ポルシェ996型911、水冷化911の始まり!

ポルシェ996型911、あくまで水冷化911の始まりでしかない。DOHC化された、3.4リッター水平対向6気筒は300馬力だった。リッター100馬力行かないNAは、それほど驚くべき数値でもないが、993型カレラRSよりパワーあったハズ。最初の水平911としては、ハイレベルに手堅く纏めたクルマだ。何より、964や993より遥かに寝かされたフロントスクリーンのおかげで、最高速度はノーマルカレラで290キロ、ターボでは300キロを突破したハズ。

後は、997での直噴化でNAでのリッター100馬力突破、992からのカレラ3リッターターボ化と、強化されている。チューナーRUFは、997車体に4.5リッターV8搭載したRGT8を提示している。

だが、今のポルシェ、親会社VWアウディーは今の車両構成、性能構成をどう考えるか?

今の911カレラ系、3リッターターボはトルク的にGT3すら上回る。大抵のステージでは、カレラの方がGT3より速く走れる。また、ケイマン/ボクスター911用フラット6を積ませたモデル、911の一部グレードより速く走れる。

また、RRのGT3やGT2がある中、レギュレーションに合わせたミドシップRSRがリリースされている。いっそ、ミドシップ911を市販するべきではないのか?スピードスターは2座だ。あのデキのアマい幌用に後席+2スペースを使うより、ミドシップ化するべきでは?そうすれば、ユーザーはミドシップRSRもRRGT3も選ぶコトがデキるようになるハズ。

 

 

 

 

 

 

 

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いま改めて知る「水冷911の真実」 996型911とはどんなポルシェだったのか? 【911誕生60周年記念『エンジン』蔵出しシリーズ#2】
9/6(水) 21:10 Yahoo!ニュース
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陸送ドライバーを引き受けた日本のジャーナリストたちが体験した996の世界とは?
 

911誕生60周年を記念して『エンジン』の過去のアーカイブから"蔵出し"記事を厳選してお送りするシリーズ。今回はスチール・ボディを捨てアルミとスチールのハイブリッド・ボディへと劇的進化を遂げた991型のデビューに合わせて企画した2012年2月号のポルシェ特集「最新は最良か、ポルシェ911!」のなかから、ポルシェづかいと言ったらこの人、自動車評論家の吉田匠氏が空冷から水冷に変わった996型911の国際試乗会での体験を回想した貴重なリポート「水冷911の真実」をお届けする。

【写真12枚】996型ポルシェ911の前期型、後期型、そして997型へ 水冷へとスイッチしたポルシェを写真でチェック!

◆ポルシェづかいのモータージャーナリスト、吉田匠が解説する「水冷911の真実」

水冷フラット・シックスを搭載したポルシェ911が登場したのは1997年。1963年のデビュー以来、34年ぶりにフルモデルチェンジを受けた伝統的スポーツカーは、空冷エンジンという神話を自ら捨て去った。まったく新しいシャシーとエンジンはポルシェ911に何を与えたのか? 911を愛してやまないジャーナリスト、吉田 匠が自らの体験を通して、水冷ポルシェ911の真実を解説する。

忘れもしない1997年初秋の南仏サントロペ。空冷モデルよりふた回りほど大きく感じられるボディのリアに水冷3.4リッターフラット6を収めたまったく新しい911、タイプ996のコクピットに収まった僕は、ポルシェの本拠地であるドイツ南部のシュトゥットガルト目指して、いざスロットルを踏み込んだ。

あの頃は、ポルシェの日本における輸入代理権がミツワ自動車からポルシェ・ジャパンに移る狭間にあって、僕らにとって興味津々のニューモデルたる996が登場したにもかかわらず、日本のジャーナリストがその国際プレス試乗会に参加する手立てがないという状況にあった。そこで僕らは本社の広報スタッフに手紙を送って直談判し、なんとかプレス試乗会参加を実現したのだった。

そうしたらポルシェ本社広報から、夢のようなオファーが届いた。日本人グループは996試乗会の最終組だから、試乗車をサントロペからシュトゥットガルトまで返す役割、つまり陸送ドライバーをやってくれないか、というのである。

他の国のジャーナリストはサントロペの周辺を走るだけだが、僕らはフランス、イタリア、スイスを通過してアルプスを越え、ドイツまでグランドツーリングできる。

僕らがそれを快諾したのはいうまでもなく、その結果、合計1300kmに及ぶテスト・ドライブを経験して実感したのは、996が素晴らしい911だという事実だった。

911のイメージからすると大柄なボディと、空冷時代の古典的な硬質感が失われたインテリアに接して、いささか半信半疑な気分になっていた僕ら日本からのジャーナリストと雑誌編集者だったが、サントロペのホテルを出てオートルートに向かうまでのワインディングを走った時点で、ステアリングを握った誰もが高揚した気分になっていた。

