トヨタレクサスLFA、クルマ作りの遊び

クルマ作りに於いて、マストな部分と遊びになる部分がある。トヨタレクサスLFAに於いて、マストな部分とはFRとしてフロントミドシップ、リヤトランスアクスルレイアウトとしても、50:50ややフロントヘビーに仕上げるコトだ。

遊びになってしまった部分とは、リヤにラジエーターを移すなどして、48:52にしてしまったコトだろう。本来、冷却のためのラジエーターの理想的な場所は、強い気流をキレイに受けられるフロントだ。他の場所では、キレイな気流を受けて排出するコトが難しい。

ホンダHSV010でも、初年度前端に置いたラジエーターを翌年前輪後方左右に分割配置して、トラブル激増した。

レクサスLFAは市販車のため、ニュルですらトラブルが出なかったが、ホンダHSVはレースカーのため、トラブルが顕著に出た。

フェラーリテスタロッサ以降のミドシップで、サイドラジエーターやっていたのを諦めたように、市販車としてあるべきレイアウトはレーシングカーとは異なる。まして、後端部ではおかしかった。

 

 

 

 

 

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高回転域の、更に先の超高回転域に陶酔の時間が待っている! ニッポンのスポーツカーの至宝、レクサスLFAとLFAニュルブルクリンク・パッケージに今あらためて試乗 絶頂の叫びに頭が真っ白になった!!  
12/17(土) 21:10 Yahoo!ニュース
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一気に吹け上がるV10! だがレッドゾーンはまだまだ先にある!!
 
レクサスLFAとLFAニュルブルクリンク・パッケージ
2009年、レクサスが威信をかけて放ったスーパー・スポーツカー、LFA!そのスパルタン仕様であるニュルブルクリンク・パッケージ。両方足しても世界に550台しかない日本の至宝にもう一度乗ってみた。モータージャーナリストの島下泰久がリポートする。

【写真23枚】頭が真っ白になるほどの衝撃 奇跡のスポーツカー、レクサスLFAの詳細画像を見る!

◆あらためて味わう自然吸気V型10気筒

近代の日本のスポーツカーを語る時、絶対に外してはいけない存在がレクサスLFAだ。2009年の東京モーターショーで発表され、世界限定500台が販売されたこのスーパー・スポーツカーは、その希少性だけでなく、レクサス自身が今も“秘伝のタレ”だと言う走りの味で日本のスポーツカー史に残る1台である。

とは言え、10年以上も前のクルマであるLFAを今回敢えて取り上げたのは、私が責任編集長を務めた先月号の日本車特集の中で、その名前が出てきたのがきっかけ。もう一度味わってみたいと話していたところ、レクサス広報部から走行可能な車両があるという話をいただき、有り難く機会を設けた次第だ。

今回、連れ立って出かけたのはLFA、そしてLFA ニュルブルクリンク・パッケージの2台である。まずはこれらの概要について、軽くおさらいしておこう。

LFAはレクサスのFモデルの頂点として、車体もパワートレインもすべてゼロから開発された。ボディはCFRPを構造部材に積極活用。そしてエンジンは最高許容回転数9000rpm、最高出力560psを誇る排気量4.8リッターのV型10気筒自然吸気ユニットで、シングル・クラッチ2ペダルの6段ASGをトランスアクスル・レイアウトで組み合わせる。世間的にはDCTが主流となりつつあったが、あくまで変速スピードを重視したということで、変速所要時間はわずか0.2秒と謳われていた。

ニュルブルクリンク・パッケージは、その名の通りドイツ・ニュルブルクリンク旧コースに焦点を合わせた仕様で、CFRP製フロント・スポイラーや固定式リア・ウィングを採用し、タイヤ&ホイールやサスペンションを専用とする。エンジンも最高出力が571psに高められていた。こうして記録したラップタイムは7分14秒64。2011年8月の時点での世界最速を樹立した。

