GT3、いつまで水平対向6気筒?いつまでRR?

ポルシェ992GT3、4リッターの水平対向6気筒NAで9千回転回り、500馬力以上を発揮する。

通常、レブ特性とトルク特性を鑑みた、1気筒当たりの理想の排気量は500cc、ソレより小さいと回転系、ソレより大きいとトルク系に振るエンジンになる。つまり、理想の排気量は4気筒なら2リッター、6気筒なら3リッター、8気筒なら4リッター、10気筒は5リッター、12気筒は6リッター。

今のクルマ、トヨタは5リッターV型8気筒やっている。ターボならば、BMWはM5以上に4.4リッターV型8気筒ターボ、メルセデスフェラーリマクラーレンは4リッター近いV型8気筒ターボ、ポルシェ911ターボやGT2は4リッター近い水平対向6気筒ターボ、BMWはM3・M4に3リッター直列6気筒ターボ、マセラティーは3リッターV型6気筒ターボだ。

しかし、ポルシェ992GT3のエンジンは1気筒当たり667cc、ターボならいざ知らず、NAでこのシリンダーをレブ特性に仕上げられるのは、素材と組み上げ精度の良さが窺える。まして、馬力もリッター当たり125馬力以上なのだ。

しかし、996から水冷化した水平対向6気筒を、ドコまで引っ張る?ルーフは997時点で「水平対向6気筒の限界点に達した。」と、独自のV8に換装したRGT8を出した。実のところ、ポルシェ側からエンジンやパーツ供給に関する締め付けがあったと言われる。本来、カイエン時点でV8も持っているし、パナメーラにも搭載している。V8に換装する手はないのか?水平対向6気筒引っ張りは、嘗て930の時に5速MTをやられたルーフへの仕返しなのか?

今や、911カレラには3リッターターボ、GT3には馬力で劣ってもトルクは勝る。しかも、レースレギュレーションによっては、ミドシップのカレラRSRすら出走している。GT3をRRにしておく意味も稀薄になって来ている。せめて、2座のスピードスターをミドシップにする手はないのか?

 

 

 

 

 

 

 

***********************************

「精密に組まれた機械が9000rpmまで回る! 吸い込まれそうで恐くなる」 ポルシェ911GT3の4リッター・フラット6は、未来に残したい世界遺産だ! 
11/23(木) 17:10 Yahoo!ニュース
  10
  
カニカルなものから生み出されるから、そこに驚きや発見がある!
 
4リッター自然吸気フラット6を搭載するポルシェ911GT3。
右を向いても左を向いてもEV、EVの大合唱が聞こえてくる昨今の自動車業界だが、オセロ・ゲームのようにそうは簡単に世の中はひっくり返らない。電気自動車が本流になる時代が来ても、変わらないものもある。内燃エンジンの魅力。振動と音を伴い、徐々に回転を上げながら途方もない力を生み出す精密な機械。そのひとつひとつに味と個性があり、私たちクルマ好きを虜にしてきた。いま、クルマの未来を考えるとき、EVと同じように改めて内燃エンジンの魅力を語るべきだと思い、未来に残したい内燃機関を搭載する、独、米、伊、英、4ブランドのマルチシリンダー・エンジン搭載モデルに乗り、モータージャーナリストの大谷達也氏とエンジン編集部の村上、荒井、上田、村山の5名でその魅力を語りあった。今回はその第一弾として、水平対向6気筒の自然吸気エンジンを搭載するポルシェ911GT3を取り上げる。

【写真19枚】未来に残したい世界遺産エンジン取材、ポルシェ911GT3の写真を見る!

◆エンジン世界遺産登録委員会

村上 今回の記事は、「世界遺産として未来に残したいエンジン」がテーマです。

大谷 どういうプロセスで、この4台が選ばれたんですか?

村上 なにもルールがないと、膨大な数のエンジン車のなかから世界遺産を選ぶのは難しいので、まずは6気筒、8気筒、10気筒、12気筒とジャンルを分け、そのなかで珠玉のエンジンを積んだモデルを1台ずつ選びました。結果として、6気筒はポルシェ911GT3、8気筒はシボレー・コルベット3LT、10気筒はランボルギーニ・ウラカン・テクニカ、12気筒はロールス・ロイス・ファントム・シリーズIIとなりましたが、いずれも編集部内では、全員の意見がほぼ一致しました。

大谷 なるほど。ファントム以外はいずれも自然吸気ですが、いまやNAエンジンを探すだけでも一苦労ですね。

上田 できれば日本車も入れたかったというのが正直な気持ちです。

村上 V8だったらレクサスIS500などに積まれている5リッターがありますが、やはりV8といえばアメリカ、シボレーのスモールブロックということになりました。

上田 4気筒だったらホンダのV-TECも入れたかったけれど、マルチシリンダーじゃないからなあ。

村上 本当は12気筒も自然吸気でいきたかった。そうなると、いまはモデルライフの端境期ということもあって、フェラーリ・プロサングエしか現実的な選択肢がないけれど、まだ日本上陸にはいたっていない。でも、4台とも素晴らしいエンジンを積んでいるだけでなく、クルマとしての完成度も高く、自信を持って「クルマの世界遺産」に推したくなるモデルばかりだと思う。

大谷 メーカーの国籍がドイツ、アメリカ、イタリア、イギリスと分かれているし、エンジンだってボクサー6からV12ツインターボまでバラエティ豊か。そしてスポーツカー主体のように見えて、意外とキャラクターはバラバラだったりして、面白いチョイスですね。せっかくなので、当委員会に名前をつけませんか?

