果たして、それがジャーナリズムか?

思想や報道は自由だ。自分なりの取材や資料を元に、考えるコトを論じれば良い。賛成されるコトもあれば、反論されるコトも当然あるのだ。

ポカリCMについて、このヒトのような意見もあろうとは思う。ワタシ個人は、「ソコまでこだわって見なくても、いいじゃん!」って思う。

考えの違う人に1人で立ち向かうより、仲間を作って?それは、ジャーナリズムや主張として違わないか?単に、自分の言うコトを気持ち良く受け入れて欲しいのか?

50対50より、1対99の方が燃えるけど?

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みんなが絶賛するポカリCM、友だち失う覚悟で批判した塩谷舞さんの思い
4/21(水) 8:42 Yahoo!ニュース
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取材に応じる塩谷舞さん=東京、関根和弘撮影
世の中の話題を呼ぶ記事を次々と発信し、「バズライター」と呼ばれたこともある文筆家の塩谷舞さん。今年2月に出版した初の著書「ここじゃない世界に行きたかった」(文藝春秋)では、「バズる」記事を書くことをやめたことや、2017年からアメリカで暮らす中で気づいたことをつづっています。コロナ禍で外出の自粛が続く中、心の中を見つめ、「自分を取り戻していった」という塩谷さん。バズをやめて見えてきたものとは何か。(澤木香織)

【写真】「バズる」の行き着く先はトランプ現象と同じ、と語る塩谷舞さん

――「バズライター」と呼ばれるほど、話題になる記事を書き続けてこられました。著書の中でそうした仕事に「つかれた」と書いていました。どんな気持ちだったのでしょうか。

2015年に独立し、フリーライターとして記事を書いてきました。SNSを通して記事が広がり、「自分の放った一本の矢で、こんなにも世の中を動かせるのか」という感動もありました。「普段言いたくても言えないことを代弁してくれた」という反響もありました。

同時に、これまで誰も踏み込んでいなかったところまで一歩踏み込んだものが、よりシェアされやすい傾向もあります。

記事がたくさんシェアされることを追いかけ続けると、どんどんと極論につながっていきます。

アメリカで暮らしてそれを明らかに感じたのが、2020年の大統領選挙でした。保守対リベラルというわかりやすい二項対立の中で、それぞれが極論に進んでいった。

本当は細かい違いが世の中にはあるのに、「この#(ハッシュタグ)をつけている人は、こういう考え方の人」と見なされ、さらに対立が深まっていく。

バズが前提にある世界での「行き着く先がこれか」と思うと、怖くなりました。自分がアルゴリズムやトレンドの「操り人形」のように感じ、自責の念が止まらなくなり、心がついていけなくなりました。

――ニューヨーク滞在中、新型コロナウイルスの感染が拡大しました。これも考えを変えるきっかけになりましたか。

世の中全体が「大量生産、大量消費」という価値観から転換しつつありますよね。

これまで企業にとっては「前年比アップ」を目指すことが大前提となっていたけれど、この1年はどんなに頑張っても無理だとある種、あきらめることも多くなった。

「どんどんモノを売ろう」ではなく、「一度立ち止まろう」と変わっていきましたよね。
私もこれまでは「前に進んでいく」「数字をとって、売り上げを増やしていく」というのが正解だと思って生きてきたけれど、必要なのは自分自身の軸となる考え方だと気づきました。

バズる記事を書いていたときのように、世の中を俯瞰(ふかん)して見て記事を書くのではなく、もう一回自分の視点まで「カメラ」を取り戻して、世の中を見てみようと思ったんです。

自分の視点で文章をつづってみたら、面白い世界に潜れるんじゃないかなと思いました。みんなにシェアされる「極論」ではなく、1人の人間として、自分を取り戻すような感覚で、記事を書いていきたいなと思い始めたんです。

――「バズ」の世界から一人ひとりに記事を届けるという大きな変化ですね。バズらせることとは違った苦労もありましたか。

以前は記事に対し、賛否両論がありましたが、いまは私のことをよく知ってくれている理解者の方が多いように思います。けれどもそこに、怖さを感じることもあります。居心地は良いけれど、理解してくれている人、近しい人たちに見守ってもらうだけで良いのだろうか、と。

例えるならばオンラインサロンなど、いまネット上にある個々のコミュニティーは小さな惑星のようなもので、その中でのルールや常識はそれぞれの星によって異なります。

自分のいる星を飛び出したときにまったく会話がかみ合わない、大切に思っていることが伝わらないという閉じたコミュニティーの怖さは感じています。

――その課題に対して何か起こしているアクションはありますか。

今回本を出したことで、これまでネット上で出会ってきた方々より少し上の世代の方々に出会えたことは大きかったです。

著書でも書いたように、私がSNSを通じて友達を作ることや環境問題に高い危機感を持っていることに、「いまの若い世代はこういう考え方を持っているんだ」とびっくりする方もいたそうですが、「世代の異なる友達を作れた」という感覚を持ってくれた方もいたようです。

「母の日にプレゼントしようと思います」「中学生の子どもにも読んでもらいます」といった声も日々届いていて。私が世代を語れるだなんて思っていませんが、世代を超えた対話のきっかけになっていることは素直にうれしいです。