撮影予定日の関東地方の天気予報は生憎の雨。2台のLFAは連なり、雨雲から逃げるように北西を目指す。

改めて眺めた外観は、今見ると思ったよりコンパクト。しかし存在感はやはり凄まじい。驚かされるのがノーズの低さで、その下にV10ユニットが入っているとは思えないほどだ。実際、フードを開けてみるとエンジンは思わず目を見開いてしまうほど小さく、且つキャビンにめり込むように搭載されている。

サイドビューも凝縮感があり美しい。全長4505mmというのが信じられないプロポーションだ。そして特徴的なのがリア。テールランプ下側左右の大きなグリルは、その奥にラジエーターが置かれている。

2台の違いは空力パーツ。ニュルブルクリンク・パッケージにはCFRP製フロントリップとカナード、そしてリアの固定式ウィングが備わる。実はLFAにも羽根が隠されていて、80km/hで大きくせり上がる。

囲まれ感の強いコクピットは仕立ても最上級。手に馴染む形状のステアリングホイール、ぴたっと決まるペダル配置など、すべてがドライビングにフォーカスされた空間である。内張りやシートはLFAのレザー表皮に対してニュルブルクリンク・パッケージはバックスキン張りで、贅沢だしレーシー。気持ちが昂ぶる。

走りの印象を大きく支配するのは、やはりエンジンだ。空吹かしでも吹け上がりは鮮烈。レスポンスはきわめて鋭いが軽々しさはなく、恐ろしく精緻で目の詰まった感覚と言える。

ギアを入れるとカチッ、コトンという動作音と軽いショックを伴い、1速へ。いよいよ走り出す。6速100km/hでおよそ2500rpmと低いギアリングのおかげで、室内には常に澄み切ったエンジン音、左右バンク等長のエキゾースト・マニホールドが奏でる荘厳な音色が響き渡る。同乗者はどうか分からないが、ドライバーはまさに夢心地である。

堪らず更に踏み込むと、デジタルレブカウンターが一気の勢いで跳ね上がる。思わず息を飲むが、よく見ればレッドゾーンはまだ先にある。何しろレブリミットは9000rpm! 高回転域の、更に先の超高回転域に陶酔の時間が待っている。

サウンドは回転上昇に伴って極上の和音を積み重ねていき、同時にパワーが更に炸裂。トップエンドでの悲鳴にも似た絶頂の叫びには頭が真っ白になってしまった。

基準車とニュルブルクリンク・パッケージの差は、公道では正直言って分からず。どちらも思わず手を合わせて拝みたくなる素晴らしいエンジンであることに変わりはない。

6段ASGはAUTOモードだとやはり変速時にショックが出るが、飛ばせばそれも気にならなくなる。そういうクルマなのである。

フットワークにも改めて唸らされた。やはり剛性感が半端ないのだが、それでいてきわめて軽やかなのはCFRP製ならではと言える。特に唸らされたのはニュルブルクリンク・パッケージ。締め上げられたサスペンション、溝の少ないタイヤにも関わらず、その走りの一分の隙も無い高い精度感には圧倒されてしまった。

◆神経が繋がる

限界云々という領域は試せなかったが、軽さと強靭さのおかげでクルマの動きは極めてタイト。自分の神経とクルマが直接繋がっているかのようだ。FRでもノーズの重さは感じられず、まさに思った瞬間にクルマがそっちを向いている。実際、前後重量配分は48:52で、トラクションも十分確保されていた。

雨から離れるのを言い訳に、随分走ってしまった。一度乗り込んだら最後、ずっと走っていたくなるのがLFAというクルマである。味わいは深く濃く、けれど清明。なるほど今のレクサス車を思うと、秘伝のタレという意味、分かる気がした。

願わくばレクサスには、この秘伝のタレを改めて抽出した新世代の1台の開発を期待したい。あるいは、グッドウッドでお披露目されたBEV、Lexus Electrified Sportが、それになるのだろうか。ならば日本のスポーツカーはこの先も、それこそBEVになっても大丈夫かもしれない。究極の1台との久々の邂逅を終え、ついそんな風に思いを馳せたのだ。

文=島下泰久 写真=茂呂幸正

(ENGINE2022年12月号)
ENGINE編集部

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