。三塁側に転がった絶妙のバントを処理したマクガフは、三塁送球を選んだが、間一髪、間に合わなかったのだ。ギリギリのタイミングだったが、送球がそれて体を伸ばしてキャッチした村上のグラブからこぼれ落ちていた。
 池田氏は「マクガフのバント処理はワンテンポ遅れた。ギリギリのプレーではあったが、無理はせずひとつアウトを取っていれば、サヨナラの走者は出さずに済んだ。ファースト!と指示すべきだった。判断ミスだったと思う」と指摘した。
 記録は、犠打野選。無死満塁となって宗が思い切り叩きつけた打球は、ゴロでセンターへ抜けていく。起死回生。同点の2点タイムリーに京セラドーム大阪に駆け付けたファンは全員立ち上がり、宗は渾身のガッツポーズで応えた。
 「無死満塁は一人目が打たないと点が入らない」のプロ野球“あるある“を言い聞かせていたのだろうか。 
 宗はファーストストライクから臆することなくガンガン振りにいった。追い込まれでも当てにいくような“小さなバッティング”をすることはなかった。中嶋監督が植え付けてきた野球だろう。
 ドームの空気は一変した。なお無死一、二塁で打席に向かう選手会長は、「宗がこれまでにないくらい球場を盛り上げてくれたんで、その勢いでいかせてもらいました」と言う。
 153キロが掲示された初球の少し外寄りの高めに浮いたストレートを一閃。打球は、前進守備を敷いていたセンターの頭上を遥かに越えていった。
「しびれました」が第一声。そして「最後にラストチャンスをいただいたんで、その前にパワーがなかったんで、最後(打球が頭上を)抜けてくれて安心しました」と続けた。
 ヤクルトの20歳エース、奥川に完全に封じこまれた。「パワーがなかった」とは5回の打席のことだ。0-0で迎えた二死一、二塁で、ホームランを確信するような角度のいい打球をセンターへ打ち上げたが、最後に失速、ピタリとフェンスに張り付いた塩見のグラブに落下していた。3回にも一死二塁から、持ち味のフルスイングを仕掛けて、ボールを捉えたかに見えたが、打球はショートの正面をついていた。

 池田氏は、吉田のサヨナラ打の背景をこう分析した。
「微妙なズレが生じていた。奥川の特に外角球で優れていた正確なコントロールと、気持ちの入った球威が、狂わせたものだったが、怪我で実戦から離れていた吉田は、試合の中でタイミングを修正していき最後はマクガフの速球をジャストミートした。首位打者を獲得した吉田の技術だったと思う」
 前日の監督会議で高津監督はシリーズの予告先発を求めず、「奇策に出るか」とネットはざわついたが、蓋を開けると、山本vs奥川のエース対決だった。
 元千葉ロッテの評論家の里崎智也氏が、「この第1戦を制した方がシリーズを制する」と予想した重要な開幕戦をオリックスが制した。その意義と今後のシリーズ展望を池田氏もこう見ている。
「エースの山本が救われ、3三振に終わった4番の杉本が救われた意味の大きい勝利になったと思う。6回で降りた山本は、その球数が示すように調子はいいとは言えなかった。私は、ヤクルトのファウル作戦が功を奏したというより、山本の修正がうまくいかず、空振りを取れず、凡退させられなかったと見ていた。山本がシーズンで15連勝する前に、少し負けが続いた時期があったが、悪いときはフォークが横に流れる現象が起きる。山本はフォークの落ちる角度と場所まで操作するが、そこが若干ずれていて、ヤクルトは6回でマウンドから降ろすことに成功した。奥川と山本の1イニングの差が、その後に響き、村上の2ランにつながったと思うが、ヤクルトにとって最高のシナリオが最後に崩れた。オリックスは勢いに乗るしヤクルトはショックが大きい負け方。ただ塩見、青木、山田ら主要打者にヒットは出ている。どう切り替えるかが重要だと思う」
 16連勝中の山本が勝利投手になれない誤算を粘り強い一丸野球で帳消しにした意義は大きい。
 中嶋監督は、「ヤクルトは強い印象を受けました。それ以上の気迫で戦っていきたいなと思います。最後まで応援して下さい。何かを起こします」とファンに呼びかけ、頼れるチームリーダーの吉田は、こう言って笑いを誘った。
「チーム全体として最後まであきらめない戦いができていた。それが初戦にできたのは大きな勝ちだったと思う。僕もファンの方も興奮して眠れるかどうか心配ですが、しっかりと寝て明日頑張ります」
 今日21日の第2戦にオリックスはCSでは温存した13勝4敗の左腕エース、宮城を立てる可能性が濃厚。対するヤクルトも左腕の高橋奎で勝負する。
(文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)

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