ピッザリーニ5300GT

J・ピッザリーニ、フェラーリを追われて、フルッチオに請われランボルギーニのエンジン開発に携わった。カレ自身はランボルギーニに雇われるコトなく、J・P・ダラーラを紹介した。

このピッザリーニ5300GTは、それらの活動の中で作られたル・マンレーサーとしてリリースされたクルマだ。

クルマ自体は、カレがフェラーリ時代に手掛けた250GTOに似ている。もっと言うと、ランボルギーニイオタの取っ散らかった感じにも見える。

この頃のエンジニアが考えるレーシングカーについてのアイディアは、似たようなモノなのネ!

 

 

 

 

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1965年のル・マン・レーサーを復刻 ビッザリーニ5300 GT リバイバルへ試乗 限定24台
2022/04/22 12:26 AUTOCAR JAPAN1

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フェラーリランボルギーニの設計に関与

本日ご紹介するのは、1965年に名を刻んだル・マン・レーサーの復刻版。ビッザリーニというブランド名の権利を保有する人たちによって、ほぼオリジナルへ忠実に再現されている。歴史と血統を、正当に受け継いだクルマといえるだろう。

【画像】往年のル・マン・レーサーを復刻 ビッザリーニ5300 GT 現代技術で蘇る名車たち 全110枚

予定されている生産数は24台。オプションなどを含めない状態で、英国価格は165万ポンド(約2億6400万円)とのこと。試乗することができたのは、そのプロトタイプとなる第1号車だ。

クルマに詳しいAUTOCARの読者でも、ビッザリーニという自動車会社には聞き覚えがないかもしれない。過去を遡って調べてみても、得られる情報は限られている。

歴史のどこかの歯車が違っていれば、フェラーリランボルギーニと並ぶ、イタリアン・エキゾチックになっていた可能性もある。この復刻された5300 GTを知るには、少々その起源を振り返っておいた方が良いだろう。

創業者のジオット・ビッツァリーニ氏は、スポーツカーの世界では外すことができないであろう、重要な人物だった。フェラーリ250 SWBを開発したチーフエンジニアであり、250 GTOの設計を主導した経験を持っていた。

V型12気筒エンジンの技術者として、ランボルギーニにも深く関わった。1963年の350 GTVから2010年のムルシエラゴまで、彼の手掛けたユニットが動力源になっていた。

1965年のル・マンでクラス優勝

1960年代半ば、彼はイタリアの自動車メーカー、イソ社を創業したレンツォ・リボルタ氏と協働で、ゴージャスなグランドツアラーのグリフォA3/Lを設計。レーシング・スポーツカーのA3/Cへと発展させた。

このグリフォA3/Cは、1965年のル・マン24時間レースに参戦。クラス優勝を果たすという、大成功を納めた。

参戦時点では、マシンはイソというブランド名を背負っていた。しかし、程なく2人の関係には亀裂が入り、ビッザリーニは独自にブランドを立ち上げ、5300 GTというモデルへ発展させている。

試乗したビッザリーニ5300 GT リバイバルは、グリフォA3/Cとしてル・マンを戦ったマシンに限りなく近づけてある。製造を担当したのは、英国の技術者集団、RML社だ。公道走行が可能なように型式認証も済ませており、ブランド名も復活することになった。

見事に再現されたル・マン・レーサーへ近づいてみる。その素晴らしさに、なぜ多くの人から忘れられてしまったのか疑問が湧いてくる。

赤く塗られた低いボディのフロント部分、シャシーの中央寄りに5.3Lのシボレー社製V型8気筒エンジンが搭載されている。エンジンルームの前側には、もう1基エンジンが載りそうな空間がある。

1965年当時も、400ps以上の最高出力が得られていた。サスペンションは四輪ともに独立懸架式。フェラーリGTOやシェルビー・デイトナコブラより、優れた足まわりだったといっていい。

911 GT3と同等のパワーウエイトレシオ

パワフルで軽量で、重心位置は低い。ボディは滑らかで、いかにも空気をスムーズに流しそうだ。世界中の関心を集めてもおかしくないパッケージングといえた。フェラーリやフォードと同じくらいの事業予算があれば。

ビッザリーニは多くのクルマのデザインを手掛けていたにも関わらず、自身のクルマを成功裏に終わらせることはできなかった。1969年、事業は停止してしまった。

そうだとしても、ビッザリーニ5300 GTはイタリアン・デザインとアメリカン・メカニズムとが融合した、素晴らしいマリアージュにある。大排気量のV8エンジンを搭載していながら、車重は1200kgを切っている。

パワーウエイトレシオは、最新のポルシェ911 GT3に引けを取らない。つまり、非常に速い。

オリジナルへの忠実さにも抜かりはない。公式にFIAのヒストリック・レースのレギュレーションをクリアするために必要なことは、ボディをカーボンファイバー製からグラスファイバー製へ置き換えることくらいだ。技術力の高いRML社なら、可能だろう。

着座位置は低い。背もたれの倒れたシートは、シャシー中央よりだいぶ後ろ側。主要なメーターは、ダッシュボードの助手席側に並んでいる。

シボレー社製のエンジンは、1965年と同じように、4基のウェーバー・キャブレターで息を吸う。いかにもなアメリカンサウンドが、イタリアンな美しいボディを包み込む。ジャニス・ジョプリンがパフォーマンスしているようだ。

最新技術が活かされた製造品質

アクセルペダルを倒すと、猛烈に加速を始める。挙動の予想は若干難しい。ボルグワーナー社製の4速MTは、まだプロトタイプだからか少しぎこちない。しかし、シャシーは見事に機能している。

この時代のパワフルなFRモデルは、盛大にリアタイヤが滑ることが珍しくない。それはそれで楽しいのだが、ビッザリーニ5300 GTはそこまでだらしなくはない。

コーナーへ侵入していくと、アンダーステアが抑え込まれていることに気付く。シャシーの反応はニュートラル。出口に向かって右足へ力を込めると、息を呑むほど強力なトラクションで応えてくれる。

パワフルなエンジンと、最新技術が活かされた素晴らしい製造品質とが折り重なり、ドライバーの欲求を刺激してくる。現代のレーシングカーを数多く手掛けてきたRML社だからこそ、といえる仕上がりだと思う。

現代に蘇ったビッザリーニ社の担当者は、5300 GTはこれから登場するであろうモデルの、1例に過ぎないと話していた。どんなクルマが復活するのか、楽しみでならない。

1960年代の、最も優れたロードカーでありレーシングカーの1台を忠実になぞった、ビッザリーニ5300 GT リバイバル。ブランドのリスタートは、完璧に切られたといえそうだ。

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