「巨人の星」、「侍ジャイアンツ」、そして「男どアホウ甲子園」

梶原一騎原作の「巨人の星」「侍ジャイアンツ」、前者は川崎のぼる、後者は井上コオの画に依る。どちらも、ライバル達含めた"野球バカ達"の競演だった。「巨人の星」では、金田正一による命名でハッキリと"大リーグボール"という名前を使った。「侍ジャイアンツ」では分身魔球以外に投げたタマ自体は特別ではなかったが、"魔球"という言葉を使った。どちらも、高校生だった主人公、小さなカラダを鍛え抜いていた。星飛雄馬は1年夏の甲子園決勝で敗れ、退学して巨人にテスト生入団した。番場蛮は、八幡の推薦で川上やスカウトが見に行き、獲得した。花形や眉月など、ライバル達の努力も素晴らしかった。

巨人の星」は完全試合達成後に行方不明、「新巨人の星」では蜃気楼を打たれ、失踪。「侍ジャイアンツ」では、分身魔球の投げ過ぎでマウンド立ち往生と、梶原一騎はハッピーエンドを描かなかった。テレビでは「新巨人の星Ⅱ」で日本シリーズ終戦、星が右で大リーグボール1~3号、蜃気楼を投げ、完全試合達成して第1期長嶋監督での日本一を描き、アメリカに野球留学で終わる。「侍ジャイアンツ」アニメでは日米決戦最終戦、分身魔球を打たれた番場に最後の登板、エビ投げハイジャンプも大回転もあわやホームランのファール。最後は、大回転しながら、エビ投げハイジャンプの分身魔球で三振を獲った。

梶原一騎の描く野球マンガは、日本人初の魔球変化球にあったと思うが、後の世代には違った影響を与えた。

水島新司「男どアホウ甲子園」である。剛球一直線、藤村甲子園!難波高で甲子園を制覇し、捕手岩風のため、東大に合格。1年夏の神宮を制した。ソコでじっちゃんが東大に退学届、阪神がドラ1指名する。岩風も阪神にテスト入団、剛球変化球の小野田信長も入団した。巨人V10を止めるべく、阪神開幕投手は背番号111、藤村甲子園だったが、2順目に掴まり2軍落ち。辻斬投手を名乗り、近鉄土井や阪急長池らを打ち取った。巨人王を狙ったが、正体は中日風見天神丸、小野田信長とも打たれ、ウエスタンで借りを返す。バック打法で打たれたが、燃えるボールでお返しした。そして、巨人との最終戦長嶋茂雄との最終勝負、岩風のサインはカーブ、藤村は力を倍加させたストレートで長嶋を打ち取り、シーズン10勝を達成した。

岩風はその年で阪神を退団、藤村は2年目20勝、3年目30勝挙げた4年目の開幕で、肩の腱が切れ引退したコトになっている。「ドカベンドリームトーナメント」では、和田阪神の先発として、山田を三振に打ち取っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

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巨人の星』の主人公の名前が「飛雄馬」になった「深すぎる理由」
7/30(土) 7:02 Yahoo!ニュース
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1966年から連載がスタートし、日本中でブームを巻き起こした名作『巨人の星』。野球漫画、スポ根漫画の代表作として、今でも多くのファンに愛されている。そんな『巨人の星』の知られざる誕生秘話を、新刊『「週刊少年マガジン」はどのようにマンガの歴史を築き上げてきたのか? 1959─2009』から抜粋して紹介する。
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ついに放たれた豪速球『巨人の星
 
読売ジャイアンツ9連覇の立役者の一人である長嶋茂雄(右)[Photo by gettyimages]
 いくらマンガに疎くても、昭和生まれで『巨人の星』というタイトルを聞いたことがない人はいないだろう。

 読売ジャイアンツがV9(日本シリーズ9連覇)を達成した昭和40年代に連載され、この作品から“スポ根”(スポーツ根性もの)という言葉が生まれた。江口寿史をはじめ、後に多くのマンガ家にパロディの餌食にされたのも、「誰もが知っている名作」だからに他ならない。

 1965(昭和40)年の夏、「8マン事件」と「W3事件」で創刊以来の危機を迎えた「少年マガジン」第3代編集長に、30歳になったばかりの内田勝が抜擢された。この若さは当時としても異例で、社内最年少の編集長だったという。同時にマンガ班チーフに任命された宮原照夫もまだ20代の青年だった。

 8月に恒例の新年度方針会議が開かれる。編集長に就任したばかりの内田とともに宮原も参加し、新年度(66年)に連載予定のマンガを発表した。それを聞いて野間省一社長が口を開いた。

 「このプロ野球全盛時代に、野球マンガがないのはどうしてか?」

 内田と宮原が言葉に詰まっていると、椎橋久局長が「社長のおっしゃるように野球マンガは絶対不可欠。現在、すごい野球マンガを企画準備中です」と慌ててフォローした。

 会議終了後、椎橋局長は宮原を捕まえるとこう言った。

 「“すごい野球マンガ”はお前が作れ。これは局長命令だ!」

 文学青年の宮原が以前から考えていたのは、「文学と肩を並べるマンガ」だ。マンガは絵本に毛が生えた程度の「子どもの読み物」と見られていた時代。『ちかいの魔球』で引き上げた年齢層もせいぜい高校生までで、まだ「マガジン」を読む大学生や社会人などいなかった。

