エンツオ末期のフェラーリ・テスタロッサ

昔のフェラーリは、基本はレーシングカーを売るコト、市販車としてもレースに使える⇒レースに勝てるクルマを売るコトで、F1を始めとする次のレーシングカーの開発や、ユーザーがフェラーリのレースを連想しやすい市販車の開発をした。

F1ドライバー、N・ラウダをフェラーリ308GTBの開発にアドバイザー参加させたり、312TらのイメージでフェラーリBBに水平対向12気筒(180度V12とも)を搭載した。

資金的には潤沢でなく、フィアットの援助を受けるようになったし、フェラーリディノ246GTの2.4リッターV6をフィアットディノにも共有させられたり、もっと売りやすい市販車へのアプローチを迫られたりした。

そんな中、エンツオ末期のフェラーリとして、BBの後継車としてピニンファリーナが産み出したのがテスタロッサだ。よりレーシングカー的なサイドラジエーター、ミドシップのエンジンに冷却気や円滑な吸気を可能にする、フロントに比してリヤの大きな張り出しとサイドスリットも特徴的だった。

その後の、F40や348辺りで亡くなった。

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現代モデルでは得難い運転の喜び フェラーリテスタロッサへ試乗 父の愛車 後編
8/10(水) 8:26 Yahoo!ニュース
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現代モデルでは味わえない運転する喜び
 
フェラーリテスタロッサ1984~1991年/英国仕様)
フェラーリテスタロッサの5.0L V型12気筒エンジンのマナーの良さには、今でも関心させられる。特に、音が静かなことには驚くだろう。

【写真】フェラーリテスタロッサ 同時代のランボルギーニカウンタックディアブロも (125枚)

この時代のフェラーリのサスペンションは、路面のうねりや凹凸を滑らかにいなしてくれる。想像以上にしなやかな乗り心地で、少し混乱してしまうほど。

速さは、現代基準ではもはや驚くものではない。低速域ではキビキビと加速するものの、最高出力が得られる6800rpmまで回したとしても、ポルシェ・ボクスターのトップグレードに離されてしまうだろう。

速度が高まるほど速く感じる、当時のフェラーリらしい体験は変わらず。130km/hを超える頃には、何かの縛りから開放されるように、流暢さが増していく。

フェラーリらしく、清々しく速い。広く開放的な道のためのスーパーカーだ。適切なルートで、クラシカルなオープンゲートのシフトレバーを動かし、3速と4速を往復させる。現代のモデルでは味わえない、運転する喜びを発見できる。

ニュルブルクリンクのラップタイムや、0-200km/hの加速時間、最高速度など、数字で示される尺度とは別の世界。ステアリングホイールへ伝わるダイレクトな路面の感触や、出色の多気筒エンジンのリアルなサウンドを堪能できる。

ラクションをコントロールするのは、ドライバーの右足のみ。グリップ限界は把握しやすく、クルマを操っているという実感が濃い。人工的な味付けの体験とは異なる。

時間を重ねた素晴らしいフェラーリ
 
フェラーリテスタロッサ1984~1991年/英国仕様)
1988年のAUTOCARの紙面で、筆者の上司は次のようにテスタロッサをまとめている。「圧倒的な動力性能に完璧といえるロードマナー、運転席からの優れた視認性を備えています」

「9万ポンドという価値に見合った、本物の質感を備えたクルマ。ボディがワイドすぎるという批判は、ナンセンスでしょう」

その当時は、父のテスタロッサをもっと褒めて欲しいとも感じた。だが、改めて試乗してみると充分な表現に思える。史上最高のスーパーカーでもないし、歴代でトップ10入りするフェラーリでもないだろう。それでも、良いクルマだ。

優れたモデルの多くは、月日とともに熟成され良い味わいを増していく。反対に優れないクルマは、どんどん悪くなっていく。時間を重ねたテスタロッサは、素晴らしいフェラーリだと感じることができた。

クラシックカーとなった今では、シリアスに能力を評価する必要はない。スタイリングやサウンドスーパーカーとしての個性を楽しむべき存在だといえる。一般道でのリラックスした振る舞いを享受したいと思える。

当初の期待通り、フェラーリテスタロッサとの再会で素晴らしい1日になった。恐らく筆者がこれに乗る機会は、もう2度とやって来ないだろう。そう考えると、心に刻むべき1日でもあったようだ。

番外編:父が購入したテスタロッサ
 
フェラーリテスタロッサ1984~1991年/英国仕様)
筆者の父にとっては、一生に一度の大決断だった。彼が最初の退職祝いとして購入したのが、フェラーリテスタロッサイングランド北部の新規事業の株も購入し、テスタロッサで月に1度、その場所へ向かうことを考えていたようだ。

父はイタリア北部のマラネロでクルマを受け取り、自ら運転して英国へ上陸させた。途中、やむなく一度の昼食を挟んで。

しっかりエンジンの慣らしを終えると、テスタロッサは260km/h近い速度まで難なく到達するようになったらしい。回り道をしながら英国へ帰ってくる頃には、走行距離は1600kmを超えていた。

しばらくして、先述のAUTOCARでの比較試乗に登場した。父は計画通り仕事の移動手段としてテスタロッサに乗っていたものの、交通量の多い英国の高速道路では期待ほど運転が楽しいとは感じなかったらしい。

当時の英国の経済状況では、フェラーリは短時間に価値を高め資産になった。フェラーリ・ディーラーのグレイポール社からの申し出で、父はクルマを売却したのだった。それ以来、2度と同じクルマに出会うことはないだろうと考えていた。

※この記事のオリジナルは、2015年11月29日に公開されたものです。

フェラーリテスタロッサ1984~1991年/英国仕様)のスペック
英国価格:6万2666ポンド(新車時)
販売台数:7177台
全長:4500mm
全幅:1980mm
全高:1130mm
最高速度:292km/h
0-97km/h加速:4.7秒
燃費:5.3km/L
CO2排出量:-
車両重量:1506kg
パワートレイン:水平対向12気筒4943cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:390ps/6800rpm
最大トルク:49.8kg-m/4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル
アンドリュー・フランケル(執筆) 中嶋健治(翻訳)

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