山本昌、藤浪の本質を見てない?

山本昌広阪神の臨時コーチも引き受け、藤浪晋太郎の状況改善に着手した時期もあった。山本昌広は、プロ入り当時左サイドハンドだった。ソレをアメリカ留学でオーバースローにチェンジし、スクリューボールをマスターして帰国、星野中日のセ・リーグ初制覇に貢献した。オーバースローと言っても、ややスリークオーター気味、高めに伸びるストレートが行くタイプではなかった。

藤浪晋太郎、元々長身と160キロ出るストレートでオーバースローの本格派だと見られガチだが、本来はスリークオーターのオールラウンドピッチャーだ。軸はストレートとスライダーというか、ストレートがコースにより動く、メジャー的な投手なのだ。大谷翔平ダルビッシュ有より、背も高く細く遥かに長い手足から、速く長いステップと長い手のシナリを利して強くスピンがかかるリリースをする。大谷翔平ダルビッシュ有のような、ピッチングマシン的強い射出ではない。

3年目終了後、ダルビッシュ有田中将大大谷翔平らと、体重大増量をやろうとした。4人の中で、藤浪はあまり体重増えなかった。だが、MLBにいた3人はピッチングフォームをショートアーム的に変えたのに対し、藤浪はそのままのフォームで投げようとした。だから、バランスを崩した。端的にはカラダのZ軸捻り戻しのタイミングが遅れると、スリークオータースローの横振り成分が強くなり、右打者アタマ方向に抜けるのだ。本来、体重を元に戻したり、タイミングが合う状態まで投げ込めば問題は解決デキるハズだった。

しかし、阪神指導者達も、右打者アタマ方向に抜ける原理は理解デキても、じゃあどうするか、全く指導デキなかった。だから、あの不自然なまでのタテ振りフォーム、去勢フォームに変えさせられた。

山本昌広の理解も、カラダのタテ振り意識でスプリット(本来はフォーク)と言っているのだろう。だが、ソレは本来のカレのフォームを理解してはいない。あくまで、オーバースローではなく、スリークオータースローからファーストボールを動かす、MLBスタイルそのものの方がカレに合っているのだ。

練習怠惰なMLBでは、先発のノースロー含み中4日でカラダの使い方を合わせるのは困難だ。むしろ、中継や抑えで毎日投げていれば、カラダのタイミングが合う日が増えて行くのだ。

覚醒ではない。

元々、大阪桐蔭の頃からも、タイミングのおかしい日や時はあった。タイミングの良い日悪い日、どちらが多いかなのだ。

 

***********************************

藤浪晋太郎は中継ぎ転向で覚醒したと言えるのか 山本昌が指摘した悪いクセとスプリットの比率
8/10(木) 6:45 Yahoo!ニュース
  95
  
現地時間8月6日のメッツ戦で自己最速の165キロをマークした藤浪晋太郎
今季からメジャーリーグのアスレチックスでプレーしていた藤浪晋太郎が、シーズン途中にオリオールズに移籍し、力強いピッチングを見せている。現地時間8月6日のメッツ戦では自己最速となる165キロをマークし、2者連続3球三振。メジャー移籍当初は先発として思うようにいかなかったものの、中継ぎに転向してから別人のような投球を見せるようになり、今ではリリーフに不可欠な存在となっている。いったい藤浪にどんな変化があったのか。阪神時代の2019、20年に臨時コーチとして指導した山本昌氏に聞いた。

【貴重画像】大阪桐蔭時代の藤浪晋太郎ほか、甲子園を彩ったスター選手たち

 

【スライダーは危険なボール】

 メジャー移籍当初はストライクをとるのに苦労している印象を受けましたが、4月後半にリリーフへ配置転向されて以降、藤浪投手のよさが出ているように感じます。ストレートとスプリットが中心のピッチングになってから、投球フォームのブレが少なくなりました。