 出版業界でもマンガ編集者は一段低く見られており、その反発もあったようだ。この機会に、吉川英治の『宮本武蔵』のようなひとりの男の人生を描いた重厚な物語を作りたいと考えたという。

 「人間を描ける原作者ということで、以前からマガジンでやっていた梶原(一騎)さんに目をつけました」と宮原は話す。

 梶原は「マガジン」史上初めて実写ドラマ化されたプロレスマンガ『チャンピオン太』(画・吉田竜夫)以来、『ハリス無段』(画・吉田竜夫)、『魔犬ムサシ号』(画・石川球太)、『姿なき英雄』(画・荘司としお)など、「マガジン」で原作者として活躍していた。

 内田編集長とともに、練馬区大泉学園の建売住宅に住んでいた梶原を初めて訪ねたのは10月に入った頃だった。

星飛雄馬」の名前の由来
 当初、梶原は決して乗り気ではなかったらしい。

 180センチを超える巨体や素人離れした風貌に似合わず、梶原は宮原にも負けない文学青年という一面も持っている。それまで「マガジン」の仕事はしていたが、内心はあくまで小説家志望であり、マンガ原作など「食うための日銭稼ぎ」でしかない。

 その梶原も三十路を目前にし、いよいよ本格的に小説に取り組もうと考えていた。いつまでもマンガの筋書き作りなんてやってられるかよ――という気持ちが強かったようだ。

 渋っていた梶原の心を動かしたのは、「マガジンの佐藤紅緑になってください」という内田編集長の言葉だった。佐藤紅緑とは、梶原や内田の少年時代に活躍した大衆小説家。「少年倶楽部」に発表した『ああ玉杯に花うけて』などの“熱血”少年小説でも人気を博した。

 その気になった梶原は、「巨人軍に入団したサウスポーの天才投手が、数々の魔球を投げて活躍し、最後は破滅する」という『ちかいの魔球』のプロットをベースに、『宮本武蔵』と『ジャン・クリストフ』(ロマン・ロラン)を合わせた主人公を生み出した。

 「主人公が武蔵だと、ちょっと荒々しいと梶原さんは言いました。そういう要素は持っているんだけど、表面はもう少し穏やかにして、次々と襲ってくる苦難を乗り越えていくジャン・クリストフのような人物にしたいと。それから1ヵ月くらいで、キャラクターやストーリーの大筋を作ってきたんです。『青春群像劇にしたい』というのは僕の意見ですが、具体的な人物像はすべて梶原さんが考えたものです」(宮原)

 「飛雄馬」という印象的な名前は、「ヒューマン」と「(坂本)龍馬」から梶原が命名したもの。マンガで「人間を描きたい」という梶原や宮原の熱い志が感じられる。ちなみに内田編集長は少年読者に読みにくいことを心配して「明」という代案を出し、この名前は飛雄馬の姉(明子)に使われることになった。

 宮原は「巨人軍での活躍を経て、最後は大リーグ(メジャーリーグ)に行くのはどうか」という構想を話したが、「リアリティがないよ」と梶原に却下されたという。60年代当時は日米の野球レベルに大きな差があり、今のように日本人選手がメジャーリーグで活躍するなど少年マンガでさえ無理があると思われていたのだ。

 「飛雄馬が投げる魔球が『大リーグボール』というのはその名残なんです」と宮原。なお『ちかいの魔球』のときと違って、3種類出てくる大リーグボールの「変化」と「原理」はすべて梶原が考えたものだ。

 梶原が最初に挙げたタイトルは『巨人軍の星』だったが、「野球よりも人間ドラマを描いてほしい」という宮原の意見で「軍」が取られ、より文学的な『巨人の星』になった。

 連載を始めるに当たって、ひとつ厄介な問題があった。当時、集英社読売ジャイアンツを雑誌に載せる独占使用権を持っていたのだ。そのままでは飛雄馬に巨人軍のユニフォームを着せられないし、川上監督や長嶋選手など実在の人物を登場させることもできない。

 内田編集長は正面から巨人の球団事務所を訪ね、必死に協力を依頼する。その説得が実り、広報責任者の坂本幸夫はその場で全面的な協力を約束してくれた。集英社に契約の破棄を申し入れ、「マガジン」には使用料も請求しなかったという。

続いて内田編集長と宮原は作画を担当する漫画家を探し始める。「アンチ手塚治虫」という方針のもと、白羽の矢が立ったのは川崎のぼるだった…。【後編】『『巨人の星梶原一騎が「大リーグボール2号」を思いついた「意外なきっかけ」』では引き続き、その知られざる誕生秘話を明かしていこう。
伊藤 和弘(フリーライター

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