見た目のイメージに反して、996にはポルシェのドライビング・ファンが確実に備わっていたからだ。

◆高速道路での感動

もちろんワインディングロードは愉しかったが、996の実力という意味で最高に感心させられた舞台は、高速道路だった。今よりずっと空いていた当時のアウトストラーダアウトバーンの高速車線を、僕らの駆る996は時に200km/hオーバーでクルージングしたが、そのときの安心感に満ちた直進性の高さは空冷モデルとは比較にならないレベルにあった。試乗した996はすべて後輪駆動のカレラだったが、高速では964や993のカレラ4より真っ直ぐ走ることに感激したのを、今でもはっきりと覚えている。

911の歴史のなかで初めてディメンションから新設計されたシャシーとボディが、空冷911では解消できなかった問題を一挙に解決した、という印象を受けたのだった。

本原稿は基本的にスタンダード系モデルに関するものだが、1999年に出現した初代GT3の試乗会ことを、996の優れた直進性を示す一例として書かせてもらおう。

ミュンヘン郊外を舞台にしたその試乗会では、アウトバーンの速度無制限区間を走るチャンスがあった。そこで僕の駆る996GT3のメーターは、前車に追いついてスロットルを緩める直前に295km/hに届いたが、そのスピードに至ってもGT3は僕に不安を感じさせず真っ直ぐに突き進んでいた。もちろんGT3用空力的付加物の効果は無視できないが、基本的には996ボディそのものが効いていたのだと思う。

つまり996は、空冷911が構造的に抱えていた高速での直進性不足という問題を見事に解決したクルマであり、ジャーナリスト的立場から見ると「最新は最良」の典型のようなニューモデルなのだった。

◆涙目は似合っていた

996はその後、新生ポルシェ・ジャパンによって日本での発売が開始されたが、この国では最後の空冷モデルである993が持てはやされて、996の人気はしばらくの間まったく盛り上がらなかった。通称「涙目」のヘッドライトが、先にデビューしたボクスターと同じ形状だったことなども、その一因だとされた。

少数派の意見であることを承知で書けば、996ボディには涙目のライトが一番似合っていると、僕は思っている。そこにはオリジナルデザインの端正さがあったからだ。

996は2001年、後期型に変わる。外観ではヘッドライトがターボと同形状になり、機構的にはエンジンが3.6リッターに拡大強化されたのが最大のポイントだった。増強代は20psと2kgmだったが、可変バルブ・タイミング&リフト機構の“バリオカム・プラス”の効果もあって体感する加速はずっと強力になり、ボディ剛性の強化などによってハンドリングと乗り心地も向上していた。

◆最初から成功の997

そういった996での経験を踏まえて2004年に送り出された997は、前作と違って最初から成功の道を歩むクルマに思えた。

996より肉感的になったボディは魅力に溢れていたし、インテリアからもプラスチックな印象が払拭されて、高級感が漂っていた。走る分野に関しても、動力性能、ハンドリング、乗り心地に至るまで、すべて996を凌いでいた。それに加えて、標準系モデルを3.6リッターのカレラと3.8リッターのカレラSの2本立てにしたのも、購買層に厚みを生むことになった。そう、またしても「最新は最良」だったのである。

ただし、カレラSに電子制御ダンパーのPASMが装着される一方で、それのないカレラやカレラ4の標準サスペンションや、それを固めたスポーツ・サスペンションが、997本来の脚の硬さを露呈していたが。

997は2008年、後期型にモデルチェンジする。それは、直噴を採用した新エンジンとデュアルクラッチを備える2ペダルMT、PDKを引っ提げて登場したもので、ダイナミックな性能を再び引き上げると同時に燃費の点でも明確な進化を見せた、新世代の997だった。

スポーツ・サスペンションにもPASMが備わって、シャープなハンドリングと快適な乗り心地を両立させるなど、後期型は動力性能や燃費だけでなく、ハンドリングや乗り心地の面でも確実に進化していた。

というふうに、その時点では911の完成型と思われた997後期型に僕らが感激している頃、アウグスト・アハライトナーさん率いるカレラ開発チームはすでに991を誕生させつつあったのだから、ポルシェの「最新」は本当にキリがない。

文=吉田 匠

(ENGINE2012年2月号)
ENGINE編集部
 
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