――著書では環境問題への意識の芽生えも書いています。なぜ関心を持ったのですか。

2019年にアイルランドに短期留学したことがひとつのきっかけです。それまでは環境問題に目を向けたことはありませんでした。現地で仲良くなったファッションデザイナーの女性が環境に配慮した生活をしていたことに影響されました。

例えば、アイルランドの硬水が飲めなかったので私がペットボトルを買って持ち歩いていたら、彼女は「この国のリサイクル率はあまり高くなくて……」と会話の自然な流れの中で警鐘を鳴らしてくれたんです。彼女はもともと大学院で生物学を専攻していて、科学的な知識も深かった。そういう信念を持っている人と出会えたことが大きかったです。

また、ニューヨークでも影響力のあるインフルエンサーが環境問題に取り組んでいる姿を見て、衝撃を受けました。ニューヨークはごみの多い街ですが、そんな中でも環境への意識を高く持つことがひとつのステータスになりつつあります。

流行しているから良い、というわけではないけれど、イメージが持つ力はやっぱり大きいです。私の過去を思い返すと、母が環境問題に関心があったので、子どもの頃はリンスの代わりにお酢を使っていたり、漂白剤を使わずに石鹸で洗濯して体操着がどんどん黄ばんでいったり、少しクラスメイトの中で浮いていたんですよね。そうしたライフスタイルを周囲にからかわれて、「エコなんて嫌い!」と思っていた。そんな中学生の私が、環境問題に対してクールに取り組む一部のニューヨーカーの姿勢を見ていたら、きっと猛烈に意識が変わったと思うんです。

――最近、ポカリスエットのCMについてnoteに記事を書かれていますね。美しい映像が高い評価を得たCMですが、塩谷さんは、CMの最後に登場したペットボトルが残念に感じたと指摘しています。

とてもすばらしいCMで、何度も見入りました。制作に関わっているスタッフには友人もいたのですが、本当に素晴らしい映像美だな、と。でも、環境への配慮という視点が気になりました。

私自身、普段からできるだけ環境負荷が低いものを使うようにしています。

「ペットボトルがだめ」というよりも、ポカリスエットは粉末の商品もあるので、輸送コストが低く、ゴミの量が比較的少ない粉末の商品を使ったCMがあればもっと良かったのに、と思ったんです。

最近世界で評価されている広告も、社会の課題解決や環境負荷をどれだけ下げるかを重視しているものが多いですよね。もはや広告というよりも、企業のアクションそのものが消費者へのメッセージとなっています。

日本の広告業界も、そうした動きは活発になりつつあります。ただ、ポカリスエットのCMの美しさを前にすると、ほとんどの人が絶賛していた。「誰か一人くらい、ペットボトルにまつわる批判をしても良いのでは?」という気になり、友達を失う覚悟で書いてしまいました。

――企業がCMなどを作る際、環境への配慮と世の中へのインパクトを両立させることはできるのでしょうか。

先日、伊勢丹新宿店でアーティストの長坂真護さんの作品展を見てきました。ガーナのスラム街にある電子ごみを使ったアートが展示されていて、次々と作品が売れていくんです。

ガーナでは、先進国が捨てたスマホやパソコンなど電子機器のごみを燃やして処理して生計を立てている人たちがいます。しかし、電子ごみを燃やすときには有毒なガスが出てしまい、深刻な健康被害が広がっている。

そもそも、どれだけ企業が環境意識を高く持っていても、リサイクルをする仕組みがあっても、ごみは出ます。本当に環境意識が高いのなら次々に新商品を出すのではなく、せめて5年、10年使えるものを出して欲しい。

けれども長坂さんはそうしたごみをガーナから持ち帰って力強いアート作品にし、展示を通して課題や矛盾を伝えている。その売上で、現地の方々にガスマスクを配り、学校や文化施設まで設立しているんです。

このように、新しいアイデアで問題の解決策を考えている人もいる。彼にしかできない仕事なので誰もがまねできるわけではないですが、まずは一人ひとりが「仕事だからしょうがない」「仕組みだからどうしようもない」と諦めずに、解決策を考え続けること。でも一人で考え続けても、科学的に間違ったことを推し進めてしまうこともありますから、ちゃんと専門家の声を聞くこと。そうした誠実な取り組みに、価値があると世の中が言ってくれる時代にはなったと思います。

――組織の中で本質的に社会の課題解決につながることをしたいと思っていても、できずに悩んでいるビジネスパーソンも多いと思います。彼らにどんなことを伝えたいですか。

一人でできることは限られているので、同じような志を持っている仲間を持てると良いですよね。

考えの違う人に一人で立ち向かうより、仲間と一緒にじわじわ広げていく方が良い。わかりあえる仲間を見つけることがスタートかなと思います。

プロフィール
塩谷舞(しおたに・まい)さん 1988年大阪・千里生まれ。京都市立芸術大学卒業。ニューヨーク、ニュージャージーを拠点に執筆活動を行う。大学時代にアートマガジン「SHAKE ART!」を創刊。会社員をへて2015年より独立。オピニオンメディア「milieu」を自主運営。note定期購読マガジン「視点」にてエッセイを更新中。
朝日新聞社

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