Z32、ニッサンクルマ作りの過渡期

Z31は前期は2リッターと3リッターのV6、後期は2リッター直6と3リッターV6を積んでいた。それに対して、スカイラインはR32でも前期の通常型は2リッター直4と直6でGT-Rだけ専用車体、後期は通常型に2.5リッター直6が追加された。

Z32については3リッターV6のみになり、ニッサンにとっては、シーマ成功後初めてオールグレード3ナンバー車両として作れるクルマだった。V6と限った時点でフロントが相当短くでき、3ナンバー専用車両として車幅も拡げた。

R32GT-Rは、グループAというサーキット向車両だ。大抵のサーキットの直線は1キロちょいしかない。レース用のホモロゲ車両だった。スポーツカーではない。それに比べて、Z32はインターナショナルスポーツカーの位置付けで、それ以上の長さの直線でも対応する空力メリットもあった。

ル・マンやニュルでも、キチンとZ32を開発して使っていたら、GT-RをR32~R34までやるより、もっと成果を挙げられたろう。

クルマの向き不向きを、キチンと考えるアタマがなかった。

 

 

 

 

 

 

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平成を代表する名車「Z32」どこがすごかった? 揺るぎない実力と魅力 3選+α
12/20(月) 9:00 Yahoo!ニュース
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ベストカーWeb
 いよいよ、日本仕様の新型フェアレディZ発表が近づいてきた!!日産が「今冬の発表」としている、新型フェアレディZ。既に、米国仕様の新型「Z」は発表されており、2022年春から発売されることが明らかとなっているが、日本での発表はまだの状態。期待に胸を膨らませているZファンは多いことだろう。

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 新型Zといえば、歴代Zをオマージュしたスタイリングが話題となった。特に、4代目にして歴代Zのなかでも「名車」と名高い「Z32」を強く意識したリアスタイルは、ファンならずとも、当時を知るものにとっては、ワクワクさせられるものがある。

 新型フェアレディZ登場を目前に控えるいま、名車「Z32」の魅力を振り返り、フェアレディZというモデルについて、そして新型への期待をおさらいしておこう。

 文:立花義人
写真:NISSAN

魅力その1:美しいスタイリング
 
1992年にはオープン2シーターの「コンバーチブル」が追加された。Z32の美しいデザインを生かした贅沢なオープンカーである
 Z32の凄いところとして、やはりまっさきに取り上げたいのが、「計算しつくされたデザイン」だ。デザインを統括したのは前澤義雄氏、J30マキシマやP10プリメーラも担当した、日産の名デザイナーだ。ボディの面に深いエッジや複雑な造形を取り入れず、プレーンな印象さえあるが、むしろそれが「間」の美しさを感じさせていた。時代を考えるとド派手な格好に仕立てられてもおかしくないのだが、クールでスマートな要素を追求しているように感じられるのだ。

 特に注目すべきなのはリアの眺め。当時は大きなリアコンビネーションランプにガーニッシュ、というのが贅沢なクルマの定番デザインだったが、Z32は上下2段に分けた薄型のランプをブラックのガーニッシュで囲み、フラットな仕上げで左右一体感のあるデザインとしている。

 S30へのオマージュを込めつつ、インパクトはありながらもクセのない、高級GTカーの色気を感じさせる仕上がりだ。時代を超越した普遍的な魅力があるこのリアデザインを、新型Zがモチーフにしているのも頷ける。

 Z32以前のZといえば、ロングノーズ・ショートデッキで、ボディの一部を切り取ったようなヘッドライト周りの意匠が特徴的だった。しかしZ32では、キャビンフォワードのモダンなフォルムに、ヘッドライトは固定式へと変更。歴代Zの伝統を大切にしながらも、新時代の「美しさ」もある、それがZ32の魅力のひとつだった。

魅力その2:「ピュアスポーツカー」としてのオーラ
 
歴代Zの中でもひときわ強いオーラを放つZ32。ピュアスポーツカーとしての魅力全開である
 Z32が登場した1989年当時、スポーツカーといえば日本メーカーの得意分野であるコンパクトでやんちゃなホットハッチは人気だったし、ハイソカーブームでラグジュアリーなクーペモデルも人気だったが、フェアレディZのようなピュアスポーツカーはそれほど多くはなかった。

 同じ年にR32スカイラインGT-Rがデビューしているが、こちらは硬派なスポーツカーという立ち位置で、チューンしてレースに出て本領発揮というイメージが強く、Z32は唯一無二の伝統あるピュアスポーツカーとして、他車を寄せ付けない「オーラ」があった。

 ヨーロッパのGTカーのような美しいスタイリングとゆとりのパワーに加えて、Zという伝統、贅沢なクーペというステータスを総合的に楽しむモデルに仕上がっていた、Z32。「見た目」だけでは語れない「オーラ」もまた、Z32の魅力だった。

魅力その3:自主規制のきっかけにもなった、パワートレイン
 
280psのメーカー自主規制のきっかけとなった、VG30DETTエンジン。アメリカのIMSAシリーズレースで大活躍したパワーユニットである
 究極のスポーツカーを目指して開発されたZ32には、Z31にも搭載された3.0L V6DOHCエンジンに加え、新開発の3.0L V6DOHCツインターボエンジン「VG30DETT」を搭載した「300ZX ツインターボ」がラインアップされた。

 この「300ZX ツインターボ」は、国産車初の最高出力280psというスペックでファンを驚かせたが、これをきっかけに、当時の運輸省(現在の国土交通省)が、ハイパワー競争に待ったをかけるよう働きかけ、しばらくの間エンジンの最高出力は280psで自主規制が実施されるようになった。Z32を伝説にした要素のひとつだ。

 また、前後マルチリンクサスペンションに加えて用意された、電子制御4WSの「SUPER HICAS」は、Z32のスポーツカーとしての魅力に磨きをかけていた。

 これだけのスペックを持つモデルながら、Z32は国内レースには登場しなかったが、アメリカの人気レース「IMSAシリーズ」では、Z32のレーシングマシンが活躍。700ps以上にチューニングされたVG30DETTを搭載し、シリーズ最強のマシンにも成長している。このことも、Z32の名声を高めた要因となっている。

 時代をリードするパワフルなエンジンと、それを受け止める最先端のドライブトレイン。玄人好みのピーキーなチューンではなく、走りの基本性能にきちんとコストをかけているからこそ、プロのドライバーでなくても安全にハイパワーなクルマを運転する楽しさが味わえる。そんなところも、Z32の魅力だった。

新型Zには「この時代ならではのスポーツカーの価値観」を期待!!
 新型Zは、デザインにおいて、「レトロモダンなテーマとフューチャリズムを組み合わせる」という新しい挑戦を行っているという。歴代Zの世界観を反映しつつ、未来的なカラーリングやシルエットでそれが表現されている。

 このカテゴリー自体が絶滅危惧となっているなか、新型ZはV6ツインターボとMTが搭載されて登場する。電動化の波が大きく押し寄せる現代にあって、これだけでも大きな挑戦だといえるが、単なるヘリテージモデルとして登場するのではなく、「やっぱりスポーツカーがないとクルマは楽しくない!!」と思わせるような、この時代でこそ生きてくる新しい価値観を提供してくれることを期待している。

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