荒井 “エンジン世界遺産登録委員会”でいきましょう。委員長はムラカミ編集長です!

◆GT3の精緻感

村上 1台目はポルシェ911GT3です。ここのところ毎月のようにGT3に乗っているんだけど、毎回乗るたびに「スゲーッ!」と思っていて、今月もまた「スゲーッ!」と思った。

荒井 なにが「スゲーッ!」?

村上 やっぱり、精密に組まれた機械が9000rpmまで回るという、この精緻な感じはほかにないよ。

大谷 私、別に電気自動車(BEV)のことは全然、嫌いじゃありませんが、BEVで1000psとか2000psとかいわれても、あんまり胸が高鳴らない。やっぱりクルマのパワーって、メカニカルなものから生み出されるから、そこに驚きや発見があるような気がしています。

村上 いきなり最大トルクを発生する電気モーターと違って、内燃エンジンは回転の高まりとともに、どんどん音や感触が変化して盛り上がっていく。GT3の場合も、7000rpmを超えてトップエンドに近づくと、ちょっと恐くなってくる。なんか、吸い込まれちゃいそうで。

上田 GT3のエンジンって、音色とか恐怖感のように人間が感じる刺激の高まり方が直線的じゃなくて二次曲線的なんです。だから、われわれには予測が難しくて、そこがある種の恐怖感と結びついているような気がします。

村上 そう、GT3のエンジンの回り方を「直線的な高まり方」と表現する人がいるけれど、僕はまるでそうは思っていない。だって、回転が上がる途中でカムが切り替わったり、いろいろ変化しているわけでしょ? だったら、細かく見ていけば、絶対にリニアじゃないんです。そうやってキャラクターをどんどん変化させながら音や刺激を高めていく。おかげで余計に濃いテイストだと感じるんだと思う。

大谷 ウエダさんがいった恐怖感の続きでいえば、絶対に壊れるはずはないんだけれど、「えー、機械がこんなに回ったら壊れちゃうよ」という思いも、ここでいう恐怖感を生み出しているんじゃないかな。

荒井 いや、僕は正反対で、全然壊れるとは思わない。たしかに、これだけ超高回転まで回ると、ドライバーとしては異次元に飛んでいっちゃう感覚になる。でも、その異次元に入っても「バーンッ!」って爆発しちゃうわけじゃなく、正確に回り続けるところが、本当にポルシェはすごいと思う。ポルシェがボクサー6を作り始めてから、今年で何年?

村上 901型の911からだから、今年でちょうど60年。僕は普段996型のカレラ4Sに乗っていて、日ごろから「やっぱりいいエンジンだなあ」と感心しているわけだけれど、GT3に乗ると「スゲーッ!」と感じて、996とは全然違うと思っちゃうんですよ。でもね、それでも、また996に乗ると、「あ、やっぱり根っこは同じかも知れないなあ」と感慨を新たにします。

911の歴史的な宿命とは?

大谷 私は、911の歴史的な宿命をすごく感じますね。

上田 というと?

大谷 いまのGT3って9000rpmも回って最高出力が510psも出て、現代のスーパーカーとしてジャストミートのパフォーマンスじゃないですか。過剰でもないし、足りないとも思わない。でも、それを、この内燃エンジンが終わろうとしている時代に送り出しているってことが、本当にすごい。フェリー・ポルシェたちがオリジナルの911を作ったとき、そこまで見越していたとは思えませんが、まるでここまでの道筋がすべてわかっていたんじゃないかと思うくらい、完璧なストーリー展開です。その意味で911には歴史的な宿命を感じるし、まさにいまのGT3はその最高到達点に立っていると思います。

村山 その最高到達点に、23歳の僕がいきなり乗っちゃったわけですが、エンジンをかけた瞬間は少し重そうにドロドロドロと回っていたものが、回転の高まりにあわせてどんどん鋭くなって、研ぎ澄まされていく。その豹変振りが、本当にすごいなあと思いました。今日、このクルマに乗れて、本当に幸せでした。

村上 よし、やっぱりこれはエンジン世界遺産に認定!

一同 結論が唐突!(爆笑)

村上 これを認定しなくて、なにを認定するんですか! なにしろ最高到達点なんだから。僕はかつて996のGT3が頂点だと思っていたけれど、モデルチェンジするたびに、その頂点を上回ってくる。992のマイナーチェンジ版が間もなく登場するようだけど、ここでも新たな到達点に達することを祈念して、911GT3のフラット6をエンジン世界遺産に認定したいと思います。

◆次は、OHVのV8エンジンを搭載するシボレー・コルベット3LTを取り上げる。続きは「エンジン世界遺産その2」で!

語る人=大谷達也(まとめも)+村上 政+荒井寿彦+上田純一郎+村山雄哉(村上以下はENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

■ポルシェ911GT3
駆動方式 リア縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4573×1900×1279mm
ホイールベース 2457mm
車両重量 1450kg
エンジン 直噴水平対向6気筒DOHC
排気量 3996cc
最高出力 510ps/8400rpm
最大トルク 470Nm/6100rpm
変速機 7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前/後 255/35ZR20 315/30ZR21
車両本体価格 2628万円

(ENGINE2023年12月号)
ENGINE編集部

 記事に関する報告

***********************************