SUVの低車高化、危険の兆候!

SUV、本来はオフロードや雨雪路に於ける走破性を第1とし、日本で言えば、中部日本以北を念頭にしたクルマだ。エンジンやブレーキらのコンポーネンツはセダンやクーペらと同一。悪路でも適切なトラクションを得るべく4WD化、初期トラクションのため重めな車重と高めな車高とホイールベース/トレッド拡大拡幅が図られる。

元々、田舎や山暮らしの生活のためが、ソレを街中に持ち込むヒトが増えた。有名人では、レンジローバーを東京で使い始めた明石家さんまら、田舎や山を走るワケでなく、広いパーソナルスペースを渋滞混雑の中で使う発想だ。

ソレが、どうせ田舎や山を走らないなら、頑強な造りは必要なく、フツ~のクルマ的にモノコック的な造りに変わった。キムタクCMで出たRAV4からだ。以後、本家レンジローバーすらモノコック化されている。モノコック化されたコトで、昔ほど頑強ではないが、軽くなった。

街中を走るコト、キレイな道を走るコトが増え、より速く走ろうという輩が増え、自動車メーカーもその需要に合わせて、高速指向の低床低全高に作られるクルマも出て来た。

広いスペースを持ちながら、悪路でも走破でき、オンロードでも高速でも走れる。ある意味、ヒトの業、ヒトの欲だろうか?

 

 

 

 

 

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「背の低いSUV」なぜ増える? “らしさ”薄れていくSUV 狙いは何なのか
7/17(日) 14:12 Yahoo!ニュース
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全高1700mm台→1600mm台→「それ以下」が増加中
 
新型クラウン。4つの車型のうち、セダンとSUVを掛け合わせた“クロスオーバー”が最初に発売される(画像:トヨタ)。
 SUVの人気は留まるところを知らないようです。あのトヨタ「クラウン」ですら、新型はSUVを中心とした4つの車型で発表されました。

 最近のSUVは、昔とちょっと変わってきたような気がします。どこが変わったかと言えば「高さ」です。それは新型クラウンのスタイリングにも如実に表れています。

【背低っ!!】全高1500mm切ったSUVほか 画像で見る

 もともとSUVは、舗装路ではなく、土の道、つまりオフロードを走るクルマをルーツとしています。デコボコの道を走破するためには、クルマの床面を高くする必要があり、その結果、全高も高くなっていました。そのためSUV=「背が高い」、というのが常識でしたが、最近になって「背の低いSUV」が増えてきているのです。

 たとえば、土の似合うSUVの代表格である「ランドクルーザー」は全高が1925mmもあります。「ランドクルーザー」は、車格自体が大きいので、全高の高さはとびきりです。また、三菱自動車の「アウトランダーPHEV」は1740~1745mm、スバルの「フォレスター」は1715~1730mm。これら“オフローダー”のイメージのあるSUVは、すべてが1700mmを超えています。

 一方、売れ筋SUVのひとつ、トヨタRAV4」の全高は1685mm。ホンダの「CR-V」で1680mm、マツダの「CX-5」で1690mm、コンパクトなトヨタの「ライズ」でも1620mm。こちらはオフローダーよりも低めですが、それでも1600mmはオーバーします。セダンの全高は多くが1400mm台であることを考えれば、1600mmを超えるSUVは十分に「背の高い」クルマと呼べます。

 ところが、近年になって1600mmを下回るSUVが数多く登場するようになりました。

再熱? 背を低くする合戦
 
ランドクルーザー。全高1950mm(画像:トヨタ)。
 その「背の低いSUV」のパターンのひとつが、小さなSUVです。トヨタの「ヤリスクロス」が1590mm、マツダの「CX-3」が1550mm、ホンダの「ヴェエル」は1580~1590mm。これらはすべて全高が1600mmを下回ります。特に「ヴェゼル」は先代が1605mmであったところ、現行モデルになって車高を下げてきました。これらのモデルは全て、コンパクトハッチバック車と同じプラットフォームを使っている点も特徴です。

 パターン2となるのが、コンパクトSUVと同じように、乗用車のプラットフォームを使い、より背を低めたSUVたちです。プリウスと同じプラットフォームを使う「C-HR」は1550mm、レクサス「UX」は1540mm、「インプレッサ」の兄弟車となる「XV」は1550mm、「マツダ3」の派生となる「CX-30」は1540mm。これらのSUVは、他のモデルよりも明らかに背が低くなっています。輸入車に目をやれば、1580mmのルノー「アルカナ」も、同様に背の低いSUVとなります。

 これらの「背の低いSUV」は、どのモデルもオフロードではなく、街中を主なフィールドとしていることが特徴です。オフロード車とオンロード車、両方の要素を持つことを意味する「クロスオーバー」と呼んだ方が、ふさわしいかもしれません。

流行から生まれた「街乗りSUV
 冒頭で述べたようにSUVはオフローダーから普及し、「=背の高いクルマ」というイメージが定着しました。しかし、SUVが流行ってくると、オフロードを走らない人もSUVを買い求めるようになります。「荷物が積める」「流行っているから」「格好良いから」が主目的になるのです。その先駆となったのが、1990年代に登場したトヨタの初代「RAV4」や、「ハリアー」でしょう。

 そうした街乗りSUVが増えるほどに、オフローダーSUVの伝統から乖離したモデルが生まれてきます。ライバルが多くなれば、差別化が必要になるからです。さらに、古式ゆかしく(車台とボディが分離した)ラダーフレームを使うのではなく、乗用車と同じモノコックのプラットフォームを使ってSUVを作れば、背を低くするのも非常に簡単です。

偏りすぎじゃないの? 消えていった車種たち
 
スバルのレヴォーグは数少なくなった国産ステーションワゴンのひとつ(柘植優介撮影)。
 このように、SUVの流行で多用化が進んだ結果、その裾野が拡大して、背の低いSUVが生まれたわけです。そのぶん、他のスタイルのクルマが減っていきます。

SUV拡大のとばっちりを受けたのが、セダン、そしてステーションワゴンではないでしょうか。セダンとステーションワゴンは、販売数が減っただけでなく、モデル数も激減しています。

 個人的な思いを述べれば、街中で使うのであれば、SUVよりもセダンやステーションワゴンの方が実用的ではないでしょうか。街乗りには走破性が求められないので、床下を高める必要もありませんし、セダンやステーションワゴンの方が軽くなり、走る/曲がる/止まる、その全ての性能が向上します。もちろん燃費もよくなりますし、タイヤの消耗も減って経済的です。そういう意味で、今こそ、セダンやステーションワゴンを再評価すべきではないでしょうか。

 もちろん、流行が消費を促進して、その結果、経済が活性化するという側面があります。SUVがブームになることで、クルマの文化が熟成されたとも言えます。効率と流行、どちらも重要ですが、今はSUVに偏りすぎのように見えて仕方ありません。新型クラウンもSUVとして発表されたいま、ここいらでSUV人気を最高潮として、そろそろセダンに戻ってきてほしいと思うばかりです。
鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)

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