 藤浪投手はもともと大阪桐蔭高から2012年ドラフト1位で阪神に入団し、3年連続で2ケタ勝利を挙げた投手です。トータルとして、いいものを持っていることは間違いありません。もしそうでなければ、高卒の投手がいきなりそれだけたくさん勝つことはできませんから。

 しかし、以降は投球フォームのバランスを崩し、思うように勝てなくなりました。その大きな原因は、持ち球のひとつであるスライダーにあったと僕は考えています。

 先発投手は長いイニングを投げる必要があり、変化球も一定以上の割合で織り交ぜていくのが一般的です。投球にバリエーションを持たせないと、バッターは試合のなかで慣れてきて、どんなに速いボールでも対応されてしまうからです。

 藤浪投手の場合、変化球でとくに多く投げていたのがスライダーでした。このスライダーという球種は、ピッチャーにとってストライクをとりやすいという意味で"ラク"なボールです。

 でも、藤浪投手はスライダーを多く投げることにより、投球フォームを崩すクセを持っていました。ヒジを少し下げたり、手首を寝かすとスライダーの曲がり幅は大きくなるのですが、それがストレートやスプリットなどほかの球種に悪影響を与えていたのです。

だから僕は阪神で臨時コーチを務めた時、「手首を立てていこう」という話を藤浪投手にしました。スライダーを多く投げることにより、手首が少し遠回りするクセがついていたからです。そこを直せば、以前のような能力を発揮して勝ち星を重ねていけるはずだと考えました。

【リリーフ転向後に好調なワケ】

 今季、アスレチックスでリリーフに回って以降、藤浪投手のよさが発揮されている理由もそこにあると思います。代理人のスコット・ボラスさんが「スプリットを通じてリリースポイントを習得したことが大きい」と話したと報道されましたが、僕も同様の見立てです。

 先発ではスライダーも含めて多くの球種を投げていましたが、リリーフに回り、ストレートとスプリットの比率を高めました。それにより、手首が立つようになってきた。ストレート、スプリットは手首を縦に使うボールだからです。そうして力が伝わり、藤浪投手らしい、強いボールを投げられるようになったと僕は見ています。

 そうした裏には、本人が追い込まれたこともあるかもしれません。メジャーに移籍した当初はそれくらい本調子から遠く、本人も相当の危機感を抱いたはずです。そこから「自分の生きる道はストレートだ」と腹をくくった。そうした部分もプラスに出ているような気がします。

 今の藤浪投手は圧倒的なピッチングを見せることもあれば、思うようにいかない日もあります。現地時間8月2日のブルージェイズ戦では1対1で迎えた6回二死一、二塁で登板し、コントロールが定まらずにピンチを広げ、2者連続の押し出し死球を与えてしまいました。周囲には「制球難がまた顔を出した」と言われるでしょうが、調子が悪い日は誰にでもあります。何らかの原因で以前の悪いクセが顔を出し、押し出し死球という結果になったのでしょう。

 でも、おそらく本人は修正するポイントをつかんでいるはずです。今後もうまくいかない試合もあるかもしれませんが、その都度、修正しながらやっていくと思います。

今後は優勝争いを繰り広げるオリオールズで重要な役割を担っていくはずです。今の彼には、100%の出力で短いイニングを投げることが合っていると思います。

 ただし、将来的には先発をやりたいと本人は思っているかもしれません。そのためには、投球にバリエーションを持たせて長いイニングを投げることが求められ、スライダーを一定以上使う必要も出てくるでしょう。そのリスクは先述しましたが、リリーフで身につけた今の自分の形を踏まえたうえで、スライダーをいかに有効に投げていくことができるか。調整力を高めていけば、これだけ支配的なピッチングを見せている藤浪投手ですから、スライダーもうまく操って先発でも仕事を果たせるようになるのではと期待しています。

 そのためにもまずは今季、リリーフとして藤浪投手本来のピッチングを続けてほしい。大きな可能性を秘めた投手ですから、どんどん活躍してほしいと願っています。
中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 記事に関する報告

***********************************